月別アーカイブ: 2017年5月

登山医学の研究者ら松本で学術集会 6月2~4日

医学的生理学的見地から登山を考える「第4回アジア・太平洋登山医学会」と「第37回日本登山医学会」の合同学術集会が6月2~4日、松本市内で開かれる。3年ごとに開く「アジア-」は国内初、日本登山医学会の松本開催は19年ぶり3回目。最終日の4日は、市民公開講座を水汲のキッセイ文化ホールで開き、女性登山家4人がパネル討論する。
遭難事故や噴火など山岳災害が相次ぐ中、開催テーマを「登山医学と高所生理学の新たな幕開け」とした。北アルプスの麓にある岳都・松本から、山岳救急の今と、高地医学における最先端の研究を全国、世界へ発信する。
期間中は、大学病院の医師や研究者、山岳ガイド、山小屋関係者など総勢300人以上が集まる予定。「世界の第一線で活躍する研究者や山岳医と情報交換できるまたとない機会。松本で開けることが光栄」と、学術集会の会長を務める信州大医学部の花岡正幸教授(53)。
2日目の英語によるシンポジウムでは、米国、中国、インド、日本の研究者が、高山病と遺伝子の関係性など世界最先端の研究について意見を交わす。山岳救助については、2014年9月の御嶽山の噴火災害で救急対応した県立木曽病院の井上敦院長が発表する。海外でも関心が高い事例という。
さらに今回初めて、スポーツクライミングを学会のメインテーマの1つに掲げた。高地トレーニング学やアスリートの科学的アプローチ法など、2020年東京五輪を見据えた議論も活発化させる。
花岡会長は「北アルプスの麓にある松本は、日本の中でも登山の中心地。山岳事故が多発する中、多くの研究者らと最新情報を共有し、登山の安全を啓発したい」と意気込む。

4日の公開講座は午後2~4時、申し込み不要で参加無料。講師は、日本人女性として初めて世界第2の高峰K2(8611メートル、パキスタン)に登頂した写真家の小松由佳さん、白馬村在住で日本山岳ガイド協会認定登山ガイドの高木律子さん、南信州山岳ガイド協会所属で中央アルプス地区遭対協救助隊員の小川さゆりさん、国際山岳医で佐久市立国保浅間総合病院内科部長の高濱充貴さん。
事務局・信州大医学部内科学第一教室電話37・2631

【日本登山医学会】 国内唯一の登山医学の専門家団体。会員には医師をはじめ、運動生理学者、山小屋関係者など現在、約800人が登録し、山岳医の認定や安全登山の啓発活動など行っている。
【アジア・太平洋登山医学会】中国の大学教授が中心となって設立した学術団体。登山医学のほか、高地住民の健康問題も研究している。
(高山佳晃)

松本大 学生有志の「キッズスポーツスクール」が10周年

松本大(松本市新村)の学生有志が3~6歳児を対象に開く「キッズスポーツスクール」が10周年を迎えた。子どもの体力低下が指摘される中、体を動かす楽しさと喜びを伝え、学生が成長する課外活動にもなっている。本年度の初回を6月10日午前10時半~正午、同大第2体育館で開く。
健康運動士を目指す人間健康学部スポーツ健康学科を中心に、子どもが好きな学生たちが学部を超えて集まり企画・運営。月1回、土曜日に開き、体操や球技など毎回異なる運動遊びを教える。本年度は1~3年生計14人が参加する。
これまで市の体育館や公共施設を利用してきた。本年度から、今春の教育学部開設に併せてキャンパス内に新築された第2体育館が使えるように。
学内組織「地域づくり考房『ゆめ』」のプロジェクトの一つ。2005年に始めた「キッズサッカースクール」が前身で、08年から他の競技やレクリエーションを取り入れ現名称に。
昨年から参加する上條文香さん(19、スポーツ健康学科2年)と藤森知夏さん(19、同)は「子どもたちが喜ぶ姿を見るのがうれしい。運動する機会を増やし、好きになってほしい」。
須甲彩香さん(19、同)も「ほかに子どもと接する場がないので、とてもいい経験。けがをさせないように気を付け、一緒にいい汗をかきたい」と話す。
6月10日のテーマは「ボールで遊ぼう」。参加無料(別に保険代1回100円が必要)。飲み物とタオル、上履きを持参。希望者は5日までに申し込む。地域づくり考房「ゆめ」電話48・7213
(高山佳晃)

豊科郷土博物館 江戸時代の婚礼料理を再現

安曇野市豊科の市豊科郷土博物館は、6月24日~8月20日に開く夏季企画展「安曇野人の一生Ⅱ結婚式は誰のため?」のプレイベントとして12日、江戸時代の婚礼料理を再現し、お披露目会を豊科の料理店、勇屋会館で開いた。
料理は、野沢村(現安曇野市三郷温野沢)で庄屋を務めていた務台家に残されていた古文書「献立書抜帳」をもとにした。
書抜帳には、1822(文政5)年2月1日の婚礼の献立とあり、再現した料理は香の物、八寸、吸い物、丼、大皿、差味(刺し身)、汁、めし、平(ひら)、台引、椀盛(わんもり)、酢味噌(みそ)の12品。刺し身の他、吸い物には「みなと鮭(さけ)」、お土産用の台引にはブリやエビなど海の物がふんだんに使われている。
また書抜帳には料理のレシピなどは記載されていなかったため、調理を担当した勇屋の料理長と博物館とで検討しながら、しょうゆ、みそ、塩、だし、酒など、当時からあった調味料だけを使い、味付けは「現代の人が食べておいしいと思う味」にしたという。
お披露目会では再現した料理などを本膳、二の膳、台引膳とお盆に盛り、会の出席者は別皿に盛られた料理を試食した。
同館では再現したした料理をもとに食品サンプルを作り、企画展に展示するという。
務台家の子孫で古文書を保管している務台康博さん(62、三郷温)は「料理が再現され、感慨深い。一世一代の場で相当張り込んだことが分かった」。同館の宮本尚子学芸員は「農村でありながら食材の豊かさに驚いている。料理を通じて当時の人の暮らしぶりを想像してほしい」と期待した。
市豊科郷土博物館電話72・5672
(浜秋彦)

6月3、4日松本で「ランドネピクニック」

松本市などでつくるさわやか信州松本フェスティバル組織委員会は6月3、4日、あがたの森公園平和ひろばで、「ランドネピクニック2017inまつもと」を開く。自然豊かな松本で、山遊びやアウトドアスポーツのあり方を提案する。7~9月に行う信州デスティネーションキャンペーン(DC)に、信州への誘客の狙いもある。
「ランドネ」は、山ガールファッションなど、若い女性をターゲットにした山を楽しむ情報誌。ランドネピクニックは、山へ行きたい、自然の中で過ごしたいといった思いを応援する都市型アウトドアイベントだ。これまで東京・六本木、横浜市で開き、4年ぶり5回目。地方での開催は初めてという。
「松本の街からはじめる、信州の山あそび」がテーマ。ファッションショー、山大学、信州山トークなどを予定する。

3日に行うファッションショーの1部は、上高地でハイキング、徳沢で山小屋泊、涸沢でテント泊、松本でピクニックの4シーンを想定し、機能的でおしゃれも楽しめるコーディネートを紹介。2部は市内のセレクトショップやヘアサロンが協力。ピクニックなどでも楽しめる街歩きスタイルを提案する。
市在住のマンガ家でエッセイストの鈴木ともこさん、アウトドアスタイル・クリエーターの四角友里さんの「信州の山」をテーマにしたトークショー(4日)などもある。

山に興味があるが一歩踏み出せない、家族でピクニックがてら里山を楽しみたいといった人の背中を押したり、山を身近に感じてもらったり。
市観光温泉課の石田英幸課長補佐(47)は「信州には多くの自然がある。自然とふれあったり、登山に興味を持つきっかけに。山に親しむ人の底辺を広げたい」と話す。2日間で5000人以上の来場を見込む。
3日は午前11時~午後7時半、4日は午前10時~午後4時。市観光温泉課電話34・8307
(八代けい子)

中高年バンド 生演奏でダンスを

中信地区の中高年の音楽愛好家でつくるバンド、シルバーバックスは6月4日、「オールディーズダンスライブコンサート」を安曇野市穂高交流学習センターみらいで開く。観客が生演奏を聴きながら踊る、往年のダンスホールの再現。2回目の開催で、バンドの魅力にひかれた新メンバーが加わり、さらにパワーアップして登場する。
メンバーはバンドの会長でドラムの宮田伸二さん(67、安曇野市穂高)、リーダーでギター・ボーカルの中堀隼夫さん(72、松川村)ら8人。そこに池田町の吉田洋子さん(65)が新たに加わった。
吉田さんは2月に松川村で開かれたシルバーバックスの初のダンスコンサートに参加。「バンドの雰囲気がとても良くて、自分も一緒にやりたくなった」と、すぐに中堀さんに連絡。キーボード担当として、バンド2人目の女性メンバーになった。
自己流でピアノを弾いたことはあるが、キーボードは未経験という吉田さん。早速、「マイキーボード」を購入し、宮田さんの自宅で行われる練習に参加している。
吉田さんは「みんなに幸せを与えてくれるバンド。足を引っ張らないように、一生懸命練習したい」と意気込む。
当日は、「ルイジアナ・ママ」「ロック・アラウンド・ザ・クロック」「スタンド・バイ・ミー」などオールディーズの名曲を約30曲演奏する。
中堀さんは「前回は200人以上が入ってくれて盛り上がった。お客さんのためのダンスパーティーにしたい」と話す。
午後1時半開演。入場料500円(開演中の出入り自由)。宮田さん電話080・1004・7171
(浜秋彦)

塩尻の児童館カフェ好評

未就園児とその親に児童館を利用してもらい、子育て支援につなげようと、塩尻市は大門児童館(大門五番町)で週2回、「児童館カフェ」を始めた。親は子どもを連れてコップ持参で来館。お茶やコーヒーを飲みながら話をし、育児の苦労を分かち合うなどリフレッシュしている。
「学年一緒ですね」「2月に引っ越してきたんですよ」「疲れちゃいますよね」
24日は親子13組が、86平方メートルのフロアのあちこちで話し込んでいた。自由に遊び合う子どもたちに促され、初対面の母親たちの間にも自然と会話が生まれる。
「人との関わりに飢えていた」と武井宏美さん(36、広丘高出)。長男を幼稚園へ送り出した後、次男の湊ちゃん(1)と2人きりの時間を過ごす。
「誰かとたわいのない話をするだけで気分転換になる。話さなくてもいい、同じ空間にいるだけで安心する」
下校後の小学生の居場所のイメージが強い児童館だが、開館は午前10時。未就園児も利用できるが、子育てサークルなど団体がほとんどという。
「カフェ」は個人の来館を促すのが目的。おやつや弁当も持ち込める。「妊娠中の母親に来てもらってもいい」と、市こども課の伊藤実和さん。
今後、内容を充実させ、大槻勢津子館長は「お父さん、お母さんたちと一緒にこの空間をつくっていきたい」。市は、市内の他の児童館でもカフェの実施を検討している。
毎週水、金曜の午前10時半~午後1時。参加費100円で5回利用できる。同館電話53・2322
(松尾尚久)

松本大生と市民団体がケヤキ保存へ活動

松本大(松本市新村)の学生でつくる「けやきプロジェクト」と市民グループ「緑と景観を考える会」が、松本市渚の民家にある樹齢約100~600年のケヤキ22本の保存を呼び掛け、活動を続けている。近隣住民を悩ます大量の落ち葉問題や、個人では負担が大きいケヤキの維持管理と費用、市街地の緑地保全など地域の課題と向き合いながら共存策を模索している。
ケヤキは松林孝和さん(59)宅の敷地約3300平方メートル内にあり、高さ28~30メートルほど。22本のうち14本は市指定の保存樹だ。国道19号に近く、夏は生い茂った緑が木陰をつくり、市街地には珍しい屋敷林として景観も保っている。
しかし、近年、強風時に古い大枝が折れて住宅の屋根や瓦を壊したり、秋には大量の落ち葉が近隣住宅にまで拡散し、雨どいを詰まらせるなど苦情も出ているという。
こうした中、両者が連携して4月末、「第1回けやきまつり」を開いた。敷地内にある、縁結びの神様を祭る飯綱神社の例大祭に合わせて企画。松林さんの妻比呂子さん(57)が敷地内のケヤキ林を案内し現状を報告。学生は、子どもたちと射的ゲームをしたり、松本地域の名物「山賊焼き」を販売したり。訪れた地域の人たちと交流した。
比呂子さんによると、毎年秋から春にかけて集める落ち葉は、市指定のごみ袋600袋に上る。「歴史あるケヤキを1本でも多く残したい気持ちはあるが、それ以上に落木や落ち葉などで近所に迷惑を掛けているのがつらい」と胸中を話した。
苦悩の末、昨年は3本を切り倒し、費用は約100万円掛かった。今年4月には、樹齢600年を超す一番大きな木のせん定を行い、約60万円掛かった。市の助成は、保存樹1本当たり25万円が限度額とし、一般家庭で維持管理するのは負担が大きすぎるという。
緑と景観を考える会の筒井敏男代表(72)は「うわべだけの自然保護論で終わらせず、どういう形でケヤキを残すのが一番いいのか、地域全体の課題としてとらえ、共存、共生を考えていくことが大切」。プロジェクトのメンバーで松本大総合経営学科4年の平林洸さん(21)は「時間を掛けて1つずつ問題を解決できたらいい。街中に少しでも緑のある景色が残せるように、これからもケヤキの保存を呼び掛け、学生の立場からできることを提案していきたい」と話した。

【松本大学けやきプロジェクト】 渚のケヤキ保存を目的に2014年発足。3、4年生を中心に約20人で活動する。「緑と景観を考える会」の会員や地元小中学生らと連携し、ケヤキの落ち葉拾いや焼き芋大会を行った他、ケヤキをモチーフにしたスイーツの開発・販売なども手掛ける。
(高山佳晃)