月別アーカイブ: 2017年2月

J2開幕 攻守に精彩欠き横浜FCに0-1

170228yamp今季のサッカーJ2は26日に開幕し、J1再昇格を目指す松本山雅FCは横浜FCと横浜市のニッパツ三ツ沢球技場で対戦して0-1で敗れた。現地に駆け付けた約6000人のサポーターをはじめ、地元でも多くのファンや市民が声援を送った。
サポーターの交流の場やクラブの情報発信の拠点として、前日に松本市大手4に開店した「喫茶山雅」は、開幕戦をライブ配信で観戦する催しを行い、参加希望者のうち抽選で当たった約50人が来場。プロジェクターが映し出す大画面を見てチャンスに歓声、失点に悲鳴を上げ、好プレーに拍手を送った。
山雅を応援して3年目という松川村の田中晶さん(19)、葵さん(17)姉妹は「新しい選手が加わりレベルアップしたと感じた。昨季は悔しさしか残らなかったので、今季は優勝してJ1に昇格してほしい」。
喫茶山雅の食事(有料)付きの観戦は、3月は山雅が敵地で戦う5、12日に行う。アルウィンでのホーム開幕戦は19日。

「われわれらしさが3分の1くらいしか出せなかった」(反町監督)という言葉通り、山雅は攻守に精彩を欠き、2シーズン続けての黒星スタートとなった。昨季序盤のもたつきを反省し、今季は早めにチームをつくり完成度を高めたはずだったが、キャンプ中の練習試合でも目立った得点力不足は解消できていない。
反町監督が攻撃の工夫不足や緩慢な守備を嘆き、「省エネで勝てるチームではないし、そういう(労を惜しまない)チームづくりをしてきたが…」と話した90分間。
「攻守でめりはりが付けられず、ずっと同じようなペースで終わってしまった」と振り返ったのは岩間。
新加入の橋内は「もっとボールを動かせるようにならないと。自分たちでチャンスがつくれなかった点に目を向け、やっていかなくては」と力を込めた。
「ここからはい上がっていくのが山雅。底力を出し惜しみせず、次の試合に向かっていく」と指揮官は前を向いた。

山雅は試合序盤に両サイドやCKから好機をつくったが、前半16分にパスをつながれ、ミドルシュートを決められ失点。その後は狙いがあいまいなクロスなど単調な攻撃を繰り返した。
後半も相手ペースを覆せず、パスのミスや連携のほころびでピンチを招く場面も。宮阪、志知、三島を投入して得点を狙ったが、試合を通じて決定機は少なかった。
次節(3月5日)は愛媛FCと松山市のニンジニアスタジアムで対戦する。昨季の対戦成績は2引き分けの難敵。ホーム開幕戦を制し、勢い付く相手にどう挑むか。

【選手コメント】
21番・鈴木(リーグ初出場)「失点は誰かが悪いのではなく、ああいう場面を作らせてしまったチーム全体の責任」
3番・田中「敗因を一つに絞るのは難しく、経験がある僕が、何が悪いかを皆に伝えることができなかったのも一因。足りなかった『何か』を改善したい」
4番・飯田「引いたつもりはなかったが、互いに蹴り合う展開で(横浜FW)イバにボールが収まってしまい、そこでファウルをしてFKで押し込まれた。失点は、組織が崩されたわけではない」
10番・工藤「攻撃のスイッチの入れ方など課題が残った。まだ発展途上。悪かった点を探すより、これからどうしていくかが大事」
8番・セルジーニョ(新加入)「たくさんのサポーターがいて良い雰囲気の中で、本当に幸せな気分でプレーできた。こういう環境だとモチベーションが上がる」
20番・石原「横や後ろへのパスが多く、勝負に行けなかった。もっとゴール近くでボールをもらい、自分で仕掛ける場面を増やさなくては」
9番・高崎「自分たちの力を出せていない。出せていたら負ける試合ではなかった」
15番・宮阪「もっとボールに触れればよかったし、シュートチャンスも決めきれず悔しい」
11番・三島「久々の雰囲気で硬さがあったかもしれない。もっとゴールに向かうプレーをしなければ」
25番・志知(リーグ初出場)「中に切り込んでのシュートや、縦に仕掛けてクロスというのが求められていたと思うが、得点につなげられず悔しい」
(長岩将弘、大山博)

「貧乏神送り」の行事で現れた神秘な現象(松本市入山辺厩所)

170225sikip松本市重要無形民俗文化財の「貧乏神送り」で焼き払われるわら馬の背後に“炎の神馬”が幽玄神秘な姿を現した=ニコンD3S、ニッコールED28-70ミリ

四季彩の図

燃えるわら馬の背後に“炎の神馬”が現れた-。
2月8日、松本市入山辺の厩所(まやどころ)地区で行われた「貧乏神送り」。26軒が寄り添うように暮らす山里で昔から連綿と受け継がれてきた事八日(ことようか)の伝統行事だ。
体長2メートル、高さ1・5メートルの大きなわら馬を作り、背にジジ、ババと呼ぶわら人形を乗せて貧乏神に見立てる。わら馬の周りで数珠を回しながら「南無阿弥陀仏…」と念仏を唱えた後、薄川の堤防に運んで焼き払い、安穏と無病息災を願う。
点火から約2分後、炎がわら馬を包む。燃え盛る火が風を呼び、炎が宙に踊り舞う。貧乏神が昇天する瞬間。撮影は終始、般若心経を唱えながら続けた。
わら人形のジジ、ババに火が付いた瞬間、カメラのファインダーの中で怪しげに揺れる大きな炎。“炎の神馬”だ。とっさにシャッターを切った。驚愕(きょうがく)の光景を目の当たりにし、ことばを失い、身も心も震えた。
口を開けた馬の顔がリアルだ。目、耳、たてがみも。背には「火」や「大」の文字にも見てとれるジジとババが乗り、尾を振り上げている。貧乏神が炎の神馬に乗り立ち去る神秘な場面。厄が払われた瞬間だ。「厩所の人たちはみんな守られている」。そんな安堵(あんど)の思いが伝わってきた。
(丸山祥司)

26日開幕 守備堅くキャンプに手応え

170223yamp今季のJリーグはJ1が25、26日、J2が26日に、J3が3月11、12日に開幕する。J2松本山雅FCは横浜FCとの初戦を敵地で迎える。山雅は1年でのJ1返り咲きを狙った昨季、自動昇格圏の年間2位と勝ち点で並びながら得失点で及ばず、昇格プレーオフも惜敗。J入り以降最多の勝ち点84を積み上げながら、わずかな差に泣いた悔しさをばねに、再びJ1復帰に挑む(写真は東京Vとの練習試合=18日、東京・多摩市陸上競技場)。

指揮を執るのは6季目の反町康治監督。新加入11人を加えた計31選手と、4人中3人が入れ替わったコーチ陣で臨む。
昨季は豊富な運動量や縦に速い攻撃、セットプレーからの得点といった従来の強みを残しつつ、新たに最終ラインからパスをつないで組み立てる攻め手も追求した。シーズン後半は安定した戦いを見せたが、新スタイルになじみきれなかった序盤の取りこぼしが響いたともいえる。
主力の多くが残った今季は、3次にわたる県外キャンプで昨季のスタイルをベースにチームづくりを進めてきた。
18日に東京Vと行った開幕前最後の練習試合は、主力をそろえた2回目は0-0。両チームとも若手や控え主体の1回目は、山本の2得点と岡のゴールで3-0。2戦とも前線からの連動した守備が効いて相手に決定機すらつくらせず、鉄壁ぶりが際立った。
一方、詰めの段階で主力組の無得点は不安材料だ。再三シュートを阻まれ、自ら得たPKも止められた高崎は「もっとゴール前の迫力を出さなくては」と悔しがった。
それでも反町監督は「攻撃に厚みがあり、多くの好機をつくれていた。合宿の成果が出た」と内容を評価。「この一週間しっかり準備し、いい開幕を迎える」と力を込めた。
大きなけが人を出さずにキャンプを終えたのも、例年にない収穫だ。足を痛めて東京V戦の出場を見合わせた星原も「大事を取った。(開幕には)間に合うだろう」と指揮官。
チームは22日から静岡市で直前キャンプを行い、開幕戦に向けたコンディション調整と相手対策に取り組む。

開幕戦で当たる横浜FCは昨季8位。シーズン前半は監督が交代するなど振るわなかったが、後半は立て直し一時は昇格プレーオフ圏内の6位に迫った。昨季の対戦成績は山雅の2勝だが、最終節はアルウィンで薄氷を踏む逆転勝ちだった。
昨季リーグ3位タイの18点を挙げた190センチのイバをはじめ、大久保、津田ら攻撃陣の高さは脅威。町田の主力だったヨンアピンら即戦力を補強した守備陣も隙がない。
開幕戦当日は「キング・カズ」三浦の50歳の誕生日。その活躍で相手を勢いづかせないよう、きっちり抑えたい。

今季J2は、Jリーグ発足時メンバーで資金力でも抜きんでる名古屋が優勝争いの軸になりそうだ。
クラブ史上初の降格で選手は大きく入れ替わったが、J1・J2通算最多得点記録を持つ佐藤、昨季岡山でチーム最多得点の押谷らが加入し、戦力低下の印象はない。J1川崎を5季率いた風間監督の下、1年でのJ1復帰が大命題だ。
降格しながらも戦力補強に成功した福岡、監督続投で運動量で圧倒する戦術の継続が見込まれる湘南なども、昇格争いで山雅の前に立ちはだかりそうだ。
(長岩将弘)

今季J2も22クラブ全42節で争う

今季J2に参戦するのはJ1から降格した名古屋、湘南、福岡、J3を制し1年で復帰した大分など22クラブ。本拠地と敵地で1戦ずつ行うホーム・アンド・アウェー方式の総当たり2回戦、全42節で争う。
前後半45分ずつ、計90分の試合を行い、同点の場合は引き分け。順位は勝ち点(勝ち=3、引き分け=1、負け=0)の合計で決め、勝ち点が並んだ場合は得失点差、総得点数、当該クラブ間の対戦成績-の順で上下を決める。
J1には3クラブ(財務や施設など各分野でJ1基準を満たすライセンス保有が条件)が昇格できる。年間1、2位は自動昇格し、3~6位で残り1枠を争うトーナメント形式のプレーオフを行う。
プレーオフの準決勝(3位-6位、4位-5位)は11月26日、決勝は12月3日。いずれもリーグ戦上位クラブのホームで行う。90分間で決着がつかない場合、リーグ戦上位クラブが勝者となる。
また、今季からJ2・J3の入れ替え戦を廃止。J2の21、22位と、J3の1、2位(J2ライセンス保有が条件)が自動的に入れ替わる。

ホーム試合は松本市神林の総合球技場アルウィンで21試合。前売り券は大人がS席4500円(高校生以下2000円)、A席4000円(同1500円)、ホーム・アウェー側とも自由席2200円(同700円)など。インターネットやコンビニの端末などで購入できる。
当日券はいずれも500円(高校生以下のホーム・アウェー自由席は300円)増し。未就学児は大人1人につき1人、車いす席は1人につき付き添い1人がそれぞれ無料。試合により、中南信地区の小中学生には学校を通じ、ホーム自由席の招待券を配る。
ホーム全試合を割安に観戦でき、さまざまな特典も付く「シーズンパス」や、多様な企画チケットもある。問い合わせは株式会社松本山雅電話88・5490

開幕へ、地元で気勢 キックオフイベント

170221yamp

サッカーJ2松本山雅FCは19日、山形村のアイシティ21で、恒例のキックオフイベントを開いた。県外で3次にわたるキャンプを行っていた反町康治監督や選手が地元のファンらの前に姿を見せるのは、約1カ月ぶり。26日に迫った開幕戦に向けて意気込みなどを語り、約1000人の来場者とともに気勢を上げた。
17日に加入が発表された下川陽太選手ら3選手を除く28選手と反町監督が参加。昨季まで選手として山雅に在籍し引退、クラブアンバサダーを務める鐡戸裕史さんをゲスト司会者に迎え、全員が1人ずつ壇上に立った。
チーム最古参となった飯田真輝選手は「新加入の選手もすぐに溶け込め、チームの雰囲気はすごくいい」。
昨季チーム最多の16点を挙げた高崎寛之選手は「いいときも悪いときもあると思うが、最後には笑って終われるよう頑張る」と力を込めた。
開幕準備について聞かれた反町監督は「できている」ときっぱり。経験豊富な監督が増えたことなどから、今季のJ2は「ますますシビアなリーグになっている」とし、「(昨季を上回る)勝ち点85以上、順位は2位以上を目指し、まい進していく」と見据えた。
勝利時に選手が肩を組んで踊る「アルプス一万尺」について「僕も最後に踊れればいいと思っている」と話し、会場を沸かせた。
家族で訪れた松本市大手の中村佐保さん(41)は、1月の新体制発表会にも参加。「みんな言葉も顔つきも頼もしくなり、期待とともに開幕間近の雰囲気を感じた」。
次女の真夕さん(開智小2年)は工藤浩平選手のファンといい、「去年よりもたくさんゴールを決めてほしい」と、活躍を願った。
(長岩将弘)

輝く氷彫に秘められた「命」の光彩(松本市・松本城公園)

170202sikipあうんの呼吸の作業で氷彫に命を吹き込む奥原さん(右)と良波さん=1月22日午前2時15分、ニコンD3S、ニッコールED28~70ミリ

印象深い癒やしと感動の祭典となった第31回国宝松本城氷彫フェスティバル(1月19~22日、松本市)。メインイベントの全国氷彫コンクールは今回が最後。21日夕から22日早朝にかけて徹夜で行われた松本城公園の制作現場は、有終の美を飾るにふさわしい、一級の表現者たちの真剣勝負が繰り広げられた。
21日午後11時半。米国を含む18チームが手掛ける氷彫の外観が浮かび上がる。架空動物や非現実的な世界を表現した作品が多い中で「生命」と題した氷彫に記者のカメラがくぎ付けになった。
チェーンソーがほえ、研磨する電動ドリルがうなる…。氷煙が激しく舞い上がり、氷に刻まれ吹き込まれていく命。躍動感が際立ち命の鼓動が聞こえる。
22日午前2時。必死で逃げるヌーに背後からチーターが襲う、凄絶(せいぜつ)でリアルな瞬間を表現した氷彫は、衝撃的というより、驚嘆的感動となって迫ってきた。サバンナの野生動物の生態の現実、生きる命といま消えようとする命のともしび。生命とは何か…。哲学的心理描写の制作に挑んだ氷彫作家は、長野氷彫倶楽部の奥原大介さん(40、松本市今井)と良波学さん(40、安曇野市三郷)だ。
午前5時半。ヌーの右下に駆け寄り襲うチーターの制作を終え、臨場感豊かな「生命」が完成した。命の尊さと生への執念を、見る者の情感に突きつける。繊細な氷彫の表現力と高い技術力に感謝したい。
(丸山祥司)