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けがの予防や回復法など松原チーフトレーナーに聞く

161006yampサッカー選手を含むアスリートが避けて通れないのが「けが」だ。J1昇格争いの真っただ中にいる山雅も、相次ぐけが人で選手のやり繰りが厳しく、気掛かりな人も多いのではないか。サッカーで負いやすいけがや回復への取り組みについて、チーフアスレティックトレーナーの松原佑治さん(33)に聞いた。


-サッカー選手に多いけがは。
足でボールを扱い、接触も多い競技の性質上、下肢の打撲、足首やひざのねんざは頻発する。昨年の山雅の場合、けが全体の3割ほどを占めた。
ひざの関節にあって、太ももの骨とすねの骨をつなぐ「前十字じん帯」の損傷・断裂も多い。手術して修復するしかなく、回復まで時間がかかる。今季ほかのJクラブではミッチェル・デューク(清水)や米本拓司(F東京)らが傷めている。
接触はもちろんだが、体質というか、もともと個人が持っている原因で、ふとした拍子に傷めてしまうことも。米本や石川直宏(F東京)ら、繰り返し傷める選手はそのケースだろう。
山雅では、工藤が京都時代に傷めた。接触ではなかったそうで、以後は傷めていない。京都のトレーナーのやり方や理学療法士のケアが良かったのかもしれない。
-よく耳にする「半月板」損傷、「鼠径(そけい)部」痛とは。
ひざの関節でクッションの役割を果たすのが半月板。前十字じん帯と同時に傷めてしまうことがよくある。
こちらは程度や状況により、手術しなくてよい場合も。14年シーズンに田中が傷めた時は、手術をしない治療法を取った。
足の付け根から下腹部周辺の鼠径部が痛み、筋肉や関節の機能障害を生じる鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)も、サッカー選手に特徴的なけがといえる。
最初は、足を付け根から動かした時に「ひっかかる感じ」を訴える。個人が持つ原因による部分が大きく、傷める理由もさまざまだが、サッカーはシュートをはじめ体をひねる動作が多く、鼠径部に負担が掛かるのは確かだ。
山雅ではウィリアンスが昨季、2週間ほど離脱した。その時は軽かったが、ブラジル時代は5カ月ほど競技ができないこともあったそうだ。
ほかにも現役時代の田坂コーチや元日本代表の中田英寿さん、中山雅史さんら、苦しんだ人が少なくない。
-豊富な運動量や多様なセットプレーなど「山雅スタイル」が原因で起こりやすいけがはあるか。
接触が多いセットプレーの練習を真剣にやると、どうしても打撲が増える。仕方ないが、試合前日などははらはらしながら見ている。
私が加入した当初(13年)は、足腰に負担が掛かる人工芝で、シャトルランなど急激な方向転換を伴う練習をよくやっていた。足の甲の最も外側にある第5中足骨の疲労骨折(ジョーンズ骨折)を心配したが、なぜかほとんどなかったので、すごいと思った。
-けがの予防や回復にどう取り組んでいるか。
練習や試合後のケアはもちろんだが、フィジカルコーチのエルシオさんとも連携し、準備運動や練習の中にけがを予防する動きを落とし込んでいる。
離脱者は、全体練習に復帰させる期日の目標を立てて調整する。すぐに戻れそうな選手は軽めのメニューで体力維持に努め、時間が掛かりそうな選手は回復途上の期間も見込み、少し負荷が高い筋力トレーニングを課したりする。
ただ、方法は日進月歩。以前は効果的とされていたことが疑問視されるようになったり、その逆もある。知識や技術を学び続けることが欠かせない。
現在、かつてないほどけが人が出ており、原因を分析している。けがはいつ、誰の身に起きてもおかしくないとはいえ、トレーナーとしてリスク管理に責任を感じている。
今季も終盤。しっかり故障者を治し、これ以上けが人を出さないようにしてチームに貢献したい。
(長岩将弘)