月別アーカイブ: 2016年9月

難敵清水相手に完封、自動昇格圏2位を維持 J2第33節

160927yampJ2は25、26日、第33節を各地で行った。J1自動昇格圏内の2位にいる山雅は25日、勝ち点4差で4位につける清水エスパルスとアルウィンで対戦し、1-0で勝った。今季最多の観客1万7880人の前でセットプレーから得点、衰えない走力で相手の攻撃を封じるなど攻守に“らしさ”を発揮。点差以上の完勝で、2位を維持した。
山雅は試合開始直後からペースを握った。セカンドボールをことごとく拾い、前線の選手がプレッシャーを掛け、リーグ最多得点の相手に攻撃のリズムをつくらせない。
前半24分、センターサークル内から喜山が蹴ったFKを山本が頭で落とし、工藤が滑り込むように合わせて先制。追加点は奪えなかったが、その後も主導権を握り続けた。
後半終盤は相次いで攻撃的な選手を投入した相手に押し込まれたが集中を切らさず、決定的な場面をつくらせず守り切った。
「現状の戦力はJ2で最も充実している」と、清水を警戒していた反町監督。荒れたピッチや相手のミスに救われた部分もあると認めつつ、「攻守に足を止めず、粘り強く戦えた」と選手をたたえた。
が、好内容にも飯田は「今季取り組んでいる、パスをつなぐサッカーがほとんどできなかった。できていれば、終盤も流れを取り戻せたはず」と課題を指摘。
田中も「次につながる内容だったが、勘違いしてはいけない。謙虚に、ひたむきに、こういう試合を続けることが大事」と、19位・讃岐との次節に向け、慢心を戒めた。
直近9戦を無敗とした山雅だが、3位C大阪も勝ち、勝ち点1差で追われる状況は変わらない。さらに次節は警告累積で山本と岩間が出場停止。リーグ終盤の戦いが厳しさを増す中、主力2人を同時に欠くのは痛いが、総力戦で乗り切る構えだ。
(取材班)

外国人選手を支える通訳2人の思い

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外国人選手との意思疎通を担う通訳。今季はポルトガル語をブラジル人の橋本・フェリペ・タバレスさん(29)が、韓国語を李善雨(イ・スンウ)さん(38)が、それぞれ務めている。言葉を訳すだけでなく、母国を遠く離れてプレーする選手たちに寄り添い、生活や精神面のケアも担う。独自の信条や熱い思いを胸に奮闘している。


【フェリペさん】
フェリペさんは今季「新加入」。オビナ、ウィリアンス、パウリーニョの3選手とも日本での生活に慣れて家族もおり、「家族ぐるみで良い関係を築けている。楽しんでます」とほほ笑む。
試合・練習時や取材対応などに加え、選手の日々の暮らしにも通訳は欠かせない。病院や銀行、郵便局、市役所などで必要な手続きをサポートしたり、選手の気晴らしのために休日の外出に付き合ったり。
最も大事にしているのは「自分を取り繕わない」ことだ。
隠し事や知ったかぶりをせず、ありのままで接する。分からない日本語は「調べて後で伝える」とはっきり言う。誠実であることが信頼を得る一番の近道という。

Jクラブの通訳になり3年目。昨年、山雅の通訳だった古川宏人さん(現横浜FM)と以前から知り合いで、古川さんの紹介で松本へ。
サンパウロ生まれ。出稼ぎをする両親、兄と共に5歳で来日し、サッカーに親しみながら福島県や群馬県で少年時代を過ごした。
高校卒業後、選手として母国に帰り、2年間ほどプレーした。その後、日本に戻ったが、選手で食べていくのは無理と、早めに見切りを付けた。
21歳で日本人と結婚し、翌年に子どもが生まれた。両親が群馬で経営する在日ブラジル人向けの語学学校を手伝いながら大工、宅配便の運転手、役場の保健センターの通訳、パチンコ店の宣伝カーの運転手など職を転々。がむしゃらに働いた。
やがて、在日ブラジル人を支える両親の姿から「自分も日本で頑張るブラジル人の役に立ちたい」と思うように。兄がJクラブの通訳(現在は磐田)になった影響もあり、J1、J2の全クラブに手紙と履歴書を送り、14年に群馬の通訳に。
だが、「正直、甘かった」。ブラジル人について理解しているつもりだったが、信頼関係を築く難しさを痛感。サッカーの知識も高いレベルを求められた。翌15年は練習生も含めて一度に5人の面倒を見た時期も。手探りで努力を重ねた。

「周りのスタッフに助けてもらってばかりで、まだ未熟。指導陣からすれば、我慢して使っている部分もあるはず」とフェリペさん。「その時できることを精いっぱいやり、成長しながら貢献度を高めていく」と誓う。


【李善雨さん】
今季の山雅でただ一人の韓国人選手・韓承炯(ハン・スンヒョン)は、大卒新人で日本での生活も初めて。李さんは「選手と通訳の間柄というより、後輩を指導する感覚」と話し、「コミュニケーションを待つのではなく、自分から行動を起こし、溶け込んでいくよう助言している」という。
気に掛けつつも、私生活の細かい場面にはあまり立ち入らない。「言葉は違っても、互いにある程度なじみがある国で、文化的にかけ離れているわけでもない。『習うより慣れろ』です」
一方、ピッチでは「指導陣が求めるプレーを選手ができなければ、『きちんと訳しました』と言っても、言い訳にしかならない」と自戒する。指導者の言葉をそのまま訳すのではなく、ニュアンスや声の調子なども加味し、「選手が受け取りやすい伝え方」に心を砕く。
韓承炯は現在、けがをして別メニューで調整中。「こういう時は精神面のサポートが必要」と、小まめに声をかける。

釜山生まれ。通っていた小学校の部活は少年サッカーの名門。俊足を見込まれて4年生で始めるとすぐに頭角を現し、中学時代は全国大会でも活躍した。
高校2年への進級を前に、親の勧めや指導者の縁で来日し、大分高校に入学。高校選手権や国体にも出場し、桃山学院大(大阪)を卒業するまで日本で7年間を過ごした。
帰国後はKリーグの強豪・水原三星ブルーウィングス入り。加入初年の01~02年シーズンはアジア・チャンピオンズリーグの前身「アジアクラブ選手権」に出場し、準決勝でゴールを挙げるなど2連覇に貢献した。
08年に引退。やり尽くした思いからサッカーを離れる考えもあったが、代理人として働くことに。昨年9月、韓国代表の金甫●{日の下に火}(キム・ボギョン)の山雅移籍が急きょ決まった際、通訳を探す時間がなかったため、以前から知り合いだった李さんに声が掛かり、再び来日することになった。

「大都市ではないのに、これだけファン・サポーターの熱が高いクラブは韓国にはない」と、松本と山雅に驚く李さん。
降格し、負けても優しく、力強い声援が飛ぶ。だからこそ、それに応えなければとの思いを強くし、「韓国人選手が活躍し、再びJ1昇格を果たせれば」と願う。
(長岩将弘)

一期一会の幽玄神秘な光彩壮麗の夜明け(北ア穂高連峰・涸沢)

160920sikip大空のカンバスに描かれた名画のような壮麗な朝焼け。色彩と明暗がドラマチックに刻々と変幻した=7月22日午前4時38分、ニコンD3S、ニッコールED17-35㍉、涸沢ヒュッテ展望テラスから

北アルプス穂高連峰の涸沢で、この夏出合った衝撃的光彩の交響詩を連想させるドラマチックな朝焼けが今も脳裏から離れない。
7月22日、午前4時15分。シルエットに浮かぶ屏風岩の稜線(りょうせん)の上に広がる雲を見た瞬間、息をのみ鳥肌がたった。上層を覆う薄いベールのような雲は、巻層雲(けんそううん)か。下層には、羊の群れを連想させる高積雲(こうせきうん、ひつじ雲)が浮いている。始まった朝焼けの光彩のドラマに心が震えた。長年、山の朝焼けを撮り続けてきたが、初めて出合う光景だ。
午前4時38分。日が早く当たった上層部の雲は黄金色に、下層のひつじ雲が真っ赤に染まる。刻々と変幻する朝焼けは、荘厳、壮麗な光彩を極め、最高潮に達した。その瞬間、天上から交響詩が聞こえてきたような気がした。朝焼けのパワーの波動か…それとも錯覚なのか?不思議だ。
この壮大な朝焼けのステージを見詰めていると、2005年の愛知万博の開会式で、長野バレエ団出身の元プリマバレリーナ宮内真理子さんが華麗に舞った「火の鳥」が重なる。
やがて3000メートルの稜線がモルゲンロートに赤々と染まり、天上で奏でる交響詩のオーボエの音色が、神々しい穂高の朝を告げた。
(丸山祥司)

J2第31節 京都に2-0 持ち味思い出し快勝

160913yampJ2は9月11日、天皇杯1、2回戦を挟んで3週間ぶりに再開し、第31節を各地で行った。2位の山雅は6位の京都サンガとアルウィンで対戦し、2-0で勝った。完敗だった前週の天皇杯2回戦を反省し、気迫あふれるプレーを展開。右目網膜剥離(はくり)が完治した田中が戦列に復帰する好材料も得て、激しさを増す終盤戦へ弾みを付けた。
山雅は立ち上がりから、前線での守備や攻守の切り替えの早さ、労を惜しまない走りといった持ち味を発揮。
前半5分、FKのサインプレーで工藤と示し合わせたパウリーニョがマークを外し、密集の後方からシュートして先制。その後も主導権を握り続けた。
後半、京都は選手の並びを変え、中盤以降は長身のキロスを投入してパワープレーに。山雅はこれをしのいで42分、岩間からパスを受けた山本が中央で相手守備を引き付けてつぶれ、こぼれ球をフリーで抜け出した工藤が左から落ち着いて蹴り込み追加点。
25節の長崎戦以来、1カ月半ぶりのホームでの勝利に、観客は大いに沸いた。
試合後、反町監督は戦う姿勢を欠いて敗れた前週のJFL・ホンダFCとの試合を引き合いに出し、「あれで勝っていたら、今日は負けていたかもしれない。厳しく言ってきたことが実を結びうれしい」と、檄(げき)に応えた選手にほっとした様子。
田中も「あの敗戦は皆の責任。厳しいことも言ったが、今日は自分たちらしい試合ができた」とうなずいた。
上位は山雅以下、昇格プレーオフ進出圏内の6位京都まで、勝ち点9差内に5チームがひしめく混戦。取りこぼしが許されない、緊迫した戦いが続く。
「こういう試合を続けていかなくては意味がない」。指揮官と選手は異口同音に、この日の戦いぶりが「山雅らしさ」だと、自らに言い聞かせた。
(長岩将弘、松尾尚久)

ファン感謝デーに2800人

160908yamp山雅は9月4日、サポーター会員を対象にした「ファン感謝デー」を松本市のアルウィンで開いた。約2800人が訪れ、試合とは違う表情をのぞかせる選手やスタッフらと多彩なイベントで交流。選手らは多くの笑顔や歓声に触れ、リーグ終盤戦に向けて気持ちを新たにしていた。
一連のイベントは選手やスタッフらがヤング、アダルトの2チームに分かれてピッチ上のステージで競った。コンコースや室内では来場者が参加する催しを行い、販売ブースには選手がデザインしたグッズが並んだ。
最後は恒例のPK対決。今年はヤング対アダルトで争い、敗れたアダルトチームは罰ゲームで「かえるの合唱」の輪唱を披露した。
閉会セレモニーでは、イベント中とはうってかわって表情を引き締めた反町監督があいさつ。前日の天皇杯敗退に触れ「それでも多くの人に来てもらい、支えを実感している」と感謝し、「リーグが終わったときも、今日のように皆さんと笑い合えるよう、精いっぱいやっていく」。
選手会長の白井も「今、リーグ2位にいられるのは皆さんのおかげ。死に物狂いで昇格を目指す」と力を込め、拍手を受けた。
(長岩将弘)

終盤戦へ「緑化作戦」 山雅と並柳商工会応援ムードさらに

サッカーJ2松本山雅FCと、50余の商店・事業所などでつくる並柳商工会は2日、山雅の事務所がある松本市並柳で、ポスターなどを配って掲示してもらう「並柳緑化作戦」を行った。
緑化作戦はJリーグ昇格以前から同市中心市街地などで行ってきたが、事務所所在地周辺では3月に初めて行い、今回は2回目。先月発表された第31節(9月11日)以降の試合開始時間が入った新たなポスターやポケット版の日程表を配り、終盤戦へ向けていっそうの応援ムード盛り上げを狙った。
同商工会からは青年部長の有川貴樹さん(43、眼鏡・補聴器専門店オプトアルファ店長)ら3人が、山雅側はホームタウン担当の小林陽介さん(33)と片山真人さん(32)が参加し、歩いて30カ所ほどをたずねた。
商店主らは「次も(試合を)見にいくよ」「この調子で頑張ってね」などと笑顔で応じ、さっそくポスターを張り替える人も。
東京靴流通センター松本並柳店では、前回のポケット日程表はすぐに終了。緑色の靴を集めた特設コーナーも好評で「人々の熱を感じる」と、スタッフの吉門明美さん(44)。「このまま駆け抜けて、J1に再昇格してほしい」と願った。
小林さんは「こうした足元からの盛り上げの機運は、とてもありがたく心強い」。
有川さんは「ポスターを余分にもらってくれるなど、前回よりも反応が良かった。今後も地域で後押しする雰囲気を高めていければいい」と話した。
(長岩将弘)

天皇杯2回戦 後手踏みホンダFCに「完敗」

160906yampサッカーの第96回天皇杯全日本選手権は9月3日、2回戦20試合を各地で行った。4年連続の3回戦進出を狙ったJ2の松本山雅FCは、静岡県代表のJFL(日本フットボールリーグ)ホンダFCと松本市のアルウィンで対戦し、1-2で逆転負けした。
JFLはJ2より2つ下のカテゴリー。山雅が12年のJリーグ入り以降に、天皇杯で下のカテゴリーのチームに敗れたのは初めて。

挑戦者として果敢に向かってきた相手に対し、山雅はほぼ主力メンバーで臨みながら受け身に回り、「完敗」(反町監督)した。
球際で激しくボールを奪い、徹底して短いパスをつないで迫ってくる相手に気おされたように、山雅は序盤から後手を踏んだ。
それでも前半26分、工藤が奪ったボールを三島がつなぎ、高崎が決めて先制。しかし、その3分後、右サイドを崩されてクロスから失点し、追い付かれた。
後半も相手の動きは衰えず22分、左からのクロスを合わせられて逆転を許す。山本、ウィリアンスらを投入して攻撃のギアを上げたが、得点できなかった。
反町監督は「サッカーの原点に立ち返らなければならない内容。技術的な問題でなく、フットボーラーとしてファイトできていたのかどうか」と指摘。
先制点が実らなかった高崎も「気の緩みがあったと思われても仕方ない。リーグ戦でなくて良かったと考えるしかない」と、硬い表情で振り返った。
リーグは11日に再開し、2位の山雅は6位の京都を迎え撃つ。天皇杯敗退は、J1昇格を目指すリーグでの戦いに吉と出るか凶と出るか。反町監督は「もっと精進し、今日の負けを次に生かさなくては」と前を見た。
(長岩将弘、田中信太郎)