月別アーカイブ: 2016年5月

J2第14節 町田に価値ある勝利

160524yampJ2は5月22日、各地で第14節を行った。暫定6位の山雅は、同2位の町田ゼルビアとアルウィンで対戦し、1-0で勝った。会心の内容とは言えなかったが、「勝てば勝ち点6の価値がある」(反町監督)上位との対戦を無失点で制し、チームは手応えと自信を得た。順位は6位のまま。
今年4季ぶりにJ2で戦う町田。前評判を覆す快進撃を「妥当な結果」と評し、「相手のやりたいことをやらせず、いかにこちらのサッカーを貫くか」と警戒していた反町監督。試合後に「準備してきた成果は出せた」と、ほっとした表情を見せた。
前半に主導権を握ったのは町田。山雅は決定的な場面こそつくらせなかったものの、最終ラインを高く保って押し込んでくる相手に、自陣でのプレー時間が長くなった。攻めてもボールが落ち着かず、決定機に持ち込めない。
最終ラインの裏への長いボールや、球際で数的優位をつくることを徹底した後半、山雅は徐々にリズムをつくり出す。
15分、ショートCKから工藤が上げた左クロスに飯田が頭で合わせて先制。終盤はゴールに迫られる場面もあったが、しのぎ切った。
指揮官は「ロースコアの争いを勝ち切れたことはうれしい」としつつ、「全体的に体が重くてボールのコントロールも良くなく、つまらないミスが多かった」と指摘。
決勝点を挙げた飯田も「セットプレーからの1発で勝ち、ある意味では僕たちらしかったが、(パスをつないで崩すという)やりたいことは結局できなかった」と振り返った。
ただ、3試合連続の無失点は今季初。ここ5試合でも失点は1にとどまる。
工藤が攻撃陣のふがいなさに自戒を込め、「点も飯田が取り、守備陣の頑張りが際立った」と言う通り、守備の安定感は増しつつある。
反町監督は試合後のインタビューや会見で「連勝しなければ意味がない」と繰り返した。次節も勝てば、J1自動昇格圏の2位が見える。
(長岩将弘、大山博)

満開のニリンソウとオシドリ共演(北ア上高地・徳沢)

160521sikip満開のニリンソウの花園に現れた婚姻色に着飾ったオシドリの雄=5月13日、上高地徳沢園、ニコンD3、ニッコールED300ミリ

残雪がまぶしい穂高連峰を背景に新緑がさわやかな上高地(松本市)。この季節を代表する草花はニリンソウ。明神から徳沢にかけ、地上の銀河のように映る明るい群落が目立つ。
快晴の13日、徳沢園で満開のニリンソウの群落を撮影していると突然、婚姻色に着飾ったオシドリの雄1羽が現れた。繁殖期特有のオレンジ色のイチョウ羽が鮮やかだ。少し離れた場所には、保護色か、地味で目立たない色合いの雌の姿が。
雄がカメラに向かって近付いてくる。雌を守るための行動か?こんな番(つがい)の愛らしい光景を見ていると「仲睦まじく末永く『おしどり夫婦』のように…」、そんな結婚式でのスピーチを思い出す。確かに繁殖期、しつこく雌につきまとう雄の行動は、仲睦まじく見える。だが、実際のオシドリの番の生態は―。
1985年、日本新聞協会賞を受賞した信濃毎日新聞の「新しなの動植物記」(写真連載企画)の取材で記者が知ったオシドリの意外な生態が脳裏にやきつき離れない。「オシドリの番は雌が卵を産む頃まで。子育ては雌がする。雄はほかの雌と番になる」。教えてくれたのは、山階鳥類研究所名誉所長で鳥類学者の山岸哲さん(須坂市出身)。「おしどり夫婦」は、実態とはかい離した、理想の世界の言葉である。
(丸山祥司)

J2第13節 讃岐と0-0

160517yamp

J2は15日、第13節を各地で行い、前節まで暫定6位の山雅は同11位のカマタマーレ讃岐とアルウィンで対戦し、0-0で引き分けた。相手の2倍近いシュートを放ち、終始主導権を握りながら、好機を逸し続けた上、相手の守備戦術も打ち破れなかった。指揮官が強調する「相手の対策の上をいく」難しさを突き付けられる一戦だった。
前節は東京Vに敵地で4|0と大勝。連勝で勢いに乗りたかったが、勝ち点の上積みは1にとどまった。
序盤からボールを保持し、ペースをつかんだのは山雅。が、シュートやクロスの精度を欠き、讃岐の粘り強い守備にも阻まれて決め切れない。
後半も攻勢を続けたが、攻めあぐねるまま時間が過ぎ、終盤になると讃岐は中盤の選手も下げ、5、6バックにも見える布陣で山雅の攻撃をはね返す。ロスタイム突入直前には飯田を前線に上げて力押しを仕掛けたが、ゴールをこじ開けることはできなかった。
「蟻地獄」。最終ラインと中盤で強固なブロックを築いた相手守備を、反町監督はそう表現した。最後まで足を止めずに攻め続けた選手をねぎらいつつも、「われわれの工夫が足りなかったかもしれないし、最後の所でうまく守られたとも言える。悔いの残るゲーム」と絞り出した。
「やりたいことが7割くらいしかできないまま進んでしまった。ペナルティーエリア前まではボールを運べたが、そこからどう崩すかが、まだ不十分」と、もどかしげに振り返ったのは飯田。
一朝一夕に向上する点ではないだけに、途中出場の鐡戸が「チャンスを決めていれば、勝てた試合。個人じゃなく、チームとして決め切る意識を持つことが大事」と指摘する通りだろう。
ホームでの連戦となる次節(22日)の相手は、暫定2位の町田。「相手は上位なので(勝てば)勝ち点6に値する試合。そこに向けて、しっかり準備をする」と、指揮官は顔を上げた。
(長岩将弘、田中信太郎)

育成が開く未来 指導者の増強、普及で地域と連携

160512yamp山雅の選手育成・普及組織ユースアカデミーが今年、大きな改革に乗り出した。昨季初めてJ1で戦った経験を通じ、クラブは育成環境を充実させる必要性を痛感。活動の柱の一つに据え、未来への投資に取り組む。動き出した新体制の手応えや課題などを、アカデミーを統括する山﨑武ダイレクターの話を基にまとめた。
育成部門は指導者の増強に伴い、体制そのものが大きく変わった。
昨季まで5年間トップチームを指導した柴田峡コーチと本間康貴GKコーチ、当時J2鳥栖の監督などを歴任し、13~14年は山雅U-18(高校年代)を率いた岸野靖之さんら計7人が新たに加わった。全員が山雅以外のJクラブで、トップチームやユースの指導に携わった経験を持つ。
小学生から高校生まで、年代別カテゴリーの垣根を越えて指導する「アドバイザー」を新設し、岸野さんと柴田さんが就任(岸野さんは指導者派遣による松本大監督と兼任)。「プロの世界を知り尽くした2人」(山﨑ダイレクター)に、若手指導者を教える役割も期待する。
指導者が増え、各カテゴリーで試合に合わせた調整や、意図をより明確にした練習、試合のきめ細かい反省などがやりやすくなった。
人員配置も見直し、フィジカル専任トレーナーを置いて、さらなる技術の向上と習得に必要な体づくりを、普段の練習に取り入れる。
また時間の都合がつけば、全員が自身の担当と違うカテゴリーの練習や公式戦を見にいく。課題を共有し、より良くするための議論が日常的に交わされているという。
「カテゴリーを横断的に指導するアドバイザーに触発されてか、スタッフ間で自然にその雰囲気が生まれてきた」と、山﨑ダイレクター。昨年、松本市かりがねサッカー場ができ、練習場所が集約されたことも大きいという。

普及面では、サッカースクールの塩尻校が開校。4月にオープンした塩尻市広丘堅石のフットサル場「綿半フットボールパークFUTSALPOINT(フットサル・ポイント)塩尻」を拠点としている。
にぎわい創出を狙いながら地域貢献、青少年育成も掲げる運営企業と、山雅の思惑が一致。普及の拠点が増えただけにとどまらず、「企業とのコラボレーションという新しい形。これまで県内クラブになかったハードを持てた」と、山﨑ダイレクターはその意義を強調する。
スクールのスタッフだけでなく、アドバイザーを含む育成スタッフが普及に携わるのも、改革の一つ。個人の質を上げるため、トップから逆算して幼少期に何が必要か現場に伝え、落とし込んでいく-という考えだ。

育成各カテゴリーが参加する通年リーグ戦は5、6節まで終え、いずれも上位争いをしている。「結果が全てではないが、取り組みは間違っていない。そのスピード感を、結果や数字で示せているのでは」と、山﨑ダイレクター。
また、3月にはU-18の3人を、J公式戦に出場可能な2種登録にした。トップチームにけが人が相次ぎ、緊急事態の側面があったとはいえ、山﨑ダイレクターは「(トップ出場は)関係者の誰もが、まだ先と考えていた。夢が夢でないと知らしめ、きちんとU-18の選手を見てくれていた反町監督にも感謝」と、うなずく。
一方で明らかになってきた課題は、練習場所の不足だ。
現在はかりがねで、全カテゴリーが時間を区切って練習するが、食事や学習、睡眠など子どもの生活サイクルに配慮すると、練習に適切な時間帯が集中する。
山﨑ダイレクターは「かりがねを補える自前のグラウンドがあればベスト」としつつ、「スクール塩尻校のような形で、地域の力を借りながら解決を探る方法も」と見る。
(長岩将弘)