月別アーカイブ: 2016年4月

山崎商店がジビエ加工施設稼働「地域貢献へ」

鹿肉の卸販売などを行う山崎商店(松本市内田)は、ニホンジカなどの加工施設を造り、4月から稼働を始めた。松本平では初の施設だ。地の山の物を食べて育った鹿肉は究極の地産地消といい、市の名物に育て観光振興、猟師の収入にも結びつけたい考え。山崎●悟社長(41)は「(施設を持つ)夢がかなった。地域貢献につながればいい」と期待する。
松本市と塩尻市の境で、高ボッチスカイライン沿い。鹿などをつり上げるクレーン、冷蔵庫や冷凍庫などの設備がある。
山崎●さんは以前、かかわっていた飲食店で鹿肉を扱い、その知名度を高めたいと、扱う飲食店舗を増やすなどの活動を始めた。2012年に山崎商店を設立。本格的に卸、販売を手掛けるようになった。
「加工施設」は5、6年前からの望みだった。ニホンジカは頭数を減らすため殺されても、捨てられることが多い。「捨てるというのは、自分の中で納得できなかった。命を無駄にせず有効活用したら、鹿も喜ぶのではないか」と山崎●さん。
気持ちは募るが、土地の確保、資金など課題は山積みだった。住民説明会を開いても、理解してもらえない状況が続いた。最終的に、祖父の土地を利用することにしたが、荒れている上、ライフラインが全く通っておらず、苦労は多かった。市街化調整区域で開発の許可も必要だった。「ここまででき、ようやくスタートラインにたった」と言う。

鹿肉は高タンパク、低カロリーなどヘルシーで、需要は順調に伸びている。山崎商店を始めた時は、年間400キロだったが、昨年は約900キロを扱った。ホテルなどからの注文にも対応し切れていない状況だ。当面の目標は1日1頭の処理で、将来は3、4頭できるよう技術を磨いていく。現在は飲食店への卸が主流だが、ストックができたら一般への流通も考えていく。

県外から訪れた人から、「松本に来たのに、海の魚を出すのはおかしい」と言われ、地の物を食べたいという思いが強いと、痛感したという。肉だけでなく、皮を使ったバッグなどの開発も行っている。「山のものを食べている鹿は、究極の地産地消。加工施設を整備することで、流通が生まれる。猟師の収入にもつながり、後継者も生まれる。名物に育てば観光振興も。地域貢献ができればうれしい」。今後は、県内の加工施設と連携し、安定供給できる体制づくりを進めていく。
山崎商店・電話090・3585・0493
(八代けい子)
●=崎の大が立の下の横棒

松本理容美容専門学校 来年度から理容科を再開

松本市宮田の松本理容美容専門学校(百瀬照江校長)は来年度、理容科を7年ぶりに再開する。このままでは理容師の減少が止まらないと、地元の若手理容師たちが同校に働きかけて具体化した。
同校は、高校生を対象にしたオープンキャンパスを来年3月まで1年間に全10回開く。参加者は美容、ビューティビジネス、理容の3科で、授業で学ぶ実技を体験できる。理容科は2010年度で休止。在校生や教諭がいないため、既に営業している理容室のオーナーたちが体験の手伝いや話をし、理容科の魅力を伝える。
23日の初回オープンキャンパスに参加した高校生は県内在住の26人。美容科では練習用のマネキンの髪のカットと特殊メークのひとつの傷メークを体験。ビューティビジネス科はオーガニック化粧品の手作りと最新の光脱毛器で脱毛した。
理容科は、松本市の理容店スモールバンブーと美容室CASAを経営する小竹信希さんが指導し、ヘッドスパを行った。
参加した若林弥工(みく)さん(17、長野市)は「代々理容店を営んでいる中で育ち、理容師になりたいと思っていた。松本理容美容専門学校で理容科が再開されるため、県内で学べてうれしい」と話す。
「再開される理容科は地元の理容師、理容室のオーナーの人たちの指導が加わるので、より即戦力となる人材が育つ新しい理容科になるだろう。理容科はもとより美容科、ビューティビジネス科の体験にぜひ来校してほしい」と、桐山美奈広報部就職部主任。
次回のオープンキャンパスは5月14日。同校電話26・2195
(伊沢雅子)

三郷にドローンのフライト練習場がオープン

安曇野市三郷に5月1日、小型無人機・マルチコプター(ドローン)の専用フライト練習場「エアフィールド・アイ」がオープンする。遊休農地を活用した県内初の施設。ドローンは災害現場などでの有効性に注目が集まる一方、飛行場所が制限され、操作技術の向上が課題だっただけに、操縦者の育成にも期待がかかる。
練習場は、松本市安曇の住宅型有料老人ホームを運営する安寿の里のりくらの大久保泰誉社長(74)の所有地。広さ約1万6000平方メートルで、周囲はリンゴなどの果樹園に囲まれている。
「この場所に人を集め、有効活用したい」と考えた大久保社長が目を付けたのがドローン。大久保社長は昨年11月、ドローンの安全運用などのために設立された県マルチコプター推進協議会の会長で、ドローンを使った映像制作などを行うウィンバード(松本市島内)の酒井晃社長(57)に相談。協議会としての専用フライト場がないなど、飛ばす場所に頭を悩ませていた酒井社長にとっても「この上ない話」で、両者で準備を進めてきた。
練習場には休憩所やバッテリーの充電施設、駐車場なども完備。レンタル用のドローンも用意し、松本平のラジコン愛好家が常駐して操作技術の指導などもする。また、周辺の農家から畑の上空を飛ばす許可も得ているという。
大久保社長は「多くの人が集まり、地域おこしにつながれば。指先や頭を使うドローンの操縦はお年寄りの刺激にもなり、介護の分野でも活用したい」と話した。
これを機に推進協議会は、個人会員の募集もし、災害時などに行政からの要請に応えられる技術を身に付けた操縦者の育成を目指す。また、5月下旬以降、推進協議会独自の技量検定試験を行うことにしている。
酒井社長は「技術の向上が最も重要で、それには飛ばさないと。新しい機器のテストの場にもなる」と話した。
エアフィールド・アイの入会金は5000円(1年間有効)。使用料は1時間、会員500円、一般1000円など。予約などはウィンバード 電話47・1205
(浜秋彦)

雪崩の巣の中で目覚める山小屋(北アルプス穂高連峰涸沢)

160428sikip涸沢ヒュッテ新館2階、ユキザサと呼ぶ部屋。天上から落ちた霜が床に凍り付き、冬将軍の猛威に耐えた光景が入ったばかりの光に浮かび上がる=ニコンD3、ニッコールED28-70ミリ、4月14日

深い残雪に埋もれたまま春を迎える北アルプス穂高連峰・涸沢。この氷河圏谷(カール)の底にある涸沢ヒュッテ。例年、大型連休前に行われる小屋の掘り出し作業の厳しさと苦労は、全国の山小屋にも類がない。
本隊入山1日前の14日午前、小屋の掘り出し作業の先発隊に同行。冬将軍の猛威に耐え、雪崩の巣の中で目覚める涸沢ヒュッテを目の当たりにした。
涸沢ヒュッテの目覚めは、新館2階のユキザサと呼ぶ部屋の小さな窓から始まる。真っ暗な部屋の中から一つだけ開いた小さな窓の明かりを眺めていると、涸沢に生きる2人の言葉が脳裏をよぎる。「涸沢ヒュッテの歴史は、雪崩との闘い。だが人も小屋もくじけなかった」と小林銀一会長。雪崩に「よく耐え、頑張ってくれた」と無事だった小屋に必ず語りかける山口孝社長。涸沢ヒュッテでは、小屋開け作業を親しみを込め「涸沢のお正月」と呼ぶ。
突然「おーい」。外でだれかが呼んでいる。そんな気がして小さな窓から急いで出てみた。まぶしい銀世界のステージから見上げる穂高連峰。紺碧(こんぺき)の空を切る険しい雪稜(りょう)が太古の表情で迫ってくる。岩峰岩壁を越え、ルンゼを越えて…。穂高の大自然が奏でる壮麗な春の交響詩「目覚めの刻(とき)」が聞こえてくるような気がした。
(丸山祥司)

熊本地震発生から2週間。支援活動続く

熊本地震の発生から28日で2週間。余震が続く熊本、大分両県ではいまだに4万人以上が避難生活を余儀なくされるなど、被害は深刻だ。一方、中信地域では被災地を支援しようと、街頭やイベントに合わせた募金をはじめさまざまな活動が行われている。そんな活動の一部を紹介する。

大町市の大町岳陽高校生徒会本部役員らは25日まで、校内や街頭で募金活動をし、計22万2856円が集まった。日本赤十字社を通して被災地へ送る。
街頭では21、22日、市役所とJR信濃大町駅前で行った。各日朝と夕の2回、生徒ら数人がお手製の募金箱と案内板を持って、大きな声で協力を求めた。
信濃大町駅前では通勤者に加え海外からの観光客らも積極的に応じ、生徒たちは「ありがとうございます」の言葉とともにメッセージカードを配って感謝を伝えた。市役所でも多くの職員や来庁者が募金に応じたという。
同校は本年度、大町と大町北両校が統合して開校。生徒会長は各校で選出された倉科有希さん(大町高出身)、青田龍輝さん(大町北高出身)が務め、募金活動も2人が中心になって企画した。
旧大町北高では、県神城断層地震などの震災募金を積極的に行っていたこともあり、青田さんが提案。報道などを通して熊本地方の被害の甚大さを知り、「自分たちにもできることがある」と考えていた倉科さんも快く応じ、活動が決まった。
倉科さんは「通り掛かる人が笑顔で募金してくれ、大町は本当にいいところだと感じたし、誇りに思った。お金だけでなく、『1人じゃないんだよ』という私たちの思いも一緒に届いてほしい」と話していた。

塩尻市のガールスカウト県第33団(山本佳菜子・団委員長)は20日、被災地に送ってほしいと、募金で集めた2万2850円を市に届けた。
小学生4~6年生6人が17日、市内で開いた「さくらフェスタ」会場で、予定していたシリア難民に送る募金と同時に、震災支援の募金も急きょ実施。
このうち5人が市役所を訪れ、箱に入ったままの善意を託した。
小口瑞生さん(桔梗小6年)は「知らないおじさんが一緒に立ち、『お願いします』と呼び掛けてくれ、たくさん集まった」と話していた。

松本市は29日まで、熊本市内に、被災建築物の応急危険度判定士を2人派遣している。
建設部住宅課技師の後藤淳さん(36)、同部建築指導課技師の伊藤潤さん(32)。建物を外側から目視したり、傾きを器具で計測し、危険度を判定。調査済み、要注意、危険に分ける。国から県を通し、要請があったという。20日からは全国から約150人態勢で、23日からは600人態勢。第2派の要請も見込まれ準備中という。
建築指導課の内城伸一課長(58)は「いつ来るかわからない松本地方の地震に、少しでも備えられるよう、現地で、いろいろ感じてきてほしい」。伊藤さんは「現地の人の不安を、少しでも軽くできるよう力になれたらいい」と話した。

松本市内田、JA松本ハイランドの農産物直売所ファーマーズガーデンうちだは23、24日、6周年感謝祭を開いた。地震災害を受けて急きょ、チャリティーイベントも行い、被災地への募金をした。
チャリティーは、地元産の長芋を使った「炊き立てとろろごはん」と直売所併設の農家食堂「季来里(きこり)」の特製みそ汁を両日各100食ずつ、来場者に振る舞い、熊本県のPRマスコットキャラクター「くまモン」が描かれた募金箱を会場に設置し、義援金を募った。
上條大店長は「困っている被災地のために少しでも役立ちたい」と話す。募金箱はしばらくレジに置き、支援を呼び掛ける。
(取材班)

洗馬小ピアノ修復へ 有志が委員会結成し募金活動

昭和初期に塩尻市洗馬の洗馬小学校に寄贈されたグランドピアノを修復しようと、洗馬地区にピアノ修復委員会が結成され、募金活動などを行っている。
ピアノは1934(昭和9)年、教育に熱心だったという洗馬芦ノ田の故・熊谷まさ江さんが寄贈。河合楽器製作所製で、鍵盤に象牙を使い、譜面台や脚には鳳凰(ほうおう)や菊などが彫られている。「初期の国産ピアノというだけではなく工芸的にも価値が高く、音色はまろやか」と両角啓子校長。
30年ほど前に使わなくなったといい、以前から修復が検討されてきたが、学校の備品ではない寄贈品に市の予算が付かず、具体化しなかった。
昨年12月、学校や地区の役員の間で、「洗馬小にある洗馬の宝」を何とかしようと、機運が盛り上がり、諸団体の代表も加わって、ピアノ修復委員会が結成された。これまで、公共施設などにポスターを張ったり、地区の全戸にチラシを配布したりして寄付を呼び掛けてきた。
両角校長は「昔から洗馬の人々は子どもの教育や育成に力を入れてきたが、今でもその“洗馬魂”を感じる」と話す。
同校は今年、校内に設ける、地域と子どもたちの交流の場「洗馬っ子ルーム」に修復したピアノを置き、地域の人や子どもが自由に使えるようにしたいという。
委員長の大栗克実さん(62)は「コミュニティースクールの立ち上げの年に、地域が学校を盛り立てることになる」と、期待する。
委員会は、修復にお披露目の費用なども含め約300万円が必要と見込む。寄付金は一口1000円から。地区内外から募っている。問い合わせは同校電話52・0072
(有賀則正)

5日まで松本城で「旧国宝・現国宝の城25城」展

松本市の国宝松本城太鼓門櫓(やぐら)内で5月5日まで、松本城の旧国宝指定80周年を記念した特別展「旧国宝・現国宝の城25城」が開かれている。かつて国宝に指定された全国の24城と現在の国宝5城の現状と昔の姿を写真パネルや史料で紹介、地震で崩れる前の熊本城の姿もあり、観光客の注目を集めている。
旧国宝の城は、1929(昭和4)年制定の旧国宝保存法によって指定された24城。その後、文化財保護法(1950年制定)に代わり国宝指定は、松本城、彦根城(滋賀県)、姫路城(兵庫県)、犬山城(愛知県)、松江城(島根県)の計5城となった。
会場では、旧国宝の城を年代順にパネル展示。45年の空襲で焼失した名古屋城、岡山城、福山城(広島県)、原爆で倒壊した広島城など古写真から再建前の貴重な姿が垣間見られる。
中でも、注目を集めているのは熊本城だ。今回の地震で屋根瓦の大部分が崩れ落ち大きく損傷した。本展では、地震前に撮影された写真の他、国重要文化財・北十八間櫓(地震で倒壊)、西南戦争で焼失する前の天守の古写真など貴重な史料が並ぶ。
松本城は、明治以降、廃城の危機にさらされたが、市民の手で守られ、1936(昭和11)年4月に国宝指定。その後、文化財保護法により52(同27)年、国宝に再指定された。
松本城管理事務所によると、廃城令で壊され、戦争で焼失するなど現在、江戸時代からの姿をとどめている天守は全国で12城だけという。
菅沼加那学芸員は「熊本城が地震被害にあわれたことに心痛む。展示を通して、文化財の大切さと城に関心を持つ人が増えてくれたら」と願った。
午前8時半~午後5時、無料。同事務所電話32・2902
(高山佳晃)