月別アーカイブ: 2016年4月

雪崩の巣の中で目覚める山小屋(北アルプス穂高連峰涸沢)

160428sikip涸沢ヒュッテ新館2階、ユキザサと呼ぶ部屋。天上から落ちた霜が床に凍り付き、冬将軍の猛威に耐えた光景が入ったばかりの光に浮かび上がる=ニコンD3、ニッコールED28-70ミリ、4月14日

深い残雪に埋もれたまま春を迎える北アルプス穂高連峰・涸沢。この氷河圏谷(カール)の底にある涸沢ヒュッテ。例年、大型連休前に行われる小屋の掘り出し作業の厳しさと苦労は、全国の山小屋にも類がない。
本隊入山1日前の14日午前、小屋の掘り出し作業の先発隊に同行。冬将軍の猛威に耐え、雪崩の巣の中で目覚める涸沢ヒュッテを目の当たりにした。
涸沢ヒュッテの目覚めは、新館2階のユキザサと呼ぶ部屋の小さな窓から始まる。真っ暗な部屋の中から一つだけ開いた小さな窓の明かりを眺めていると、涸沢に生きる2人の言葉が脳裏をよぎる。「涸沢ヒュッテの歴史は、雪崩との闘い。だが人も小屋もくじけなかった」と小林銀一会長。雪崩に「よく耐え、頑張ってくれた」と無事だった小屋に必ず語りかける山口孝社長。涸沢ヒュッテでは、小屋開け作業を親しみを込め「涸沢のお正月」と呼ぶ。
突然「おーい」。外でだれかが呼んでいる。そんな気がして小さな窓から急いで出てみた。まぶしい銀世界のステージから見上げる穂高連峰。紺碧(こんぺき)の空を切る険しい雪稜(りょう)が太古の表情で迫ってくる。岩峰岩壁を越え、ルンゼを越えて…。穂高の大自然が奏でる壮麗な春の交響詩「目覚めの刻(とき)」が聞こえてくるような気がした。
(丸山祥司)

3連勝で4位に浮上 J2第9節 群馬を2-1

160426yampJ2は4月23日、各地で第9節を行った。前節まで8位の山雅はアルウィンで16位ザスパクサツ群馬を2-1で下し、3連勝で4位に浮上した。相手の3倍以上のシュート16本を放ちながら、PKを含む2得点に終わるなど課題も残ったが、白星を重ねてチームは上昇気流に乗りつつある。(熊本地震で中止の試合があり、順位は暫定)
山雅は前半からボールを支配し、主導権を握った。29分、那須川の縦パスに反応した工藤が、巧みなトラップで相手をかわし先制弾。群馬に決定機をつくらせず折り返した。
後半も攻勢を緩めない山雅は22分、山本が自ら得たPKを落ち着いて決め、リードを広げる。
しかし35分、カウンターからクロスを頭で合わせられて失点すると、勢いに乗った群馬が攻勢に。
ロスタイムに山本がPKを外すなど、最後まで流れを取り戻すことはできなかったが、追加点を許さずしのぎ切った。
山雅は最初の失点はもちろん、終了間際にも相手に決定機をつくらせるなど、終盤の守備にも気迫を欠いた。
反町監督は「全体的に悪くはなかった」と総括しつつ、「悪くなかったではなく、良かったと振り返りたい。改善が必要」。那須川も「勝っている時こそ課題にしっかり向き合い、引き締めないと」と、戒めた。
大型連休中の次節(29日)以降は、9日間で3試合の過密日程が待ち受ける。
「順位や勝敗を抜きにしても、チームの完成度は上がっている」と飯田。チームの基礎である「タフさ」がものをいう連戦で、技術を上乗せする今季の方向性への手応えを、確かなものにしたい。
(取材班)

アルウィンにキテミテ! 来場者増狙い多彩な取り組み

160421yamp山雅は今季、ホーム試合の来場者を増やそうと、「キテミテアルウィン」と題したキャンペーンに取り組んでいる。J1だった昨季より客数減が見込まれるため、より観戦しやすい仕組みや試合以外にも楽しめるイベントを充実させ、新たなファンの獲得を狙う。
全試合で季節や特定の客層に向けた「ガールズデー」などのテーマを設定。シャトルバス乗り場に近い信州スカイパーク12号広場を「ファンパーク」とうたい、10試合ほどでイベントを集約する。
ファンパークはここまで、3月26日の第5節・山口戦と9日の第7節・徳島戦で開催。
山口戦では入学・新生活シーズンにちなみ、撮影した写真が表紙になるオリジナルノートの作成・販売や新加入選手のサイン会、徳島戦では春の交通安全運動に合わせてパトカーや消防車を展示し、子ども免許証の作成体験ブースを設けるなどした。
大型連休中の5月3日、第11節・C大阪戦では、家族連れ向けの催しを計画。体のサイズを実感したり、練習メニューを体験したりと、選手をより身近に感じられる内容といい、大阪名物の飲食ブースも出店する予定だ。
運営会社の上條友也副社長(59)は「アルウィンから少し離れているが、走って駆け付けてくれたり、試合開始後もとどまる人がいたりと、取り組みに手応えを感じる」と話す。

このほか新たな集客策として、B席(前売り2700円)に4人1組で座れるグループシートを設定。1万円で毎試合6組分を販売し、土産のグッズも付けて割安感を出した。
また、無作為の8試合で、選手が人文字でアルファベットを描く「キテミテカード」を1種類ずつ配る。全て集めるとメッセージが完成する仕組みで、収集欲をくすぐる。
遅めに来場した人にもわくわく感を持ってもらおうと、毎試合1万人目の入場者にプレゼントを用意。選手の写真パネルとサイン入りマスコットボールがもらえる。
5月22日の第14節・町田戦では、来場者に占める割合が少ない学生をターゲットに、いっそう割安なグループシートを用意するなど「お得感」がある仕掛けを計画中という。
アイデアを出し具体化する企画部の櫻井千尋さん(28)は「試合以外でも『アルウィンに行ったら楽しかったよ』と、人が人を呼ぶつながりを広げたい」と話す。
問い合わせは松本山雅電話88・5490
(長岩将弘)

選手らが熊本など被災地への募金活動

サッカーJ2松本山雅FCの選手会は19日朝、募金活動をJR松本駅前で行った。実家が被災した熊本県益城町出身の鐡戸裕史(33)、宇土市出身の山本大貴(24)両選手を含む25人が支援を呼び掛け、通勤・通学途中の人やサポーターらが寄付した。
鐡戸選手は両親と兄が暮らす住宅が被害を受け、夜は避難所に居るといい、「食料不足の今帰れば、自分の分も必要になる。家族にも『そちらで頑張れ』と言われた」と、募金箱を手に他の選手たちと少し離れた場所に一人立った。
友人3人と寄付した茂山鈴花さん(15、松本第一高1年)は「被災地は遠く、ほかに物資を送るぐらいしかできないが、力になりたい」。
約1時間半で71万円余が集まった。山雅は23日のホーム試合でも募金活動をする。

ホーム初勝利 浮上の弾みに J2第7節 徳島に1-0

160412yamp

サッカーJリーグ2部(J2)第7節、松本山雅FCは9日、松本市アルウィンで徳島ヴォルティスを1-0で破り、今季ホーム初勝利を挙げた。サポーター1万人余りと喜びを分かち合った。
前半を0-0で折り返すと、山雅は後半10分に工藤浩平選手が先制点。後半ロスタイムにはサポーターが一丸となって「ワン・ソウル」コールを送り、選手を鼓舞。試合後は凱歌(がいか)「勝利の街」を高らかに歌い上げた。
工藤選手のサイン入りユニホームを着て応援した有賀大輝さん(26、安曇野市穂高)は「最高の気分。勝ち切れてほっとした」。2012年からサポーターの松井おりえさん(51、松本市寿)は「桜が咲いているときにホーム初勝利が味わえてうれしい。ダブルで春が来た」。昨年からアルウィンに通い詰める原弘さん(75、同市波田)は「得点後の選手の頑張りに体が熱くなった。今日もサポーターの一体感に感動。私も声が枯れちゃったよ」と大満足の様子だった。

今季ホームで初勝利を挙げ、第2節の横浜FC戦(3月6日)以来、約1カ月ぶりの勝ち点3を手にした山雅。待ちわびた1勝にアルウィンは沸いたが、2勝3分け2敗で14位と、苦しい状況は変わらない。白星を浮上のきっかけにできるか。真価が問われるのはここからだ。
前半は一進一退の攻防。山雅は相手の攻撃をきっちり抑えつつ、右の田中、左の那須川が何度か好機をつくるが決め切れず、前半は両者無得点。
試合が動いたのは後半10分。那須川の左クロスに遠いサイドの田中が頭で合わせてシュート。ボールはポストに跳ね返されたが、詰めていた工藤がすかさず蹴り込み先制した。
その後は、得点直後に失点する悪い癖をのぞかせることなく、集中力を持続。終盤は武井を投入して守りを引き締め、しのぎ切った。
反町監督は「(前節までの)6試合で学んだことは生かせた。チームも少し進歩した」と試合を振り返りつつ、「勝ったから全てOKというわけではない」。
無失点の守備についても、後半ロスタイムにゴールを直接狙える位置でFKを与える場面もあり、「安定しているとは思わない。特にラスト10分は、相手のミスに救われた部分もある」と指摘した。
ただ、ホーム3戦目でようやく得た白星に、選手たちがほっとしたのも事実だろう。田中が「課題はたくさんあるが、勝てたことを前向きにとらえ、続けていくのが大事」と強調した通り、自信につなげたい。
飯田は「次で勝ち点を落としたら意味がない」と力を込め、那須川は「この勝ちはいい意味で忘れ、また週明けからやっていく」と、次戦を見据えた。
(取材班)

序盤戦の手応え、決意は? 新加入選手に聞く

160407yamp今季は開幕から新戦力の多くが出場機会をつかみ、ピッチ上で奮闘している。6節まで終えて1勝3分け2敗、16位と厳しい戦いが続いているが、新加入選手たちはここまでの戦いをどう捉えているのか。序盤戦の手応えや今後への決意、松本の印象などを聞いた。
開幕時点の新戦力9人のうち、6節まで全試合に先発出場を続けているのはGKシュミット、MF宮阪=写真、DF當間だ。
MF武井は6節は出番がなかったが、5試合に先発。FW山本は開幕戦で途中出場すると、2節以降は先発に定着した。FW前田は主に試合終盤に投入され、4試合でピッチに立った。
選手たちは、パスをつないで攻める新たなスタイルへの挑戦には一定の手応えを得つつ、結果が伴わないことにもがいている。
ゴールを守り続けるシュミットは「特に5節の山口戦は自分のミスもあり3失点。いいスタートは切れていない」。
FW陣も焦りや悔しさをあらわにする。徐々に出場時間が延びている前田は、「ゴールもアシストも挙げていない。手応えはまだ全然ない」。
2節の横浜FC戦で、開始1分足らずで鮮やかな先制弾を決めた山本も「決定機はたくさんある。決めるべき場面で決められず、悔しい思いばかり」と振り返る。
宮阪は山口戦について「(いったんは逆転した)速さや力強さは、加入前から感じていた山雅らしさだと思う。そういう変わらない点もどんどん出していかなくては」と言う。
「勝ち切る試合を増やすため、ぶれずに続けてバージョンアップしていくことが大切」と當間。武井は「難しいトライだが、今は我慢の時。歩幅は小さいかもしれないが、着実に歩みを進めていく」と、前を見た。

選手らが住み始めた松本について聞くと、時期的なこともあり「寒い」という印象が強かったようだ。
「(昨季まで4季過ごした)山形より寒いです」と苦笑する宮阪は、2年前に亡くなった母方の祖父が諏訪市出身。「今年が御柱祭という点でも、縁を感じる」と話す。
諏訪から駆けつけた人に声を掛けられることも多いといい、「うれしいし心強い。しっかり結果を残すことが、祖父の弔いにもなるはず」と、表情を引き締める。
山本は、仙台から期限付き移籍した14年以来の松本。「温かく『お帰りなさい』と受け入れてもらえている。期待に応えなくては」と、闘志をたぎらせる。
武井は「自然が豊かだし、街並みがごちゃごちゃしていなくて暮らしやすそう」。當間は「やっと過ごしやすい季節になってきた。これから楽しみですね」と話す。

3月30日にはJ1鹿島から高崎が期限付き移籍で加入。3日の第6節・長崎戦では1トップに入り、得点に絡んでさっそく存在感を示した。
まだ出場機会のないDF安川、FW韓承炯(ハン・スンヒョン)、MF志知も含め、新戦力のさらなる奮闘に期待だ。
(長岩将弘)