月別アーカイブ: 2016年1月

新体制発表会 「新・起動」スローガンに

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サッカーJ2松本山雅FCは1月24日、松本市のまつもと市民芸術館で新体制発表会を開いた。反町康治監督や新加入9選手を含む28選手、指導陣らが勢ぞろいし、ファンやサポーター1500人余と対面。意気込みを語り、約1カ月後に迫った開幕へ気勢を上げた。
神田文之社長が、今季のスローガン「One Soul~新・起動~」を発表。「昨年でクラブは発足50年。今年はさらなる未来に向け、あらゆることを『新・起動』させる元年と位置付けたい」と説明した。
反町康治監督は「昨季の悔しさを胸に奮起し、ぜひともJ1への切符をゲットしたい」とあいさつ。
「新しい仲間やスタッフとともに、新たなチャレンジを結果に結びつけられるよう、情熱を持って最後まで諦めず戦う」(田中隼磨選手)、「持ち味のキックで決定的な仕事ができるよう頑張る」(宮阪政樹選手)など、選手らが一人ずつ思いを語った。
家族4人で訪れた小松誠さん(42、同市蟻ケ崎)は「サポーターもスローガン通り、あらためてやってやるという雰囲気に満ちていた」。長男の海斗君(10、開智小4)は新加入選手について「高さのある選手が多く、攻守で活躍してくれそう」と期待。「ぜひリーグ優勝を」と願っていた。
(長岩将弘)

東御に指導者派遣 未来への投資を強化

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サッカー松本山雅FCは14日、横浜Mヘッドコーチなどを務めた小林慎二さん(52)をテクニカルアドバイザーに招き、北信越リーグ(HFL)1部の社会人チーム・アルティスタ東御に指導者(監督)として派遣すると発表した。指導者派遣は、12月に発表した松本大に続き2例目。他団体との連携を強化し、普及・育成の推進や県内の競技環境向上など、未来への投資に力を入れる。
かつてから関係者同士の交流があった縁で、2年ほど前に東御が提携を持ちかけ、模索してきたという。
松本市並柳のクラブ事務所で会見した山雅の神田文之社長は「互いにサッカーを取り巻く環境を整え、地域に影響を及ぼせるクラブに発展していきたい」と話した。
加藤善之副社長は「特定のクラブへの肩入れではなく、地域との連携強化の1つ」と強調。東信地域での普及拠点拡大や、東御がプロになれなかったりプロ契約を終えたりした選手の受け皿となる将来像なども見込む。
小林さんは現役時代、横浜フリューゲルス(当時)などで反町康治監督とともにプレーした経験もある。引退後は横浜Mで、育成年代からトップまでの指導に携わった。
小林さんは「プロでもアマチュアでも苦労はあり、強いメンタルが必要。難しい使命だが全力で成し遂げ、長野県のサッカーにも貢献できればいい」と、決意を話した。
HFLは日本フットボールリーグ(JFL)に次ぐ地域リーグの1つで、8チームずつの2部制。中信勢では、Jリーグ入りを目指すアンテロープ塩尻が1部に参戦している。

再び上目指し 選手28人で始動

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サッカーのトップリーグJ1に昨季初めて参戦し、年間16位で降格、今季2年ぶりにJ2で戦う松本山雅FCは15日、松本市かりがねサッカー場で今年初めての練習を行い、本格始動した。13日にはアルウィンで新加入の選手・コーチ陣の記者会見を開いた。就任5季目の反町康治監督の下、新戦力9人を加えた選手計28人と、一新したコーチ陣3人で、再びJ1を目指す戦いが始まる。

初練習は28選手全員が参加した。詰め掛けた300人余の拍手と歓声に迎えられてグラウンドに登場し、体幹トレーニングやボール回しなど、軽めの練習で1時間余、汗を流した。
グラウンド北側のスタンドで見守った平賀純子さん(53、松本市征矢野)はJリーグに参戦して以来、初練習を毎年見学している。「新戦力では、2014年に所属し戻ってきてくれた山本大貴選手と、移籍した村山智彦選手の穴を埋めるシュミットダニエル選手に期待したい。1年でJ1へ、反町監督を信じています」と、力を込めた。
小林隆伸さん(30、同市深志)は「近年はホーム初勝利までが遠い。今季はホーム開幕戦(3月20日)で白星を」と期待する。
地元の少年クラブチームで田中隼磨選手の後輩だった小林さん。「今季はゴールが見たいですね」と、先輩の活躍も願った。

13日の記者会見には新加入の選手、コーチら全員が出席。自己紹介をして決意を述べた。
加藤善之副社長は選手補強のポイントを「若返りを進めつつ、各ポジションに同等の力の選手を2人以上そろえて、競争を促すようにした」と説明。
選手獲得を担う南省吾テクニカルダイレクターは「より強い個性や特徴を持った選手たちが加わった。そういった面でのプラスアルファを期待している」と話した。
新コーチには、大分や清水を率いて山雅と対戦経験もある田坂和昭さんも就任した。
「ここ(アルウィン)はまさにサポーターと一緒に戦っている雰囲気があり、対戦していて嫌だったが、これが味方になるのはうれしい」と話し、「J1に戻るのが最大の目標。持てるものを精いっぱい出して戦う」と力を込めた。
チームは18日から静岡県御殿場市でキャンプ。24日にまつもと市民芸術館で新体制発表会を開き、全選手や指導陣、スタッフがファンらと対面する。
26日から再び御殿場市などでのキャンプを経て2月28日、ロアッソ熊本と敵地での開幕戦に臨む。
(長岩将弘)

育成環境強化へユースアカデミーの体制を刷新

160112yampサッカーJ2松本山雅FCは今季、クラブの育成・普及組織ユースアカデミーの体制を刷新、拡充する。これまでNPO法人山雅スポーツクラブが担ってきた中学生年代の指導をクラブ運営会社に移し、指導陣も増強。従来の高校生年代と合わせ、育成は会社が担う。一方でNPOは普及事業に特化し、さらなる底辺拡大に注力。クラブが今後の柱の1つに据える育成環境強化へ、具体的な取り組みが緒に就いた。
昨季までトップチームのコーチを務めた柴田峡さんや本間康貴さんを含め、アカデミーには新たに7人の指導者が加わった。指導者派遣で松本大の監督に就任した岸野靖之さんもアドバイザーとして携わり、Jリーグでの豊富な指導経験を還元。質・量ともに充実の顔ぶれだ。
NPOはこれまで、主に保護者の会費収入で運営してきた。中学生年代の移管により経営面の負担も減らし、普及拠点の拡大や選手発掘などに集中できる環境を整える。
クラブによると、アカデミーの今季予算は昨季に比べ人件費が約3倍、運営費は約1・5倍になる見込み。加藤善之副社長は「トップチームの予算を削らず、育成に投資できる資源を確保できた」と明かす。
7日、市内で記者会見した神田文之社長は「この投資がどんな結果をもたらすかは全く未知。クラブとしても大きなチャレンジ」としつつ、「育成の大事さが理解されたということでもある。スピードを上げ、トップチームで活躍する地元選手を一日も早く出す」と力を込めた。
(長岩将弘)

厳寒の上高地 春待つニホンザル(松本市)

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太古の表情を見せる白銀の穂高連峰を背景に樹上で休むニホンザル。厳寒の上高地で越冬し雪の中で命をつなぐ=ニコンD3、ニッコールED80-200ミリ、2015年12月20日、上高地大正池付近

 
今年の干支(えと)は申(さる)。日本にいるニホンザルは、人間を除く霊長類の中では最も北に生息する。雪の中で生きるサルは珍しく研究者たちが注目。世界の人々から「スノーモンキー」と呼ばれている。
「全国で最も厳しい環境に生息するのは、上高地で越冬するニホンザル」と信大山岳科学研究所教授の泉山茂之さん(動物生態学)に以前聞いた記憶がある。
雪に閉ざされた冬の上高地は、氷点下20度を超えることも。昨年12月20日、極寒に耐えて越冬するニホンザルに急に会いたくなって、冬季閉鎖された暗い釜トンネルを歩き早朝、氷点下11度と冷え込む上高地に入った。
サルの群れを探して小梨平まで歩く。大正池付近と小梨平では、雪上に樹皮を食べたハルニレの小枝が散在。河童橋周辺では、エゾヤナギの樹皮がはがれた木も。昼下がりの帰路、大正池付近でようやく群れに出会えた。冬の上高地のニホンザルの主食は、ハルニレ、エゾヤナギなどの広葉樹の樹皮やシナノザサの葉。水生昆虫の幼虫も食べる。
スノーモンキーと呼ばれる仲間には、決まった時間の給餌や“温泉付き”もある。だが厳寒の上高地で越冬するニホンザルには無縁(猿)だ。ひたすら樹皮とササの葉を食べ、必死に命をつなぎ、好物の草木が芽吹く本格的な春をじっと待っている。
(丸山祥司)

試練の時どう乗り切るか 4者に聞く

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県内サッカークラブで初めてJ1に挑んだ昨年だったが、降格が決まった松本山雅FC。これまで順調にステップを上がってきたクラブにとって、わずか1年でのカテゴリーのダウンは、初めて迎える「試練」と言ってもいい。
クラブと地域が手を携えて再びJ1へ、さらにその先へと成長曲線を描いていくために、2016年シーズンはどう臨めばよいか。山雅を取り巻くさまざまな立場の代表者に聞いた。

【ホームタウン】松本市文化スポーツ部長・寺沢和男さん
松本市では、昨年4月に完成したかりがねサッカー場の優先利用への配慮や、市内8カ所でのパブリックビューイング実施、アウェー観客向けの観光・グルメマップ作成・配布といった支援を行いました。クラブと地域の絆の後押しにできる範囲で徹する、側面支援のスタンスです。
昨年は4市1村合同のホームタウンデーを9月に初めて行い、横のつながりを広げることができた点も大きな収穫でした。今後さらに発展させ、連携を探りたいと考えています。
山雅のJ1参戦による県内への経済波及効果が54億円余にのぼったと、市内の民間シンクタンクが発表しました。すごかった前年の試算を11億6000万円上回っています。要因の1つとして、アウェー観客の入り込みは予想以上でした。
私もスタジアムに足を運び、アウェー観客と言葉を交わした中で、「山雅の一体感ある応援を見に来た」と聞いたのは、非常に印象的でした。
プレーするだけでなく、見る、支える、応援するといった、多様なスポーツとの関わり方とその楽しみを、山雅は教えてくれています。地域活性化と言うとき、山雅を軸に家族の絆が深まる、新たな仲間ができる、生きがいが生まれる-といった、数字や形に表れない効果こそが大事だと思っています。
アウェー観客は昨年より減るでしょう。J2クラブはJ1に比べ、総じて観客の絶対数が少ないので、仕方ない部分はあります。その減少分をどう受け止め、モチベーションを上げていけるか。今までの勢いを証明する正念場です。
ただ、結果はどうであれ、諦めず戦い抜く山雅スタイルにこそ、われわれは感動してきました。
悲観はしていないし、上位争いに絡めば、より盛り上がるかもしれない。引き続き、可能な限りの協力をしていきたいと思います。

【試合運営ボランティア】「チームバモス」代表・豊岡圭さん
想定通りできた部分と、そうでなかった部分とがありました。観戦ルールの変更もありましたし、J2の満員とJ1の満員とはやはり違い、大変でした。
アウェー観客が多くなるという点は分かっていましたが、想像以上に人の流れが速かったり、初めて来る人も多かったりと、14年までとは明らかに勝手が違った。昨年から行われた再入場の対応も、慣れるまでは時間がかかってしまいました。
日程の都合で連戦も多く、裏方として苦労した部分もありました。それでも、お客さんに大きなトラブルがなかったことには、胸をなで下ろしています。
昨年のボランティア登録者数366人は過去最大です。1試合あたりの参加者は120人余。14年までは多かったとも感じましたが、昨年は必要と見込んだ人数には結果的に足りなかった、という印象があります。
ただ、再入場担当者を置いたり、あまりできていなかったごみ回収を強化したりということもあり、単にJ1になったことだけが要因とは言い切れないでしょう。
もちろん人集めの難しさもある。「ここは警備員のほうがいい」「ここはお客さんの目線に近いボランティアがいい」といったように精査しながら、クラブと一緒に適正な人数を探っていくことが課題です。
J2降格が試練だとは思っていません。われわれが目指すのはカテゴリーに関係なく、「満員」の試合が続いても当たり前に観戦してもらえることです。
マラソンに例えれば、昨年は完走することに懸命でした。今年はペースも考えながら、勝てる走りを考えなくてはなりません。
昨年の反省を生かし、またJ1に上がったときに向けてベースをつくる、大事な年になるでしょう。

【運営会社】松本山雅副社長、事業本部長・上條友也さん
クラブの収益事業としては、広告、入場料、物販と、大きな3つの柱があります。昨年はそのどれもが14年より大幅に数字を伸ばし、全体の収入では2倍近くになりました。年初の見込みよりも大きな数字です。
J1に上がったことで広告料、入場料ともに引き上げたのですが、幸い多くのスポンサーの皆さまにご協力いただけましたし、スタジアムの観客収容率もJ1でトップ。クラブ創立50周年関係のプロモーションもあって、物販も好調でした。
もちろん課題はたくさんあり、これでいいというわけではありませんが、これまで積み上げてきたことのブラッシュアップ(磨き上げ)でJ1初年度を乗り切れたことは、クラブ運営の自信になりました。
J2で戦う今年、やはり入場者数が減ることは避けられないでしょう。それでも、再びJ1に上がった時の土台を築くためには、収入の維持が欠かせません。全般的に広告料と入場料は据え置き、特に入場料は一部引き上げを決めました。
広告料については、私も含む営業の努力でスポンサーに一層の理解と協力をお願いしていきます。入場料に関しては、集客のためのさらなる魅力づくりに取り組まなくてはなりません。
例えば、昨年はホーム試合時にイベントを行うファンパーク(12号広場)を活用しきれなかったという反省があります。ここを充実させ、試合以外に楽しんでもらえる催しをもっと増やすべく、知恵を絞っていきます。
引き続き地域を盛り上げていけるか、心配はあります。しかし何よりも、いかに魅力あるクラブにしていけるか、それを発信していけるか、われわれにかかっています。
社内でも、「われわれが今まで以上に汗をかかなくてはいけないよ」と伝えています。今年こそ、クラブの力が試されるでしょう。

【育成組織】ユースアカデミーダイレクター・山﨑(●)武さん
昨年はU-18(18歳以下)の1stチームが県2部リーグで優勝し、1部に自動昇格。U-12が初めて全日本少年大会県予選を制し、全国大会に出場を決めるなど、トップチームのJ1昇格に後押しされるように、小、中、高、全ての年代が結果を出してくれました。
もちろん結果が全てではありませんが、やり続けてきたことは間違っていなかった、との思いを強めることができました。
トップがJ1で戦ったからこそ見えてきたものが、ユースにもあります。
松本市かりがねサッカー場ができて、トップの選手が練習している隣のグラウンドを使わせてもらい、これまで以上の注目を選手たちが実感しながら戦えたこともあるでしょう。
一方で、監督や選手があれだけ一生懸命やっても通用しない場合がある。子どもたちがJ1の厳しさを目の当たりにできたことも収穫です。
ただ、われわれの最大の使命は、地域貢献とプロ選手の輩出です。Jクラブの育成組織としては、本当にまだまだ。地域の既存団体とうまく連携しながら、県内の育成年代の「当たり前」のレベルを変え、プロ選手に至るモデルを示していかなくてはなりません。そのためには選手だけでなく、われわれ指導する大人も、もっと成長する必要があります。
それはもちろん、将来的にトップチームがJ1で効率よく戦い続けるための鍵でもある。今年、ユースアカデミーアドバイザーとして岸野靖之さんを招いたことは、クラブの決意表明でもあると考えています。
育成組織の場合、1段飛ばしの成長はできません。J2のアカデミーだからできない、やらないではなく、たゆまず歩みを進めるしかないと思っています。
●=崎の大が立の下の横棒なし
(長岩将弘)