月別アーカイブ: 2015年12月

困窮者支援の拠点を 中信の有志集い「よりそい福祉バンク」

中信地方の有志が市民参加型の困窮者支援の恒常的な拠点をつくろうと「よりそい福祉バンクまつもと」(荒川大代表、松本市開智)を結成し、12月から活動資金のためにバザー会場などでの販売と広報活動も始めた。よりそいバンクは家庭や企業にある、まだ使えるが不用の品を回収し、生活困窮者や障害者、災害被災者などの生活支援物資として届けて有効活用する。将来的には物資の仕分けやリユース作業、販売業務を障害者やひきこもりの若者の就労支援に結びつけたいとしている。一般社団法人の登記手続き中。
中心メンバーは塩尻市の運送業荒川さん(51)、松本市の牧師柳谷知之さん(49)、福島から移住した森永敦子さん(55、手をつなぐ3・11信州代表)。これまで路上生活者や震災被災者、避難者への支援活動などで協力関係にあったという。
福島へ支援物資を送る活動を個人的に行ってきた荒川さんは、ある時「余剰米をください」と新聞のインフォメーション欄に出したところ、安曇野市の女性から「私は明日食べる米が無い」と電話を受けた。「結局その人に渡せなかった悔いの体験から、広く困窮者を助ける仕組みが必要と思った」と話す。
よりそいバンクは食品、日用品、家具、電気製品などの物資から、空き倉庫や店舗などの提供、寄付やカンパを募集している。連絡先は荒川さん電話070・5095・8861、メールyorisoi.bank@gmail.com
(谷田敦子)

学生のビジネスアイデアコンテスト 松本で1月17日

「信州松本REinnovation~学生が考えるビジネスアイデアコンテスト」は1月17日、松本市中央公民館(Mウイング)で開く。同市内で今年6回開かれた、学生と社会人が働くことについて共に考える「はたらくってなんなんだろう会議」の実行委員会が計画。学生でつくる実行委員は「地域の人にもたくさん来てほしい」と呼び掛ける。
当日は、「松本をはじめとする信州をより良くするアイデアや事業プラン」をテーマに、信大、松本大、未来ビジネスカレッジから応募のあった計5組が、独自のアイデアを発表する。
発表者には事前に、プレゼンテーションの場をつくる信大生らのプロジェクト「scrap」のメンバーと、コンテストを後援する松本商工会議所青年部の部員が1人ずつ付いてサポート。本番までの期間、プレゼン、アイデア共に3者で磨きをかける。
来場者にも積極的に参加してもらえるよう工夫。発表後、来場者が着くテーブルごとに、それぞれのアイデアについて議論を交わす時間を設ける。これを意見としてまとめて発表者に伝え、アイデアの実現などに向けてさらに練ってもらう考え。アイデアについて、発表者と直接意見を交換できるブースの設置も考えているという。
「今までにないようなビジネスアイデアコンテストをつくりたい」と、実行委員長で「scrap」のチーフの渡部広機さん(19、信大繊維学部1年)。「地域のいろいろな人に来てほしい。学生にの刺激にもなるし、学生の新鮮なアイデアを聞く機会にもなると思う。参加した全員が実りのあるコンテストにしたい」と話す。
午後2時開始。入場無料。詳細はホームページ(http://hatakai.com)参照。渡部さん電話090・5319・2266
(大山博)

1~3日穂高神社 30回目の工芸二十人展

安曇野市穂高の穂高神社は1月1~3日、「秘めたる穂高の工芸作家二十人展」を開く。1986年、穂高町(現・安曇野市)に住む工芸作家たちの紹介を目的に始め、今回30回目。23人と2工房の作品の他、特別展示として穂高出身の荻原碌山(1879~1910年)、山本安曇(1885~1945年)、小川大系(1898~1980年)の彫刻各1点を並べる。
小平弘起宮司(74)は「30年ほど前、穂高に工芸作家が増えていたが、地元ではあまり知られていなかった。そこで、文化活動の一つとして紹介しようと考えた」。同地出身の漆芸家・高橋節郎さん(1914~2007年)に相談すると「穂高は昔から文化活動が盛んな土地。意義がある」と喜んだ。
当初は初夏に開催。4回目からは文化の日に開いた。当時を知る神官の一人は「作品を守るため、当直の神官は展示場所で寝た」と話す。
初回から参加しているステンレス彫刻家の中嶋大道さん(71)は「当時、地元開催の美術展は少なかった。神社の持つ包容力と知名度で30という回数を刻むことができた」と感慨深げ。今では、長女の明希さんも彫金作家として東京で活躍中。今回は作品「とぶ」を出品し、「地元の作家さんたちとごいっしょできてうれしい」。
正月開催は2015年から。2年目の今回が30回記念となり、神社は「大勢の参拝客に見てもらえるのでは」と期待する。
漆芸、彫刻、木工、ガラスなどの作家たちが出品。小川大系の作品は14年秋に穂高北穂高の清澤浩之さんが奉納した「碌山胸像」で、同展では初お目見えとなる。
午前9時~午後4時半。同神社電話82・2003
(長田久美子)

広がれ「フードドライブ」 松本地方で余剰食品を困窮世帯に

まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物を集め、生活困窮者などに無償で提供する「フードドライブ」の活動が、松本地方で広がりつつある。10月には活動を啓発、推進する団体「フードバンク信州」(長野市、NPO法人認証申請中)が発足。「30・10(さんまる・いちまる)運動」など食品ロス問題に力を入れる松本市で16日、市とフードバンク信州共催の「第1回まつもと『城のまち』フードドライブ」が開かれた。
会場の市役所東庁舎には、午前10時の開始時間前から市民が続々と訪れ、米、インスタント食品、缶詰、調味料などを持ち込んだ。総量は約290キロ。フードバンク信州の美谷島越子副理事長は「初回にこれほど多くの支援をいただけるとは。長野市で2度開いたが、ここまで集まらなかった」と驚き、カップめんを提供した朝日村の女性(33)は「初めてフードドライブに協力した。地元でも開催できたら」と話した。

松本では、市内で6つの児童館、児童センターを運営するNPO法人ワーカーズコープ松本事業所(城東)が3月から、独自にフードドライブを開始。児童センターのイベントや地域の祭りなどで、子どもと保護者が食品を募った。
開始当初の提供量は食品20個ほどだったが、次第に量が増え、今では段ボール箱が幾つもいっぱいになるほど。イベント時以外でも、「これを届けてほしい」と地域住民が食品を児童館に持ち込むようになるなど、取り組みが浸透を見せる。
伊藤由紀子所長は「『困っている人を助けよう』と子どもが主体的に動いたら親が動き、地域が動いた。取り組みの輪が広まれば」と期待する。
山形村社会福祉協議会も今夏、フードドライブを始めた。村内で「フードバンク協力ボランティア」を募集。東筑生活就労支援センターから要請を受けると、登録ボランティアに連絡して食品を提供してもらう。
小規模で実施し、食品はすぐ同支援センターに届くため、野菜など生鮮食品も扱うのが特徴。これまで4度実施したが、まだ認知度が低く、登録者は数名。「徐々に増やしたい」(村社協)という。

フードバンク信州の個人会員武井和善さん(63、松本市島立)は、仕事で個人宅を訪問する中で市内に多くの生活困窮者がいることにショックを受けた。「その日の粉ミルクを懇願する若い母親の姿が脳裏に焼き付いて離れない。昔は隣近所で食料を融通することもあっただろうが…。とにかく自分にできることをやるしかない」
松本市環境政策課の羽田野雅司課長補佐は「非常に重要な取り組みと考えている。今後も市内各所に会場を設けながら、定期的に実施したい」。課題は認知度の向上。美谷島副理事長は「大量の食品廃棄物が出る企業の協力をもっと得られるようにしたい」と話す。
フードバンク信州電話026・269・0026、メールfoodbank@npo-nagano.org

【フードドライブ】1960年代に米国で始まり、80年代にヨーロッパへ拡大。日本では2007年ころから広まった。
農水省によると、14年2月現在、フードドライブに取り組む団体は全国に40。県内では今年10月、県生協連やJA長野中央会などがフードバンク信州を設立。11月には全国組織「全国フードバンク推進協議会」が立ち上がった。
フードバンク信州は、賞味期限が明記され、期限が1カ月以上、未開封、生鮮食品以外のものなどを募る。主に各地の生活就労支援センターからの要望で実施し、センターを通じて生活困窮者へ提供される。
(松尾尚久)

大王わさび農場のカリヨン復活

安曇野市穂高の大王わさび農場にある大時計台に載るカリヨンの音色が12日、15年ぶりに復活した。修理に合わせ、壊れていた時計も新調。来年迎える開拓100年を前に、農場のかつての名物がよみがえった。
鐘はブロンズ(青銅)製で12個。それぞれは直径20~30センチ、重さ11~28キロで、総重量は約200キロある。スイング式ではなく、固定式で、内側にあるハンマーが鐘をたたいて音を出す仕組み。営業時間内の正時と、閉園の際に鳴るよう設定している。
レパートリーは50曲あり、季節ごとに曲を変更。25日までは、「ジングルベル」「もろびとこぞりて」など、クリスマスソングが流れた。この後、2月28日までは「埴生の宿」「大きな古時計」「富士山」など9曲が流れる。
大時計台は、レストラン横に1983(昭和58)、84年ごろに設置。レストランがスイス風のデザインだったことから、牧歌的メロディーを奏でるカリヨンを設置することにした。オランダのプティ&フリッツェン社製で、肉厚で形の美しさが特徴だ。当時、1鐘100万円ほどしたという。
これまで、故障したまま放置されていたが、今年、修理できる業者が見つかった。また、9月に時計が止まってしまったこともあり、連動しているカリヨンも一緒に直すことにした。
カリヨンの製造会社は現在、世界に4社しかなく、プティ&フリッツェン社は、その最高峰という。農場広報室長兼百年記念館館長の濱重俊さん(70)は「なんとか開拓100周年に間に合った」と喜ぶ。
同農場電話82・2118
(八代けい子)

LGBTに理解を ライブで表現

LGBT(性的少数者)当事者で、プロアーティストを目指す榊原舞花さん(23、塩尻市広丘堅石)は1月9日午後6時、辰野町民会館大会議室で開く「KSCLIVE」(トリニティ主催)に出演する。「ターニングポイント『今が転機』」というサブタイトルを掲げたステージで、LGBT啓発への原点に戻り、オリジナル曲で思いを表現する。
榊原さんは、男女共に恋愛対象となるバイセクシャル。飯田市出身で、高校卒業後、プロを志してギタリストに師事。その後、シンガー・ソングライターを目指し、現在はLGBT啓発の「闘魂ライブ」を毎月1回、辰野町で開き、動画配信サイト「ユーチューブ」などで世界に配信している。
1000人規模のコンサートを目指しているが道半ば。今回は、同じくLGBT当事者の西澤芽衣さん(26、岡谷市)ら4人でステージを行う。
榊原さんは幼いころから自分の性に違和感を感じ、高校時代、友人に自らが両性愛者であることを告白。「嫌われる、気持ち悪がられるかと心配したが、『それでも舞花は舞花だよ』と受け入れてもらえた」と振り返る。
その後、LGBTを明かして続けてきたライブに、心が男性で体が女性のトランスジェンダー(心と体の性の不一致)の西澤さんが訪れ、ライブに飛び入り参加したのを機に、2人での活動も開始した。
榊原さんは音楽、西澤さんは講演や当事者との対談などを行う月1回の「芽衣-VE(めいぶ)」で啓発に取り組む中、2人が本気で目指すのが「同性パートナーシップ条例の長野県での成立」だ。性的少数者への差別をなくし、多様性を尊重する社会を推進するもので、今年、東京都渋谷区で成立している。
ライブのテーマ「ターニングポイント」は、それに向けた決意表明でもある。2人は「13人に1人が苦しんでいると言われるLGBTなのに、知っている人が少ないのが問題。私たちの活動が1人でも多くの人を勇気づけ、違いを認められる社会に一歩ずつ進んで行けたらうれしい」と話す。
全席自由、3500円。問い合わせはトリニティ電話0266・75・0332
(井出順子)

学都松本の学びの場継承 「サロンあがたの森」再開へ

今年9月に140回で幕を閉じた市民文化講座「サロンあがたの森」が、来年1月9日、松本市あがたの森文化会館で再開する。12年9カ月にわたりサロンを担った旧制松本高等学校同窓会の思いを、市民有志でつくる実行委員会が引き継ぎ、学都松本にふさわしい学びの場にしていきたいという。
サロンの継続に当たっては、学都松本のシンボルの一つである重要文化財・旧制松本高校校舎(あがたの森文化会館)を活用、多くの人材を輩出した松高関係者の思いやその業績を伝えるとともに、松高の流れをくむ信州大学とも連携し、新たな「知」の発掘や発信を行うとしている。松高同窓会と旧制高等学校記念館が共催する。
原則として毎月第2土曜日(5、8月は除く)の午後1時半~3時半に開く。これまでのサロンの方式を踏襲し、話題提供者の話の後、参加者が懇談する。実行委員会は現段階では活動資金を持たないため、毎回200円の参加費を集め、資料やお茶代に充てる考えだ。
実行委員の田中健太郎さん(66、松本市征矢野)は「多彩なゲストを囲み、楽しく深く学ぶ会にしたい。気軽にご参加ください」と話している。

再開第1回(通算141回)の9日は、前信州大学学長の山沢清人さん(71、長野市)が「地域が人を育てる-松本で継承される松高から信大への全人教育」の題で話す。「人類の未来をも考えられる有為な人材を、松本で育てるためにはどのようにしたらよいか、一緒に考えたい」という。
山沢さんは東京都出身。2009~15年9月、信大学長を務めた。専門は電気機器学。今年4月の信大入学式での訓示の中で、「スマホをやめますか、それとも信大生やめますか」との発言が一部の新聞などに取り上げられ、話題を呼んだ。

2月13日は、笹本正治さん(信大地域戦略センター長)の「諏訪信仰と自然-日本の山岳信仰と水・風―」。3月12日は利き酒師の相澤節子さん(松本市中央1)、4月9日は長野県民藝協会会員の竹下賢一さん(松本市庄内2)を予定している。
旧制高校記念館電話35・6226。実行委の問い合わせは田中さん電話090・3585・6693
(谷田敦子)