月別アーカイブ: 2015年9月

梓川でホウレンソウ水耕栽培の三村さん 成功例を全国発表へ

松本市梓川で「あっきーファーム」を営む三村徳明さん(33)は来年3月、東京で開く第55回全国青年農業者会議に、関東ブロック代表として出場する。農業の高齢化、後継者不足がいわれる中、まだまだ珍しいサラダホウレンソウに着目。徹底的に作業効率を上げるなど、農業の可能性を広げようと力を入れている。
今年2月、東御市で開いた「明日の長野県農業を担う若人のつどい青年農業者プロジェクト活動コンクール」のプロジェクト発表の部で、「水耕ホウレンソウの栽培における作業効率の向上を目指した取り組み」と題して発表し、最優秀賞を受賞した。
県代表として、「関東ブロック農村青少年(4H)クラブプロジェクト実績発表会」でも最優秀賞を受賞。来年の全国青年農業者会議に出場することになった。
三村さんは、短大卒業後、松本市内で家具職人として働き始めた。しかし、オーダー家具は価格が高めの上、手頃な価格で販売する量販店もできたことから、新しい道を模索。自身の家に使っていない牧草地があり、これを有効に生かすためにも、農業に取り組むことにした。
農業は全くの素人。基礎を身に付けようと、2010年に「美味安全野菜栽培士」の資格を得て、家庭菜園で、いろいろな野菜を作り始めた。翌年から2年間、原村で、生で食べられるサラダホウレンソウの研修を受け、その後独立した。

鉄骨のハウス建設、水耕栽培のシステム、整地など、8000万円の費用がかかる。新規就農者では、前例がないほどの金額といわれ、資金調達には苦労したが、13年ようやくめどがついた。
オートメーションによる水の管理はもちろん、収穫しやすいよう大きな苗床が簡単に動くようにしたり、冷蔵庫にそのまま入れられる台車を手作りしたり|と、作業効率をアップし、高品質の物を栽培できるよう工夫した。
「サラダホウレンソウは、おいしく、無農薬で作れる。独自性があり、安曇野のきれいな水で育ったという付加価値もある」と三村さん。
県内外のスーパーなどで販売。松本市内のレストラン・結婚式場も利用している。「予想以上の売れ行きと高単価。多くの人の協力で就農できた。頑張りたい」と話している。
(八代けい子)

未来ビジネスカレッジ卒業生が母校で挙式

未来ビジネスカレッジ(松本市渚2)の校舎で12日、いずれも同校出身の中藤友介さん(23)、晴佳さん(25)夫妻の結婚式が開かれた。夫妻の「出会った場所で結婚式を」という願いを知った学校側が「生徒の実践の場にもしたい」と全面協力。ホテル・観光・ブライダル学科の生徒がプロデュースした。
友介さんはペットライフケア学科を、晴佳さんは動物看護師学科を13年に卒業。在学中に交際を始め、今年3月に婚姻届を出した。昨年9月に初めて校内で行われた結婚式に、友人として参列した中藤さん夫妻が感激。学校に要望し、実現した。
式は、晴佳さんの愛犬、カニンヘンダックスフントの「あおいちゃん(=ワンちゃん)」と、「1つの愛」という言葉を掛けた「OneLove」をテーマに挙行。人前式では、あおいちゃんも証明書に“足形”を押して“証犬”になり、2人の門出をしっかりと見届けた。
披露宴では、夫妻がリクエストしたピンクをカラーテーマにしたテーブルクロスやドレスが彩った。運営する生徒たちは無線機で連絡を取り合いながらスムースな進行に努めた。
この日のために、学科の2年14人を中心に、生徒たちは5月から夫妻と打ち合わせを重ね、綿密に準備してきた。構成を考えたり、招待状や席次表などのペーパーアイテムを作ったり。当日、ヘアメークなどでトータルビューティー学科が、ウエディングケーキ製作でパティシエ・ブーランジェ学科が協力した。
友介さんは「言葉にならない。今日という日を迎えられて本当に幸せ」と生徒に笑顔で感謝を伝え、晴佳さんも「生徒たちは、打ち合わせや提案も親身になって、長い間頑張って準備してくれた」と話し、感激した表情を見せた。
2年の五十嵐春菜さん(20)は「いろいろな苦労もあったが、感動もすごい。2人から感謝の声をもらったことも印象深い。学んできたことを実践でき、良い経験になった。2人にも感謝したい」と話した。
(大山博)

震災機に大町に移住のスパン子さん 新アルバム発売

東日本大震災を機に東京から大町市平に移住した音楽家、スパン子さんこと熊坂奈都美さん(43)が5年ぶりのセカンドアルバム「spannkosmo-piano」を発売した。10月2日、発売記念ライブ「ココロノカタチ-suzunone」を松川村のすずの音ホールで開く。自然豊かな木崎湖畔で暮らし3年余、多くの人と出会い、感謝の思いを曲に込める。
スパン子さんは東京都小金井市出身。6歳からピアノを始め、結婚、出産後も首都圏や関西を中心にライブ活動を続けてきた。2011年の震災と東京電力福島第1原発事故を機に、子育てしやすい環境を求め、一家3人で移住を決意。大町を選んだのは、以前、木崎湖畔でライブをした時、「何とも言えない心が落ち着く場所だった」からだ。
アルバムはピアノ曲がメーンの全12曲(3240円)。02年から大町で農業しながら音楽活動し、さまざまな人と出会い、変化した“ココロノカタチ”を曲にした。ジャズやクラシックの要素を含んだ深みのあるピアノの旋律が印象的だ。
スパン子さんは「忙しい日常の中、ふと一息つきたい時にぜひ聴いてほしい。空を見上げ、新たな気持ちで一歩を踏み出すきっかけになればうれしい」と話す。
アルバムジャケットは、茨城県在住の絵描き「natunatuna(ナツナツナ)」さんが一枚一枚手書きしたすべてデザインが異なる原画。ライブ当日は、会場でこれまで描いた作品を展示するほか、natunatunaさんが曲に合わせて即興で絵を描き、スクリーン投影するライブペインティングもある。
午後6時半開演。前売り2500円、当日3000円。中学生以下無料。予約・問い合わせはYショップニシ電話マーク0261・23・1900
(高山佳晃)

復興の軸に「強い観光」集客新たな動きも-御嶽山噴火から1年

戦後最大の火山災害となった御嶽山(3067メートル)の噴火から27日で1年を迎える。麓の王滝村や木曽町では、観光客の減少など厳しい状況が続く中、秋の行楽シーズン本番を迎え、昨年は噴火により中止になったイベントを再開する他、観光面で木曽地域を盛り上げようとする新たな動きも出ている。「御嶽山に頼り切りだった」という反省の声も聞かれ、麓から「強い観光」をつくり上げるスタートだ。
王滝村では10月25日、昨年中止した「おんたけ湖ハーフマラソン」を再開する。大会は2011年にスタートし、年々参加者が増加。昨年は参加者数の目標をそれまでの1500人から2000人に増やし、過去最高の約1300人が出場する予定だったという。
今年の現時点の参加者数は1000人を超えている。王滝観光総合事務所の大家考助理事長(64)は「再スタートにしては多くの人に集まってもらった」と喜ぶ。
村ではこの他、10月4日に初のノルディックウオーキングなどのイベント「王滝村おんたけ復興ウオーク」を開く。昨年9月1日からスタートし、1カ月足らずで中止になった「おんたけ湖カヌーツーリング」を今年5月から始め、11月3日まで続ける予定だ。
復興ウオークは「十分なPRができなかった」とし、参加者は多くはないが、「王滝村がウオーキングにも適しているかを探るいい機会」(大家理事長)と捉える。カヌーについては既に目標の参加者数500人を超えており、紅葉シーズンにさらに期待する。
噴火後、初の夏山シーズンを終え、大家理事長は「救助隊や報道陣などを除いた一般客は噴火前の2、3割に減った」とし、「いかに御嶽山の集客力が絶大で、それに頼り切っていたかが分かった」と自戒。その上で「これからは、麓の事業で幅の広い多様な観光をつくっていかなければ」と話した。

木曽町開田高原の街づくりの有志グループ、開田高原倶楽部(くらぶ)と松本市中央3のそば店・そば処(どころ)種村は、観光面で木曽地域を盛り上げようと「木曽応援協力協定」を結んだ。市民団体と個人店が交わす珍しい協定で、店を通じ木曽の観光や食をPRする。
種村の店主種村孝一さん(55)の妻嘉寿江さんが開田高原の出身で、店の内装に多くの木曽ヒノキを使い、店で出すそばや野菜、イワナなどの食材も開田高原産を積極的に使っている。
こうした縁から協定の話が持ち上がった。20日の調印式で交わした協定書には「木曽地域の観光やイベントのポスターなどを店内に掲示し、自然や食文化などのPRに努める」や「ポスターなどを定期的に店に送付し、店の求めに応じて目的達成の協力をする」など、お互いの役割が盛り込まれた。
倶楽部の坂口和芳会長(35)は「噴火で開田高原をはじめ木曽地域の観光客は減少している。店に協力してもらいながら木曽を元気にしたい」と期待し、種村さんは「開田高原を愛し、食を通じて故郷のように思っている。どんどんPRしたい」と応じた。

木曽町では10月3日に「木曽駒高原きのこまつり」を、18日に「信州木曽開田高原そば祭り」を再開する。
そば祭りでは、クラフトフェアと農家が秋野菜を中心に販売する「軽トラ市」を初めて行う。そば祭り実行委は「復興とはあえてうたってはいないが、目先を変えて、新たなファンができれば」。
(浜秋彦)

“幻の果物”ポポー 収穫始まる

朝日村の農業須藤護さん(61)の畑で、北米原産バンレイシ科の果物「ポポー」の収穫が始まった。明治中期に渡来したが、最近はあまり見かけず、“幻の果物”と言われている。食べ頃を迎えた実からはトロピカルフルーツのような甘い香りが漂う。
細長い楕円(だえん)形で、大きいものは長さ約15センチ、重さ430グラム。緑色の皮と薄いオレンジ色の果肉で、柿に似た種が入っている。マンゴーとバナナを合わせたような味で、とろりとした食感が特徴。「アケビガキ」や「森のアイスクリーム」とも呼ばれる。
珍しい野菜や果物に積極的に取り組む須藤さんは十数年前、インターネットでポポーを見つけ、取り寄せて食べたところおいしかったので苗木を購入。これまで約60本を植えた。
早めに取ると追熟せず、収穫後はすぐに熟し表面も黒ずんでしまうため取るタイミングや流通が難しいが、試行錯誤しながら3年前からファーマーズガーデンやまがたなどに出荷し、ネット販売もしている。
例年は10月初旬に出荷するが、今年は2週間ほど早く9月19日から始まり、ピークは10月1週目ごろを見込む。収量は少なめという。
「直売所に並んでもあまり手に取ってもらえない」と須藤さんは苦笑いし、「外見からは想像できない味。見かけたら一度は試してみてほしい」と話す。
須藤さん電話99・3130
(井出順子)

生坂のアウトドアフェス中止に

「ナガノアウトドアフェスティバルin生坂村2015」の実行委員会は、生坂村で26、27日に開く予定の同フェスティバルの中止を決めた。理由は「天候不良と気温低下、川の増水による安全確保の困難」など。チケット代の返金方法など詳しくはホームページ(http://nagano-outdoor-fes.com)で。

音楽イベント続けて19年 塩尻の田中雄一さん

塩尻市広丘高出の会社経営、田中雄一さん(43)が毎月1回開くDJとバンド演奏の音楽イベント「WONG・KEI(ワン・キー)」が、開始から19年目に入った。この間、休んだのは3回だけ。200回以上続く「希有な存在」のイベントは、音楽好きの大人の夜の遊び場だ。
12日午後9時、19年目で2回目のイベントが松本市深志2のライブハウス、スタジオソニックで開かれた。DJブースに田中さんが立ち、英国のロックミュージックを中心に、外まで聞こえそうな大音量の音楽を流す。訪れたお客さんは、音楽を聞きながら酒を飲んだり、踊ったり。田中さんも時折、音楽に合わせて大きな身振りで声を上げ、雰囲気を盛り上げた。
隣のスペースでは、「今日初めて会った」という客同士が酒を飲みながら談笑。DJを交代した田中さんも加わり、それぞれのお客さんに声をかける。客の半分以上は外国人。この日は13日午前3時半まで続いた。
田中さんは高校卒業後、ロンドンに留学。中学生の時に洋画を見て「字幕と実際に画面の中で役者がしゃべっている言葉の長さが違うのはなぜ」という素朴な疑問から英語に興味を持ったからだ。
ロンドンに約6年暮らし、帰国。父親が経営する会社を手伝う中で、留学中に経験したクラブやディスコなど、音楽を楽しむ場所がないと思い「それなら自分で」と1997年8月に「WONG・KEI」をスタート。イベント名はロンドンの有名な中華料理店の店名から付けた。
始めた当初は松本駅前の英会話学校の教師らが多数訪れ、会場の店の前には長蛇の列ができた。以降、客数は波があり、赤字になることも。しかし田中さんは「自分たちが大好きなことだから」と意に介さず続けた。
現在ならパソコンに音源を入れ流すことも可能だが、「その場の雰囲気に一番合う曲を流したい」と、毎回約2000枚持参するCDの中から瞬時に選曲するこだわりも人気を支える。この間休んだのは、始めてすぐの頃と、東日本大震災が発生した2011年3月、松本地方が記録的な大雪に見舞われた昨年2月の計3回だけだ。
田中さんは「新しい友達に出会えるのも楽しみの一つ。楽しいから続いているだけで、そうじゃなくなったらすぐにやめちゃうかも」と笑った。
次回は10月10日。スタジオソニック 電話32・5006
(浜秋彦)