月別アーカイブ: 2015年5月

中山産の貴重な漆使い 手塚隆さん作品展

塩尻市木曽平沢の漆家、手塚隆さん(65)は6月2日まで、松本市中山地区で採取した漆を使った漆器約100点を展示販売する「うるし展」を、松本市深志2の井上6階「ギャラリー井上」で開いている。貴重な地元の漆で仕上げられた器からは気品が漂う。
中山では30年ほど前から山の所有者たちが漆の木を育てていたが、14年度までにほぼ樹液を採り終え、本年度新たに木曽漆器工業協同組合(塩尻市木曽平沢)が植栽を始めたところだ。
漆を薄く塗って木目の美しさを生かしたり、何層にも塗り重ねて漆のつやや深い色で器を包んだり。手塚さんの手で仕上げられた食器、酒器、花器たちは、静かで力強い美しさをたたえている。
手塚さんは国産の漆にこだわり、主に岩手や茨城の漆を使う。透明感があり、さらっとしているのが国産の特徴。塗り重ねの回数で作品の表情に変化を付ける手塚さんにとって、国産漆は不可欠だ。
手塚さんは02、03年、中山の木から漆を採取。その木は山の地主が20年ほどかけて育てた木だった。
それから10年たった一昨年、知り合いの漆掻(か)き職人から突然連絡が入った。「10年前、手塚さんが中山で採取した木から、また漆を採りましたよ」
その一報に手塚さんは驚いた。1度樹液を採取された木は、弱るため伐採するからだ。木の生命力の強さを感じた山の地主が、手塚さんの掻いた木を切らずに育て続けたのだった。
手塚さんは一も二もなくその漆を分けてもらい、1年寝かせた後、作品を作り始めた。それらの作が今回並んでいる。
「漆の質は気候、土地の養分、木そのものの力、掻く人の技量などによって決まる。中山の漆は素晴らしい」と手塚さん。
地主が昨年亡くなり、作品を見てもらえなかったことを悔やむが、「松本の漆で作れることは大変貴重。地元の人にぜひ見ていただきたい」と話している。ギャラリー井上電話33・2349
(松尾尚久)

4日まで堀金で「田んぼギャラリー」

グラフィックデザイナー轟久志さん(41、長野市)と米の生産者の浅川拓郎さん(33、安曇野市堀金)は30日~6月4日、「田んぼギャラリー」を開く。今年5年目。浅川さん所有の堀金の田んぼにイーゼルを立て、「ごはん」をテーマにしたポスターを並べる。
会場は、ベイシアあづみの堀金店西側の田植えが終わったばかりの田んぼ。デザイナー、カメラマン、デザインを勉強する学生ら約30人の70点ほどを展示する。北アルプスの風景、青空なども取り込んだ、天然のギャラリーだ。
「ご飯は、米だけでなく、食事の意味もある。広く食事や農業をテーマにした作品が並ぶ」と轟さん。
田んぼギャラリーは2011年に始めた。翌年からは、木島平村でも開催。福島県で開いたこともある。
轟さんは「地元に田んぼがあり、そこで収穫した米が食べられることは、すごく幸せで誇れること。その良さに、気づいてもらえたら。米をもっと食べるきっかけになればうれしい」と話す。
今年は期間を長くし、例年行うご飯の試食の他、人気投票に参加した人に、浅川さんが作った米1合をプレゼント。米の販売もある。轟さん電話090・1866・4578
(八代けい子)

空き店舗改修のテナントで大門商店街活性化を

塩尻市の大門商店街の空き店舗を改修し新規テナントの誘致で地域活性化を目指す有限責任事業組合(LLP)「仄仄(ほのぼの)舎」の初改修が終わった。大門三番町の旧洋装店で、6月1日から、若者2人による設計事務所と雑貨店の兼用スペース「ミミー雑貨店」としてスタートする。
2人は共に仄仄舎メンバーの竹内裕矢さん(31、松本市)と柚木真さん(28、同)。建築士の竹内さんは、松本にあった事務所「竹内裕矢設計店」を移転。柚木さんは雑貨を担当し、北欧のビンテージ食器や日本の古道具などを置く。
洋装店は6年前に閉店した2階建て。所有者の理解を得て、今年2月から仄仄舎メンバーが改修に取り組んできた。耐震補強もし、事務所と雑貨のほか、イベントに活用できるスペースもある。
市街地活性化を担当する第3セクターしおじり街元気カンパニーによると、大門商店街は約130店舗のうち21%が空き店舗。今後の街のあり方が課題となっている。
インターネットで買い物ができる現代、商店街のまちづくりは「物のやり取り以外の“何かが起きる場所”であることが求められる」と柚木さん。竹内さんは「設計と雑貨の兼用店なので、気軽に入ってもらい、生活のあれこれについて話ができればいい」。
空き店舗を生かし、おもしろいことが始まる場所になることを目指している。
午後1~7時。店に不在の場合の問い合わせは、設計事務所は竹内さん 電話090・3564・1190、雑貨は柚木さん 電話080・4468・0646
(井出順子)

四賀の旧中川小に「おもちゃの楽校」開設

信州やがいたいけん楽校ぷらす(降幡光幸代表)は4月、「里山・おもちゃの楽校」を始めた。2013年3月に閉校した、松本市四賀の中川小学校の教室が会場だ。市が複数の団体に、有料で教室などを貸し出す事業の認定を受けた。木に親しんでもらうことで、子どもの情操教育につなげる狙い。校庭を利用したサマーキャンプ、社会人らを対象にしたチームビルディングなども計画している。
「里山・おもちゃの楽校」は60平方メートル弱の教室を利用。杉の間伐材を使った板を床材にし、靴を脱いで入る。動く車、ままごとセット、積み木など、無垢(むく)材を使ったおもちゃ約60種を置く。教室の外には、木の感触や香りを楽しんでもらおうと、ヒノキのチップを入れた深さ約30センチ、8平方メートルのウッドプールもある。
「親子連れや子どもだけでなく、地域の人が自由に入り、異世代交流や、地元の風土、文化を伝える場にしたい」と降幡さん(55、同市岡田町)。さらに、同じ思いを持つ人が利用することで、将来的には、簡単な木のおもちゃの作り方を教えたり、さまざまなおもちゃで遊べたりできる「おもちゃ美術館」のようにしたい考えだ。
降幡さんは半導体のメーカーを12年に退職。サラリーマン時代から、子どもを対象にしたイベント、事業に関わっていた経験もあり、生きる力を養い、思いやりのある人に育てるお手伝いができればと、信州やがいたいけん楽校ぷらすを立ち上げた。
「外で、木登りをしたり、虫捕りをしたりと、とても楽しく、記憶にしっかりと残っている。今の子どもに、そんな経験をプレゼントしたい」。こうした体験を通し、体力を付け、心を豊かにするきっかけになればと、期待する。

周辺は里山が近く、田畑に囲まれた日本の原風景のような場所。夏には校庭を利用し、手ぶらで参加できるサマーキャンプを計画。将来は、外遊びや田植え、デイキャンプなど、小学生を対象にした野外体験の拠点にしたい考え。ジャンボシーソーなど、木の遊具を使い、チーム力を高める、大人を対象としたチームビルディングの用意もしている。
午前9時半~午後4時半。火曜定休。利用は1回500円。予約、問い合わせは電話080・8041・7937
(八代けい子)

あづみアップルが「アルクマ」デザインラベルのワインとりんごジュースを発売

安曇野市豊科のあづみアップル(スイス村ワイナリー)は5月、県のPRキャラクター・アルクマをデザインしたラベルのワインとりんごジュースを発売した。「観光客の土産、信州からのプレゼントに利用を」という。
ワインは、ナイアガラ、竜眼(白)、コンコード(赤)の3種。いずれも安曇野産のブドウを使っている。ハーフボトル(360ミリリットル)で864円。ナイアガラは甘口で、華やかな香り、ブドウそのままの味わいが特徴。竜眼はやや甘口で、すっきりしたタイプ。コンコードもやや甘口で、渋みがなく、飲みやすいという。
ジュースは、安曇野産サンふじを使用。リンゴの成分とうま味が残る混濁製法で、食べた時の味わいが楽しめる。200ミリリットル324円、1リットル1080円。
アルクマが子どもに人気があるため、消費が広がればと、りんごジュースのラベルに使うことに。ワインデザインのアルクマもいることから、ワインも販売することにした。
あづみアップル管理課の石澤喜則課長(52)は「ブドウもリンゴも、長野県で長年愛されている品種を選んでいる。りんごジュース、ワインは、信州を代表する土産の1つ。人気者のアルクマとコラボレーションすることで、あづみアップルの、そして県のPRにもつながればいい」と期待している。
あづみアップル直売店の他、安曇野市堀金、松川村など県内6カ所の道の駅で販売。さらに販売場所を広げていく。あづみアップル電話73・5532
(八代けい子)

米研究家が日本のギター本出版 来日し完成報告

1960年代の日本製エレキギターの研究家フランク・マイヤーズさん(41、米国ペンシルベニア)は日本のギターメーカーの歴史などをまとめた「HISTORYOFJAPANESEELECTRICGUITARS」を出版した。取材先に完成を報告するために来日し、松本市などを訪れた。
出版した本は、「FujigenGakki」や「Matsumoku」など、松本のメーカーをはじめ、1960年代にあった日本のギターメーカー16社を紹介している。
マイヤーズさんが収集している当時のギターの写真を掲載し、2年前に初来日した際に、各メーカーを取材して回り、関係者らから聞いた話と自身の研究を合わせ、歴史などをまとめたという。
マイヤーズさんは小学校教諭。高校時代に初めて買ってもらったギターが富士弦楽器(現フジゲン)製で、米国のメーカーにはないオリジナルデザインに魅了された。
約15年前から、日本のメーカーを本格的に研究し、収集したギターは約500本。約3年前、インターネット上で松本製を中心とした日本製ギターを紹介する「ガラクタギター博物館」を開設している伊藤正さん(51、松本市惣社)と知り合い、伊藤さんも研究に協力。それをきっかけに来日し、かつてのギター職人らと対面する取材旅行につながった。
今回の来日期間は14~24日。16日は富士弦楽器の創業者の一人で、現在顧問の横内祐一郎さん宅(松本市筑摩)を訪ね、出版を報告するとともに、富士弦楽器の元従業員5人らと会い、ギター談義に花を咲かせた。
マイヤーズさんは「やっと出版できたという感じ。(研究する際に)日本語が分からず難しかった」と話した。
(浜秋彦)