月別アーカイブ: 2015年3月

地域の伝統文化継承狙い地元有志が「安曇野クラフトゲート匠の杜」設立

安曇野市のまちづくりや、伝統文化の継承をと活動する有志は30日、木工や天蚕について継続的に学び、技術を習得できる「安曇野クラフトゲート匠(たくみ)の杜(もり)」を設立した。4月4日に開講式を行う。工芸家が多く集う安曇野だが、高齢化、後継者不足の問題を抱えている他、技術を習得できる場も少ないことから、地域全体で、弟子を育てようという取り組みだ。
発起人は、等々力秀和さん(74、豊科)、古田春江さん(66、穂高)、野中由紀子さん(57、同)、川﨑克之さん(67、明科)の4人。
木工、天蚕の両専科を置く他、手仕事に興味を持つ入り口にと、木工、革、ステンドグラス、陶芸、とんぼ玉の短期講座、1日講座も用意する。
これまでやまこの学校を開いてきたが、興味を持って参加した人の進路をどうするかといった問題に直面。また、安曇野に多い木工家の後継者が少なく、学び、伝えていく場をつくりたいと考えた。里山文化を生かした物づくりを通して、里山について興味を持ってもらう狙いもある。
国営アルプスあづみの公園堀金・穂高地区が場所を提供するなど協力。同公園の須砂渡口休憩所や園内、地域の木工、クラフト関連施設が会場となる。
木工家の野中さんは「職業訓練校など、学ぶ場が少ない。地元の木工家、天蚕飼育家らが講師となり、その技術を教え、独り立ちできるまで指導する。門戸を広げ、次の人に伝えたいと、『クラフトゲート』とした」と言う。
等々力さんは「安曇野には、多くの工芸家がいるが、後継者がおらず、葛藤している人もいる。興味がある人、文化を次代につなげたいと熱意のある人は、ぜひ参加してほしい」と力を込める。
木工短期講座は4月5日スタートで、木の知識や家具構造・製図、小作品制作などを学ぶ。木工専科は7月5日-2018年3月27日。制作を通し、木の見方や構造、造り方、売り方までを教える。天蚕専科はA(飼育実習)=4月4日-11月29日、B(繭から座繰り糸取り)=8月1日-11月28日、C(機織り)=4月5日-11月29日の3コース。
受講料は、木工は短期、専科とも1日5000円。天蚕はAは年間3000円、B、Cは半日3000円。革、陶芸などの短期講座も半日3000円。
申し込み、問い合わせは野中さん 電話090・4464・9771
(八代啓子)

ヤマザキナビスコ杯予選2節はFC東京と1-1 手応えと悔しさ

150331yampヤマザキナビスコ・カップ1次リーグ第2節は21日に各地で行い、A組の山雅はアルウィンにFC東京を迎え、1-1で引き分けた。代表への招集で主力4人を欠いたとはいえ、今季公式戦無敗の強豪を相手に先制し善戦。それだけに、監督や選手たちは悔しさも隠さなかった。
前半、風上に立った山雅は、序盤から攻撃のペースをつかんで押し込んだ。33分、右サイド深くからの岩上のロングスローは相手2選手に当たり、そのままオウンゴール。リードして折り返した。
しかし後半は、東京が立ち上がりから攻撃のギアを上げる。11分、自陣でヘディングでの競り合いからこぼれたセカンドボールを拾われ、同点シュートを許した。
その後は勝ち越し点を得るべく互いに激しく攻め合ったが、得点は動かなかった。
東京とは昨年8月の天皇杯3回戦で対戦。J2で既に2位を固めつつあった山雅だが、防戦に追われ、0-2で完敗だった。
諸々の状況が違い一概には言えないものの、当時もフル出場した村山は「強い相手だなと感じたのは前回のほう」。岩上も「今回は僕たちのやりたいことができていた」と、チームの成長に関して一定の手応えを語る。
ただ、それが勝利という結果に結びついていないのも事実。失点も、飯田や酒井が「あの瞬間だけ(スペースが)ぽっかり空いてしまった」と悔やんだように一瞬の隙を突かれた痛撃だったが、そこを逃さないのがJ1ということだろう。
J1の舞台で5試合を終え、ここまで1勝2敗2分け。反町監督は「今後のわれわれの財産になる戦いができたのでは」と評し、「これからもできることをしっかりやっていくだけ」と前を見た。
次はリーグ第4節の4月4日、国内屈指のビッグクラブ浦和に、初めて敵地で挑む。
(長岩将弘、松尾尚久)

今井恵みの里と福岡の直売所 タブレット端末で結び買い物

松本市今井の道の駅「今井恵みの里」と福岡県福津市の農林漁業体験学習館「あんずの里市」は、両直売所をタブレット端末で結び、相手店舗での買い物ができる取り組みを23日始めた。地元では手に入りづらい農海産物を、ビデオ通話をしながら注文。サービス向上や販路拡大に期待が寄せられている。
購入希望の客が訪れると、相手店舗のスタッフは、タブレット端末で動画を写しながら店内を巡回する。客は映像を見ながら注文し、スタッフは品物をカートに入れレジを通る。金額と送料を通知し、客は自分が訪れている店舗で支払う。所定の注文書に記入し、原則2日後には自宅に品物が届く仕組みだ。
初日は今井恵みの里の犬飼公紀駅長(69)があんずの里市を「訪問」。「今日のお薦めは何ですか」「そっちの魚は何ですか。いくらですか」など画面を見て会話をしながら、アワビやイワシなど海の幸を買い求めた。
気候の違いなどから農産物の種類や収穫時期が異なるため、3年ほど前から相互に出荷販売などの交流を続けている両所。今回の試みで、送料はかかるが、松本の消費者は玄界灘で揚がる新鮮な魚貝類や、長野県とは時期がずれる農産物などを、自分の目で確かめながら直売所価格で購入できる。同様に福岡県の側にとっても、長野県の果物や野菜は大きな魅力だ。
販売支援で地元農家を支援する「おいしい信州ふーど(風土)松本地域活動協議会」と両所が、地域発元気づくり支援金を受け実施。10月末まで毎週月・木曜は今井恵みの里であんずの里市の商品を、火・金曜はあんずの里市で今井恵みの里の商品を購入できる。いずれも午前10時-午後1時。「購入品の幅が広がり、来店者へのサービス向上に、また販路が拡大し、生産者の意欲にもつながる」と関係者は期待を寄せており、好評なら期間を延長する考えだ。
今井恵みの里電話31・3220
(上條香代)

ペットボトルから繊維を作ろう 松本で春休み実験教室

松本市環境政策課は24日、春休み実験教室「ペットボトルから繊維を作ろう」を同市笹賀の環境技術センターで開いた。昨春に続き2回目。市内の小学1―6年生10人と保護者6人が参加し、センター社員らによる講義と実験でペットボトルのリサイクルを学んだ。
参加者は持参したペットボトルをエコばさみを使って細かくし、画びょうで複数の穴を開けたアルミ缶へ投入。モーターをつなげた針金で缶を回転させながら、アルコールランプにかざして熱した。
間もなく白い繊維が缶の穴から出てくると、子どもたちは「すごい」「糸みたいだ」と歓声を上げ目を輝かせた。
河西俊太朗君(才教学園小3年)は、実験でできた繊維を手で集めながら「ペットボトルを切るのは手が痛かったけど、この繊維は柔らかくてリラックスする」と笑顔。母親の朋美さん(43、同市松原)は「これまで分別しておしまいだったが、その後のことが分かった。再生品を買うことでリサイクルが進むと思う」と話した。
同センターは2011年の東京電力福島第1原発事故を機に、翌年から市内の小中学校で放射能などをテーマに出前実験講座を始めた。宮澤恵美取締役(53、岡谷市)は「環境とセットにした実験で、ちょっとした心遣いが環境を守ることや、身の回りに起きている『理科』の面白さを伝えていきたい」と話した。
(宮沢厚子)

松本が舞台の漫画「orange」好調な売れ行き続く

松本市在住の高野苺(たかの・いちご)さんが描く漫画「orange(オレンジ)」が好調な売れ行きを見せている。第4巻は、リブロ松本店(同市中央1・松本パルコ内)では、発売からひと月たった21日までの週間ベストセラーランキングで、小説などを抑え4週連続1位。TSUTAYA南松本店(宮田)でも、既に100冊以上を販売している。
松本市の市街地を舞台にした、高校生が主人公の青春ラブストーリー。書店が特設コーナーを設けPRしていることもあるが、発売日にぐっと売り上げを伸ばす他のコミックとは異なり、人気が長く続いている。全国では累計100万部を突破する勢いだ。
リブロ松本店は、4巻の発売(2月20日)に合わせ、特別コーナーを設置。複製原画展も行っている。24日までに160冊を販売した。「コミックが1位になることは珍しくないが、これだけ人気が長く続くのは珍しい」と佐々木春菜店長(26)。
ファンはもちろんだが、コーナーで手に取り、「松本が舞台なんですね」と買っていく人も多いという。佐々木店長は「ストーリーも面白く、絵もきれいで、人気は当分続きそう。ツイッターに、表紙と同じ場所で写真を撮ったという内容をアップしている人もいる。その場所を目当てに訪れる人もいるのではないか。松本を盛り上げるきっかけになればうれしい」と話す。
TSUTAYA南松本店も特別コーナーを設け、PRしている。もともとお薦めの本だったというが、今回はオレンジを意識したり、ポップにこだわったりと、知らない人の目にも留まるよう工夫。宮川智明店長(36)は「同世代で共感するのか、中高生の購入が多い。100冊以上売れるコミックはあまりない」とする。
「orange」は、2012年4月から別冊マーガレットで連載を開始。その後、双葉社に移籍し、14年2月からは月刊アクションで不定期連載中。「全国書店員が選んだおすすめコミック2015」では5位にランクされている。
月刊アクションの担当編集者は「少女漫画から青年誌に移ったことで、ファン層が広がった。過去と未来を手紙でつなぐ巧みな構成力、ストーリー、男女ともに好まれる絵で、作品力がある。6人の登場人物もそれぞれに魅力があり、読者に愛されている」と話す。
1-4巻各620円(税別)。
(八代啓子)

松本の脳活学院が「認知症予防講座」

松本市波田の西牧優樹さん(36)が立ち上げた「脳活学院」は2月から、松本市などで主に高齢者に向けた「認知症予防講座」を開いている。「笑って楽しく脳を活性化」をモットーに、高齢者が輝く「幸麗化」社会の実現を目指す。
講座で行うトレーニングは、ラジオ体操を行う姿をイメージしたり、誰もが知る有名曲を倍速で歌ったり、多角的に脳を活性化できるという。
特別講師も招き、23日に松本市総合社会福祉センター(双葉)で開いた第7回講座には、「すわこ八福神」として県内中心に活動するアマチュア落語家の小平晴勇さん(64、諏訪市)が登場。落語形式で、笑いを交えながら特殊詐欺や事故への注意喚起を行った。
何度か参加しているという松本市の70代女性は「楽しく、勉強になる内容。トレーニングで会話が頭に入って来やすくなった感じがする」と話した。
10年ほど前から自身の能力向上として脳力トレーニングを行ってきた西牧さんは、以前就いていた不動産業の営業の中で認知症に悩む患者や家族を多く見てきた。このため、症状に苦しむ人を少しでも減らしたいと決意。NPO法人・こころとからだの介護予防協会が認定する「認知症予防脳トレ士」の資格を取得し、昨年12月に学院を立ち上げた。
「地域を動かすのは高齢者。認知症を未然に防ぎ、いきいきとした生活を送ってもらいたい。いずれは県外でも講座を開きたい」と意欲を燃やしている。
30日午前10時から、市総合社会福祉センターで、信州ラフターヨガクラブ主宰の池田信子さんを講師に、笑いヨガを取り入れた講座を開く。1500円(初回参加は無料)。
個人宅への出張講座も応相談。電話88・4678
(大山博)

「あづみ野コンサートホール」15周年 多彩な奏者招き6企画

安曇野市穂高の「あづみ野コンサートホール」は、6月に開館15周年を迎えるため、記念事業として計6回の自主企画を組んだ。初回は4月4日のサクソホンとピアノのデュオ・リサイタル。以後、5、6、10、11、12月に開き、多彩な顔ぶれの奏者を招く。
同館主宰の長谷川芳治さん(70)は2000年、大阪市役所を早期退職し妻の孝子さん(70)と共に移住。きっかけは、楽器店で耳にした音が気に入って即決購入したベーゼンドルファー社(オーストリア)製のピアノだった。「調律師がたたいた音に、なぜだか分からないが、涙がこぼれるほど魅了された」と孝子さん。
それまで音楽とは無縁の2人だったが、ピアノを生かすため、音響にも多額な投資をし、100席のアットホームなホールを建設。以来、手探りで演奏家たちとの縁を深めてきた。幸い、楽器や音響の良さに加え、安曇野の自然などが、国際的に活躍する出演者たちにも好評で、来館を重ねる演奏家が増えた。
初回の4日に出演するサックス奏者の須川展也さんも今回で7回目、ピアニストの宮谷理香さんは8回目となる。今回は2人でムソルグスキー作曲、長生淳編曲の組曲「展覧会の絵」を全曲演奏するほか、サンサーンスやピアソラの曲などを披露。宮谷さんのソロもある。
宮谷さんは「伸びやかで豊かな響きのベーゼンドルファー、顔なじみも多い来場者、家族のように接してくれる長谷川さん夫妻、そんな皆さんと15周年を祝いたい」という趣旨のメッセージを寄せ、秋にもソロ・リサイタルで来訪する。
4日は午後2時開演。前売り4000円、当日4500円、高校生以下2500円。同ホール電話82・6419
(長田久美子)

「フットワーク強み」就任2カ月の神田社長に聞く

150326yamp松本山雅の社長に、元選手で取締役管理本部長を務めた神田文之さん(37)が就任し、2カ月近くがたつ。県内のクラブチームとして初めてJ1で戦う今年は、くしくもクラブ創設50周年の節目。22日にはアウェー清水戦で記念すべきリーグ戦初勝利を挙げた。新たな歴史を踏み出したクラブのかじ取りを担う若きトップに、今の思いや意気込みを聞いた。

「会社のために何かできたかというとまだまだなんですが、あっという間でした。こんなに忙しかったのは初めてです」。神田社長は就任以後を振り返り、苦笑した。
もともとシーズンオフ期間は、以前の主な仕事でもあった営業がピークを迎える時期。関係先へのあいさつ回りや社長業の引き継ぎも重なり、多忙を極めたという。
それでも「忙しいのはありがたいこと」と前向きだ。「立場上、厳しくしなければいけない部分はもちろんありますが、社長になったからといっても(力を尽くす姿勢は)変わらない。自分のスタイルを社内外に知ってもらう期間でもあったかなと考えています」

常勤で社長業に集中できる点は、家業を持ち非常勤役員だった大月弘士・前社長(現代表取締役会長)との最大の違い。加えて12歳若返り、自身も「フットワークの軽さは強み」と話す。
プレシーズンマッチも含め、アウェーの公式戦は全て足を運ぶ予定だ。これまではアウェー会場に行っても「先入観や固定観念にとらわれないように」との考えから、会場運営などを注意深く見ることはなかったという。
今季はそこにも目を配り「すぐに取り入れることはできなさそうでも、参考になる点を持ち帰り、自分なりに整理しておくようにしている」。
キャンプや普段の練習など、チームの現場にも可能な限り足を運ぶ。「(チームスローガンの)『ワンソウル』の言葉通り、クラブの一体感を大事にしたい」との思いからだ。
指導陣と同じ練習着に身を包み、ボール拾いを手伝ったり、ジョギングをしたりしながら、選手や現場スタッフらと言葉を交わす。
「自分が体を動かしたいっていうのもあるんですけど」と笑いつつ、「舞台裏を整え、気持ちよく試合に臨んでもらうのが、われわれの務め。これからは育成組織にも顔を出したい」と言う。

一方で育成組織や練習場、新スタジアム構想も含めた観戦環境など、課題は山積みだ。
「優先順位はつけられない。幾つものことを並行して、少しずつでも停滞させず進めていかなくては。トップチームが頑張ってくれている中、われわれもどのくらいスピード感を上げていかれるか」と力を込める。
確かな手応えがある。2月に就任あいさつのため、かつて選手として所属した甲府を訪ねたときのことだ。海野一幸会長から「サポーターがサポーターを呼ぶ仕組みができている」と言われた。
「山雅は人から人へつながりを広げ、ここまで来たクラブだと思う。自分も感じていたことを指摘され、確信になった」と明かす。
「そもそもプロ化を目指したきっかけも『サッカーで地域を盛り上げよう』という市民の声だった。先人たちがここまで育ててきた方向は間違っていない。それを引き継ぎ、いろいろな人の意見を尊重しながら、枝葉を広げていくことが仕事」と神田社長。
「山雅を身近に感じる人をさらに増やしたいし、その点に関してはまだまだ成長の余地があると思う。多くの人を巻き込みながら、『山雅劇場』ではないですけれど、夢を見せられるクラブにしていきたいですね」
(長岩将弘)