月別アーカイブ: 2014年9月

御嶽山噴火 麓に広がる不安

王滝村と岐阜県境にある御嶽山(3067メートル)が27日に噴火し、山頂付近で多くの犠牲者を出すなど大惨事となった。噴火は依然続く見通し。麓の木曽町、王滝村などでは降灰による農業被害や今後予想される観光客の減少などに、不安が広がっている。

県木曽農業改良普及センター(木曽町)によると、同町と木祖村の特産「御嶽はくさい」の畑約18ヘクタールに灰が付いたという。
同町開田高原西又で28日、白菜農家の中田厚司さん(50)、しのぶさん(48)夫妻は、水洗いして箱詰めするなど、収穫作業に追われた。噴火当日の午後に白菜を覆う資材を掛けたが、間に合わなかった。
出荷する白菜は結球しており灰は中まで入っていないが、外側の葉に付いていると見栄えが悪いという。「洗うと普段より手間と時間がかかり大変」と厚司さん。しのぶさんは7年前の小規模噴火の時は栽培時期ではなく、「こんなことは初めて。どうしたらいいか分からない」と戸惑いながら作業していた。
開田高原西野の直売所に白菜を出荷している男性は「火山灰は水を含むとセメントのように固まってしまう。灰を落とすのはやっかいで、たくさん栽培している農家は大変だろう」と気遣っていた。
JA木曽の●高橋德組合長は28日、ほ場視察に回り、「収穫時期は終盤で全体の4分の3ぐらいは出荷が済んでいた。これから1カ月ほど、残りの収穫の応援を検討するなど、全力で支援したい」と話した。
今後、ソバ、米など収穫が済んでいない作物の被害も調べ、対策本部で対応策を決めるという。
木曽町福島の道の駅「木曽福島」の営業担当、上小路知英さん(33)は「開田高原産の野菜などを販売する際は降灰の影響を説明しているが、風評被害など今後の状況が心配だ」と話した。

木曽町は28日、10月4日に開催予定だった「木曽駒高原きのこまつり」と5日の「開田高原そば祭り」の中止を決定。また、自然エネルギー木曽地域協議会(松井淳一会長)は、4日に初めて行う予定だった「自然エネルギーフェアin木曽2014」の開催を断念した。
アイスクリームなど製造・販売のエイチ・アイ・エフ(開田高原)の役員でもある松井会長は「こういう状況では中止はやむを得ない。今後の御嶽山観光を考えなければ」と話す。
王滝村では10月26日に「おんたけ湖ハーフマラソン」を計画しており、既に全国から約1300人がエントリーしている。
王滝観光総合事務所の大家考助理事長は「大会を開くかは近日中に決める。今年で4回目で盛り上がってきたところだった」と肩を落とし、「マラソンもそうだが、スキー場のことなど、今後を考えると不安しかない」と話した。

御嶽山の噴火は27日午前11時52分に発生。気象庁は御嶽山に火口周辺警報を発表し、入山規制の噴火レベル3としている。噴火は1979、91、2007年以来で4度目。
28日現在、山頂付近や登山道で心肺停止の31人が発見され、県警などは塩尻市と松本市の男性を含む4人を山麓に下ろしたが、死亡を確認した。
(浜秋彦、伊藤弦弓)
●高ははしご高

八方尾根で紅葉祭りとトレッキング

白馬村の八方尾根くろびし紅葉祭りは10月19日まで、八方尾根北尾根エリアで開いている。期間中の土日、祝日は、キノコ汁やおはぎなどの振る舞い、紅葉トレッキングなども企画。4、5日は、「親子で山へ登ろう!キャンペーン」で、黒菱ライン、八方アルペンラインの両リフトが大人1人につき、小学生2人まで無料になる。
イベント会場は標高1680メートルの黒菱平にある雲海デッキ。黒菱ラインの黒菱第3ペアリフト(往復大人560円、子ども400円)を降りた先だ。
今年は、例年よりも紅葉が1週間ほど早く、10月初旬には見頃を迎えるという。
振る舞いは4、5日、11―13日の午前11時から、なくなり次第終了。11時20分からオカリナやアルプホルンなどの演奏会。信州リンゴや手作りおやきの出店もあり、午後2時半終了予定。

トレッキングは4、5、18、19日の4日間。参加予定日の2日前までに申し込む。午前8時半、八方インフォメーションセンターに集合後、ブナの紅葉が見事な北尾根高原展望コースを歩く。
ランチは見晴らしのいい標高1200メートルの高原上でバーベキュー。今夏、新たにオープンした露天風呂「八方温泉北尾根の湯」の入浴体験付き。午後2時50分解散予定。
企画した八方尾根開発は「この時期にしか味わえない白馬の紅葉と山の絶景をぜひ見に来てほしい」。
大人3900円、小学生1900円、未就学児無料。参加者に12月開く温泉施設「八方の湯」の招待券を贈る。同社電話0261・72・2715
(高山佳晃)

100年前の響き再現 塩尻東小でピアノ修復記念演奏会

塩尻市塩尻町の塩尻東小学校(二茅芳郎校長)は24日、学校開放講座「松本ピアノ修復記念コンサート」を体育館で開いた。全校児童と約90人の住民が素晴らしい演奏に聞き入った。
修復したピアノは、音楽教育熱が高まった1918(大正7)年、当時評価の高かった松本新吉製を、地元の銀行家吉江達郎が寄贈したもの。重厚なアップライト・ピアノは、彫刻やペガサスの燭台(しょくだい)が施され、多くの見物人が訪れたという。以来同校の音楽教育に愛用されてきたが、1970年新しいピアノに交代して役目を終えた。
100年前の響きを再現しようと、同校は、市の特色ある教育補助事業資金200万円を利用して修復した。
演奏者のピアニスト佐藤茜さんは、「とても懐かしい、柔らかな音がする。でも、低音はどーんと響く。鍵盤が深く、ゆっくり戻る」とピアノの感触を話した。
コンサートは、佐藤さんが、金子響さん(声楽)、三浦萌さん(フルート)とともに、「ノクターン」や「魔笛」「星に願いを」などを演奏し、6年生のリコーダーとの合奏もあった。
演奏者は同校の出身者ということもあって、アットホームな雰囲気の演奏会となった。
(小林和男)

実りの秋にワイン楽しむ-10月26日に屋外3イベント

松本平の3会場で10月26日を中心に、屋外でワインを味わう催しが開かれる。いずれもその土地の特色を生かし楽しむ趣向。収穫の時季にピクニックがてら出かけられることで、より身近に県産ワインに親しむきっかけになりそうだ。
ワインピクニックイン松本(NAGANOWINE応援団主催)26日午後1-5時、松本市のまつもと市民芸術館のトップガーデン(屋上庭園)で。県内ワイナリー26社50種類、新しい小規模ワイナリーの醸造家も来場し、市場に出回らないワインも紹介。市内店の軽食も出店する。
大道芸のパフォーマンスやケルト音楽の演奏、ピクニック用バスケットなどのクラフト講座(有料)、古書市なども行う。「ワインを切り口に、松本で盛んな音楽、工芸などにも親しめる催しに育てたい。「『ワインのあるピクニック』が、家庭や仲間で広がるような提案ができればうれしい」と実行委員長の山田憲作さん(49、同市庄内)。
前売り300円、当日500円(専用オリジナルグラス代)。限定300個。ワインは1杯300円から。前売り券は、時しらず、ジュレブランシュ、三代澤酒店などで。問い合わせは事務局にメール(nagano.wine.pepteam@gmail.com)で。

塩尻ヌーボーピクニック塩尻市が25、26日午前10-午後4時、宗賀の平出遺跡公園で開く。市内ワイナリー5社が新酒を提供する。甘口から辛口まで、新鮮なブドウの香りそのままのワインが並ぶ。1杯200円ほど。ボトル販売も。
会場では塩尻生まれの「信州ひすいそば」の新そばが食べられる「信州塩尻『そば切り物語り』」や、旬の農産物を積んだ「軽トラ横丁」も同時開催。
同市は昨年まで、「塩尻ワイナリーフェスタ」を10月末に行ってきたが、今年は5月に変更。参加者の「新酒が飲みたい」という要望を受け、秋の収穫祭としてヌーボーピクニックを初企画した。
昨年まで市内ホテルで開いていたヌーボーワインパーティーは中止。「屋内だと来場者が限られるが、屋外だとさまざまな人が集まる。広域で同時季のワインイベントが定着すれば、観光誘致に生かせるかもしれない」と市ブランド観光課。
参加費500円(ワイングラス付き)。同課電話52・0280

第1回信州池田町ワイン祭り池田町が26日午前11時-午後3時、あづみ野池田クラフトパークで開く。同町のブドウでできたワインを味わう趣向で4社が出店予定。定員500人のチケットは9月初旬の発売から約2週間で売り切れた。
(井出順子)

新鮮な農産物を―東京とつなぐタブレット購入サービス

松本市今井の道の駅「今井恵みの里」の農産物を、東京都調布市のヤマト運輸・調布小島町北センターで、消費者が道の駅店内の様子を見たり、説明を受けたりしながら購入するサービスが24日、始まった。両者をタブレット端末でつなぎ、道の駅はテレビ電話アプリを利用して注文を受け、翌日には新鮮な農産物を届けるという新しい取り組みだ。
都市と農村を結び、農産物の販路拡大や地元の活性化を図る今井恵みの里(清沢喜八社長)、来店者へのサービス向上や宅急便の創出につなげようとするヤマト運輸松本主管支店(北川淳也主管支店長)、販売支援で地元農家を支援する「おいしい信州ふーど(風土)松本地域活動協議会」(板花守夫会長)の三者が協力した。
端末で東京と松本を結び、道の駅職員が、売り場や農産物を写して見せながら、消費者の依頼に沿って農産物を探したり、商品を説明。消費者は端末で商品をかごに入れて「買い物」をする。午後2時までの受け付けで翌日配達され、料金は代引きで支払う。
通常のネット通販と違い、店舗を実際に訪れたように品物を確かめたり、店員に質問したりして、自分で商品を選ぶことができる。デジタルを活用しながら、対面販売のようなアナログ要素も大事にした取り組みだ。
ヤマト運輸松本主管支店の吉田宗泰営業企画課長が「地元にせっかくいい野菜がある。県外に出していく新しい取り組みを」と1年ほど前に発案し、三者で準備を進めてきた。12月23日まで試験運用し、来春以降、本格運用する予定。板花会長は「生産のプロと、流通のプロが手を組むことでできた新しい販売戦略」と期待を寄せていた。
(上條香代)

原発事故避難者を撮った写真展-松本3会場などで

松本市や伊那市の母親らでつくる「100人の母たちin信州」は10月6日まで、「100人の母たち亀山ののこ写真展~原発のない世界へ…。私は子どもを守りたい」を、松本など中南信の6会場で開いている。親子の絆と脱原発への祈りを込めた約30点を展示している。
2011年、福島で起きた原発事故で放射能汚染から逃れ、全国に移住した親子や妊婦らの写真を、自らも母親で東京から福岡に移住した写真家の亀山さんが撮影。12年に写真集「100人の母たち」を発行し、その中から抜粋した作品を紹介している。
すやすや眠る乳児を抱く母親や、臨月の妊婦、大きな木に登った家族など笑顔あふれる作品が多く、「世界中の武器が花に変わるようにと願ってきました。いつか原発も花になれ」「絶望と希望どちらも私たち」といったメッセージも添えられている。
「100人の母たち」写真展は、全国80カ所以上で開かれ、県内では初開催。松本会場事務局の神津ゆかりさん(松本市松原)は「県内にも避難してきた人がいる。原発事故で暮らしを変えざるを得なかった人々がいることを、当時を風化させず多くの人に知ってもらいたい」と話す。
松本会場の今後は▽27、28日午前10-午後4時、空と大地の祭典・松本城公園▽30日-10月2日午前10-午後5時、松本市美術館1階情報交流室▽30日-10月4日午前11時半-午後5時、同市野溝木工のゆるカフェ日和manaya。作品が一部入れ替わる会場もある。
入場無料。神津さん電話070・5541・0597
(井出順子)

「岩波大吟醸」県清酒品評会で最高位

岩波酒造(松本市里山辺)の「岩波大吟醸」が、11日に長野市で開いた第61回県清酒品評会で、県知事賞20銘柄のうち、最高位の首席優等賞を受賞した。佐田直久さん(48)が杜氏(とうじ)を引き継いで2年目に造った酒。同社として初の快挙だ。
品評会には、60酒造場238点が出品された。岩波大吟醸は酒造好適米、山田錦を39%まで精米。香りが高くフルーティーで、ふくらみのあるうま味があり、上品な味わいが特徴という。
佐田さんが、酒造りの世界に飛び込んだのは29歳の時。金融業の会社員として働いていたが、ノルマや成績第一主義の考え方には違和感を感じていた。「職人に憧れていた。心から打ち込める仕事がしたい」と迷っていたという。
岩波酒造は140年ほどの歴史がある蔵。酒造りの時期になると、杜氏が新潟から蔵人を引き連れ、携わっていたが、蔵人の高齢化、後継者不足で、自社社員で酒造りをする人を育成しようとしていた時期と重なった。転勤で住んでいた松本で、同社の求人を目にしたことが、大きな転機となった。
これまでとは全く違う世界。下働きから始め、冬は休みがない、体力的にきつい、朝が早く、泊まり込む時期もある-など、つらいことは多かったが、やりがいを感じ、酒造りと向かい合ってきた。
前杜氏からバトンを渡されたのは3年前。1年目は、前杜氏から言われたように造った。2年目は、その教えを生かし、自分の考え、感覚を取り入れて臨んだ。その酒が、最高位を受賞した。「引き継いだ時は不安も大きかったが、頑張ろうという気持ちも強かった」と言う。
「酒造りは、水、米、麹(こうじ)が大切といった考え方もあるが、自分は人だと感じている」と佐田さん。「それだけに今回の受賞は、みんなの努力が実を結んだ結果。2年目で素晴らしい賞をいただけてうれしい」
酒造りは、天職と言い切る佐田さん。「人の心に響く酒を造りたい。自分の造った酒が、明日の活力につながれば。この受賞を、すべての酒造りに生かしたい」と力を込める。
岩波大吟醸1.8リットル4270円、720ミリリットル2240円。電話25・1300

他に知事賞を受けた中信地区の銘柄、酒造場は次の通り。
大信州(大信州酒造・酒造場長野市、本社松本市)、秀峰アルプス正宗(亀田屋酒造店・松本市)、美寿々(美寿々酒造・塩尻市)、女鳥羽の泉(善哉酒造・松本市)、高波(丸永酒造場・塩尻市)、七笑(七笑酒造・木曽町)
(八代啓子)