月別アーカイブ: 2014年5月

障害者雇用前進 松本に就労継続支援A型事業所2社誕生

障害者と雇用契約を結び、県の最低賃金を保証する「就労継続支援A型」の事業所が今年、松本市に2社誕生した。製造、ピッキング作業を中心とした「ヒーローサポート」(市場)は1月、元会社員らが市内で初めて民間企業としてオープン。トレーなどのリサイクル関連の「ハートフル松本FVP」(島立)は、県有地などを障害者を雇用する事業者に優先的に貸し出す県の取り組みの第1号として4月に開いた。

ヒーローサポート 野溝の化粧品、健康商品の製造販売会社「国際サービスセンター」の仕事を主に請け負う。定員20人。目標の8月を前に既に定員いっぱいとなり、順調に業績を上げている。
障害の程度に合わせて週20時間以上働ける人を採用、1週間ごとの精勤手当を1カ月に1度、特別精勤手当を半年に1度支払う。
社長の草島英雄さん(53)は、母親の介護を通じて福祉関係者と交流を深めてきた。その中で福祉の仕事をしたいと考えるようになった。昨年、母親の介護のため25年勤めた運送会社を退職。仲間とともに、考えていたA型事業所を開いた。
「みんな非常に真面目で熱心に働いている」と草島さん。賛同してくれる企業も増えてきた。福祉の専門家ではないが、会社員時代に培った経験や人脈を使って仕事を請け負う。より多くの希望者を雇用できるように、施設外就労で定員枠を増やしたり、第2、第3の事業所を開いて、障害者の人たちを支援していきたいという。

ハートフル松本FVP 県の取り組みに、食品トレーの再利用、製造を手掛ける「エフピコ」(広島県)が事業を提案。コンサルタント会社・FVP(東京都)、松本倉庫(山形村)が会社を設立。ペットボトルや食品トレーを手作業で分別して機械で圧縮する作業で、ペットボトル1本、トレー2本のラインがある。
現在、9人の知的障害者を採用し、午前9時-午後4時に作業。労働時間は週30時間で、社会保険や厚生年金に加入。制服もある。
9人のうち職業上の重度(仕事をするのに困難)とされる人が6人と半数以上だが、きちんと仕事ができるという。「見分ける力などの視覚や記憶力が非常に優れている人が多く、生産性は高い」と大塚由紀子代表。
30歳の男性は「ここは会社だから(仕事を)早くしないといけない。責任を持ってやると少し大変だけど楽しい」と目を輝かせる。
ペットボトルやトレーは、エフピコが自主回収した物を使っているが、月にペットボトル4トン(目標10トン)、トレー10トン(目標20トン)を扱う。会社としてやっていくためには、回収が課題となる。現在は、信州健康ランド(塩尻市広丘吉田)と山形村社協など、協力してくれる企業や団体も増えつつあるが、より多くの企業の協力を求めている。

両社の関係者は、雇用した障害者について「一度覚えると、障害があってもきちんと仕事ができる」「集中力を持って真面目にやるなど、健常者より優れている所も多い」と話す。両社とも定員いっぱいの状態だが、問い合わせは多く、仕事を確保できれば、雇用できる定員の枠を増やしたいとしている。

【就労継続支援A型】障害者の雇用機会の拡大などを目指す事業で、指定された事業所は障害者と雇用契約を結び最低賃金を保証し、就労に必要な訓練などを支援する。雇用契約が前提で運営が容易ではないため、障害者のニーズは多いが事業所は少ない。松本市では昨年まで、2000年4月に開設したNPO法人夢トライ工房(清水)だけだった。同社は印刷物の作製やパン製造などを手掛け、豊科、有明分場を含め、現在55人が働いている。
(田原利加子)

塩尻の寺沢洋蘭園がパセリ農家に転換

塩尻市洗馬で寺沢洋蘭園を26年間営んできた寺沢一敏さん(59)が、今年3月の出荷で洋ランの栽培をやめ、パセリ中心の野菜農家に転換した。パセリを使った商品化も目指している。28日は、レシピを考えるトムズレストラン(同市大門一番町)のオーナーシェフ・友森隆司さん(35)が腕をふるい、試食会を同レストランで開いた。
寺沢さんは1987(昭和62)年から洋ラン栽培に取り組み、開発した品種が品評会で数々の賞を受けてきた。妻が体調を崩し、一人では手の掛かる洋ランの栽培ができないため、転換を決意した。
パセリは、これまでも夏場の雇用対策として5アール作ってきた。今年はさらに20アール増やし、来年は50アールに広げる予定だ。
寺沢さんは数年前から、農業経営者グループで6次産業化の勉強をしてきた。パセリの商品化に当たっては、寺沢さんと取引のある八十二銀行塩尻支店が、塩尻産野菜を使ったフレンチで定評のある友森さんを紹介した。
第1ステップとなる試食会は約50人が参加。パセリのポタージュスープやフォカッチャ、パンに塗ったガーリックバターや鶏肉の香草焼きなどが並び、参加者は「普段は脇役のパセリがこんな料理になるとはびっくり」などと言いながら、味わった。
友森さんは「普通のパセリよりうま味が強く雑味もなく、おいしい料理ができるのは確信している。商品化を成功させ、塩尻の街の食文化のモデルになればうれしい」。
寺沢さんは「洋ランの開発も一歩一歩、感触をつかみながら進んだ。今回も初めてのことで、どきどき・わくわく感があり、やりがいがある」と話した。
(井出順子)

7日松本で世界子ども支援チャリティーコンサート

日本福音ルーテル社団(JELA、東京)は6月7日午後2時、松本市宮渕の日本福音ルーテル松本教会で、世界子ども支援チャリティーコンサートを開く。フルート奏者上野由恵さん、ピアノ伴奏圓井(つむらい)晶子さん(ともに東京)がクラシックの名曲と日本の歌曲を演奏、東日本大震災で被災した子どもたちへの支援を呼び掛ける。
当日は、名曲世界旅行として、ビゼーの「アルルの女」よりメヌエット、フォーレ「シシリエンヌ」、ドップラー「ハンガリー田園幻想曲」、滝廉太郎「荒城の月」など11曲の予定。JELAの活動紹介のスライドも上映する。
上野さんは、東京芸大大学院修了。東京音楽コンクール、日本木管コンクール、日本音楽コンクールで1位、2006年の第1回北京ニコレ国際フルートコンクールのセミファイナリストに輝いた。
ソロリサイタルのほか、国内外の多くの交響楽団と共演し、テレビ、ラジオにも出演し、多彩な演奏活動をしている。2010年からJELAの子ども支援チャリティー事業に参加して、日本各地でコンサートをしている。
同教会の野口勝彦牧師は「フルートの美しい響きを楽しみながらまだ大変な状況の中にいる子どもたちへ思いを寄せてほしい」と話している。
入場無料。会場で、世界の子どもたち、特に、東日本大震災で被災した子どもたちへの義援金協力を呼びかける。問い合わせはルーテル松本教会電話33・5242
(谷田敦子)

情緒障害児治療施設「あさひ学園」 地域と交流活発

松本市旭2の情緒障害児短期治療施設(児童心理治療施設)「県松本あさひ学園」は本年度、開設から4年目に入った。県の施設だが、社会福祉法人の県社会福祉事業団が指定管理者として運営。3年間の“試行期間”を経て、放課後の課外活動や地域との交流を活発に行うなど、独自色を発揮しようとしている。
1967(昭和42)年開設の県諏訪湖健康学園を移転、2011年度に開設。指定管理者制度への移行に当たり、常勤の精神科医師を配置するなど、体制を充実させた。
心理治療員(臨床心理士)5人、支援員(児童指導員、保育士)13人と、常勤の精神科医が個別のプログラムできめ細やかに対応する。中学校を卒業して退所後にも、家庭や進学した高校と連携し治療支援に取り組む。
現在は入所(通所)の小学3-6年生17人が隣接の岡田小あさひ分校、中学生12人が女鳥羽中あさひ分校で学んでいる。規則正しい生活とバランスの取れた食事など、日課の中で心理治療や診察・診療が加わる。
親元を離れた集団生活で、心のケア、仲間と一緒の課外活動(あさひクラブ)が活発。その1つ、毎回15人前後が参加する「あさひ太鼓」は、地元安原地区公民館を手始めに外部との交流を行い、昨年度は市内の催しに9回出場した。
ボランティアとの交流は児童の可能性を大きく開く。信大生がコーチする卓球は昨年度、県児童福祉施設連盟主催の中南信地区球技大会で優勝。信大生の学習ボランティアで学力も向上し、分校教諭が驚くほどだ。
将来的には、地域の施設や家庭へのサポート・相談役を担うことも課題だ。
岡村正人所長は「専門スタッフのノウハウを生かすため地域に出ていきたい。地域からボランティアで来てもらいたい。病んだ児童を地域に帰す治療施設だから、もっと交流を深めたい」と話した。
同学園は学習指導、環境整備、交流(趣味や余興)などのボランティアを募集している。電話88・3737
(立石清明)

20代の若者が企画 人生の先輩に「歌活」の贈り物

楽しく歌いたいが、人前で歌うことに悩みを抱えている60歳以上を対象にした「歌活|歌謡曲でからだとこころ活(い)き活きサロン」が6月9日始まる。
主催は、松本市を中心に20代の若者らでつくる「OutstandingPatchworksofPublic(OPP、海口翼代表)。
OPPは「身体的、精神的、経済的理由でサービスを受けにくい人にサービスを届け、社会の穴を埋めよう」と一昨年結成。「超高齢社会を乗りこえる松本モデルを考えるみんくるカフェ@まつもと」を開くなど活動している。
今回はボイスコンサルティングの林重光さん(35、松本市出川)から「カラオケサークルなど歌を通した仲間づくりが盛んだが『舞台で歌詞を忘れ、それ以来人前で歌うのが怖い』『声がかすれて出なくなり、歌が楽しめなくなった』といった高齢者の相談が増えた」と聞き、「高齢者が元気だと、若い世代も元気をもらえる。人生の先輩にプレゼントしたい」と今回企画した。
林さんはプロの歌手、アナウンサーのコンサルティングも行っている。一人一人の声の出し方、身体の使い方や思考を分析し、それぞれにプログラムを作成して悩みを解決していく。
海口代表(23、同市梓川)は「人生の先輩に生き生きと明るく過ごしていただくお手伝いができれば」と話す。
6―12月の毎月第2、4月曜。午前10時―正午と午後1―3時の2クラス。定員各クラス10人(先着順)。月会費3500円。松本市内のカラオケ店で開き、会場費は人数で割る。林さん電話080・3692・0615
(上條香代)

J2第15節 圧巻走力で上位対決制す

140529yampJ2第15節は24日、各地で11試合を行った。松本山雅は松本市のアルウィンでジュビロ磐田を2-1で下し、ホーム4連勝。“名門”を相手に山雅の魅力が凝縮した一戦となった。
2-0で迎えた後半ロスタイム、磐田が元日本代表FW前田のゴールで追いすがると、サポーターから「ワン・ソウル」コールが湧き起こった。スタジアムが震えるほどの大声援。試合終了間際の相手シュートがバーを越えたとき、それは必然のように思われた。
試合後、反町監督と選手はサポーターへの感謝を次々と口にしたが、サポーターの気持ちを引き出したのは紛れもなく選手たちのひたむきなプレー。最後まで前線から複数人で圧力をかけて守り、同時にゴールを狙い続けた。
圧巻は後半ロスタイムに見せた2つのカウンター攻撃。92分に4人、94分にも3人が、自陣から全速力で相手ゴール前へなだれ込むさまは、ホームチームながらぞっとするほどだった。
特に船山は、前半の速さと切れ味を最後まで持続させる無尽蔵の動きを披露。追加点を奪えなかった悔しさを語る記者会見での姿は、エースが今後さらなる成長を遂げることを予感させた。
磐田の激しいファウルに、時折アルウィンは不穏な空気になったが、その中でも熱く冷静にプレーを続ける山雅の姿は、チャントの一節にある“俺たちの誇り”と呼ぶにふさわしく、子どもから年配者まで強いメッセージを届けたに違いない。
見る者にさまざまなものを与え、胸に刻まれるであろう好ゲームだった。
(松尾尚久)

勝ちきる強さを物に-今季序盤を振り返る

今季の鍵として反町監督が開幕前から口にしてきた「スタートダッシュ」。目論見通り、シーズンの3分の1を終えて3位と、好調を維持している。昨季までと比較しながら、序盤の戦いぶりを振り返るのと同時に、中盤を展望する。
J2での過去2季と今季の、15節終了時点における勝敗や順位を比較すると、総失点が過去2季とさほど変わらない一方、総得点の多さが目を引く。12年より引き分けが増えた昨季は「負けない」試合で勝ち点を伸ばしたが、今季は「勝ちきる」試合が増えている。
総得点の4割に当たる10得点を挙げているのは船山だ。現時点のリーグ得点ランキングでは、元日本代表の京都・大黒(11得点)に次ぐ2位。12年の1シーズン12得点を上回り、キャリア最高となる可能性が、早くも見えてきた。
しかし船山は「自分だけ調子がいいわけではない。チームとしてしっかりハードワークができているということ」(東京Vとの開幕戦でハットトリックを決めて)など、折に触れてチーム状態の良さを強調する。
主力の多くは昇格時から在籍。継続的な強化で、個としても組織としても、着実に力を上積みしてきた。岩上、田中らの加入により、攻撃の幅が年々広がっている点も見落とせない。
反町監督は磐田戦後、「上位にいる充実感は選手たちに間違いなくある」と話した。上位にいることで高まる周囲の関心と期待。それが選手たちに高いモチベーションや緊張感をもたらす、好循環を生んでいると言える。
喜山は今季序盤について「去年、一昨年の失敗や悔しさを、最初から生かせている。勝っても、みんなで集中しようと引き締め合えている」と振り返る。

ただ、不安材料もある。塩沢と岩間が15節の磐田戦で負傷。特に塩沢は左アキレスけんを断裂し、長期離脱を余儀なくされた。前線からの守備やゴール前でのつぶれ役など、山雅らしさともいえる「泥くさいプレー」を体現するFWの離脱は、大きな痛手だ。
また昨季は6月、昇格後初の3連敗を含む1勝4敗と大きく負け越した。他チームが息切れする7月以降、好成績を残しただけに、中盤戦もこの状態を保てるかが、もう一つの鍵になりそうだ。
(長岩将弘)

講演会聞きどころ ノンフィクション作家 吉岡忍さん

塩尻市民有志がつくる実行委員会は、佐久市出身のノンフィクション作家吉岡忍さん(65、東京都)の講演会「生きなおす 震災から3年」を、塩尻総合文化センターで開いた。吉岡さんは、東日本大震災以来、何度も被災地に通い取材を続けて見えてきたこの国の在り方、問題点を、広い見識に基づいて語った。170人が聴いた。(5月10日)

東京電力福島第1原発事故の2週間後、放射線量が高くメディアも入らない福島県浪江町に入り、そのすさまじさにぼうぜんとなった。地震、津波、原発事故、この大震災のことを真剣に考えなければと思った。
そもそもウランって何? なぜ首都圏で使う電力の供給のために東北に原発施設があるのか。社会の根っこのところまで戻って考えなければいけないと、地球と生命の歴史を振り返り、東北の歴史をたどった。大勢の被災者と話し、漁業のことを知るため漁船にも乗せてもらった。
縄文時代、日本の中心だった東北地方だったが、金が発見され、奈良の大仏建立などの目的で東征が行われた。明治の初めには、戊辰(ぼしん)戦争で薩長に敗れた。なんと原発はほぼ戊辰戦争で敗れた地に造られている。
一方で、負けた後にどう乗り越え、世の中を良くするにはどうすればいいかと考える人物たちも東北は多く輩出している。例えば白虎隊の生き残り、千葉卓三郎は、人民主権を重んじ、現行憲法に通じるような「五日市憲法草案」を起草している。
明治、昭和の2つの三陸海岸大津波や関東大震災など自然大災害をきっかけに日本が戦争への道に進み、転落して行ったことも歴史が示している。
浪江や富岡のような廃墟の町に入ってみてください。考えさせられます。原発は政府と大資本と一部の学者が一体となりバラ色の物語を語り、一部マスコミがあおり、国策の名のもとに推進されてきた。そして事故を起こしたのに再稼働するという。
これからどのような国の姿が描かれようとしているのか、しっかり見ないといけない。私たちは少なくとも権力に近いものの考え方はしないことがこの国の未来を悪くしないポイントだと思う。主権在民、私たちを中心に、主権者として考え、判断していくことが大事だ。
(谷田敦子)