月別アーカイブ: 2013年12月

壁面緑化で花いっぱい 松本市波田のキクイチがブミコン・ガーデンクリートを開発

機械部品製造、環境事業などのキクイチ(百瀬潔社長、松本市波田)は、透水性コンクリートのブミコンを使った壁面緑化資材「ブミコン・ガーデンクリート」を開発、商品化した。河川の護岸や道路などに設置。街づくりをする上での景観向上のほか、二酸化炭素削減、騒音防止といった効果も期待される。
ガーデンクリートは、縦30センチ、横90センチ、厚さ6センチのブミコン板に植物を植える穴を開け、苗や種を植栽。設置する場所や広さに合わせて作った枠にはめ込んでいく。上部に灌水(かんすい)装置を取り付け、乾燥した場合などには、水や液体肥料を注ぐこともできる。厚さ6センチのガーデンクリート1平方メートルで、水約8リットルをためることができる。騒音を約20デシベル下げる効果も実証した。
10月、同社が大手造園業者から壁面緑化の発注を受け、従来の金属製の籠に石を入れ、そこに植栽する工法で見積もりを作成。しかし「もっとコストが下がらないか」という要望があり、浜渉会長(79)が2、3年前から構想し、試作もしていたブミコンを使った壁面の開発に取りかかった。コストは従来工法の半分ほどに抑えられるという。
ブミコンは、川砂利を原材料にし、それを固める固化剤は石油系原料を一切使わず、石灰石をベースとした「BGパウダー」を使用。体積の約25%が空洞で、従来の透水性アスファルトの約2倍。透水性とともに、水を一時貯留する機能も優れている。
今回のガーデンクリートは、個人宅のガーデニング資材としてのほか、防音効果を兼ねた高速道路の壁面、河川の護岸整備などに需要を見込む。2020年の東京五輪に向けた街づくりでの利用にも期待している。
浜会長は「壁面緑化は世界的な流れ。『花いっぱい運動』を展開している松本市にもふさわしいのでは」と話した。
1平方メートルのガーデンクリートに植物を植えた状態で5万円(取り付け料などは別)。キクイチ電話92・5141

キクイチは2010年、BGパウダーと施工技術を開発し特許を取得している東京の緑化事業に取り組む企業・三佐和と、特許専用実施許諾契約を締結。個人宅の家周りのほか、11年4月に旧開智学校(松本市開智)前の歩道にも施工している。
(浜秋彦)

産後の心身をサポート 広丘吉田に漢方相談などの「友愈」

国際中医師の西村里織さん(36、辰野町)は、漢方相談やよもぎ蒸しなどを行う店「友愈(ゆうゆ)」を、塩尻市広丘吉田に開業した。出産後の母親のサポートに力を入れ、「子連れで気軽に来てもらえたら」と話す。
漢方相談は、十分なカウンセリングをした上で、その人に合った漢方を処方。体の不調の原因を探り、改善のための助言も行う。
よもぎ蒸しは、顧客の体質を調べ、その人に合った生薬をブレンドして実施。そのほか、同市広丘野村の男性整体師(41)による整体などもある。漢方相談や整体の後には薬膳茶をサービスする。
4年前から中南信地方を中心に、顧客の自宅で漢方相談をしてきた西村さん。「産前産後の母親をさまざまな面からサポートできる場所をつくりたい」と店を持つことにした。
産後ケアにこだわるのは、自身の体験からだ。6年前、第1子を出産した後、「産後うつ」に悩まされた。「出産直後、安静にせず、外出するなど普段通りに過ごしてしまった。眠れなくなり、育児の気力もなくなった。怖くて、2人目を生む決断がなかなかできなかった」と振り返る。
産後うつから脱し、第2子を出産するまでに4年を要した。「同じ経験をしてほしくないので、自分の経験を伝えたいし、悩みも共有できると思う。産後の体と心を健康に保つために、店を活用してもらえたら」と話す。
午前10時-午後6時。水・木曜定休。漢方相談は初回カウンセリング3000円、以降のカウンセリング2000円、別途漢方薬代。よもぎ蒸し1回2500円。整体は1時間4000円(火・水曜、第2・4日曜休み)。いずれも完全予約制。同店電話55・4574
(松尾尚久)

「HEIWA映画祭」穂高で来月11、12日に

安曇野市の早春賦誕生100年記念事業実行委員会などでつくる「ドキュメンタリー映画上映委員会」は1月11、12日、安曇野市の穂高交流学習センターみらいで「HEIWA(ヘイワ)映画祭“命みつめて”」を開く。命の大切さなどを伝える催しとして毎年開催していきたい考えだ。
初回の今回は、早春賦作曲の故吉丸一昌の孫で、映像会社ユニモトのプロデューサー吉丸昌昭さん(73、東京都調布市)が手掛けたドキュメンタリー映画の上映と、コンサートを行う。
11日は午後1時半から。「歌と朗読でつなぐ『HEIWAへの架け橋』」と題し、マンドリン奏者の折井清純さん(松本市里山辺)、早春賦100年記念合唱団などが「里の秋」などを演奏。旧満州(現中国東北部)開拓に懸けた青春の軌跡を追った「生きて絆をつなぐ70年-拓(ひら)く心いつまでも」を上映する。入場無料(整理券が必要)。
12日は2部制。1部は午前10時、インドネシア女性を取り上げた「二つの故国をつなぐ歌-Diva早春賦を歌う」と「語らずに死ねるか!-無名の元兵士たちの声」を上映する。入場無料(同)。
2部は午後1時半、「はじめ嬉(うれ)しく、あと悲し-十代の若ものたち、青春の軌跡」「大本営最後の指令-遺(のこ)された戦時機密資料が語るもの」を上映する。
「はじめ嬉しく-」は、文化芸術振興費の補助を受けて製作した新作。満蒙(まんもう)開拓青少年義勇軍に志願した少年、従軍看護婦として満州に渡った少女ら5人の過酷な青春時代をつづった作品だ。前売り800円、当日1000円。
映画製作を通じ、戦争の記憶を後世に残そうと活動している吉丸さん、早春賦愛唱会の西山紀子さん(安曇野市穂高)を中心に「平和をテーマにした映画祭を開こう」と計画。吉丸さんは「『過去に目をつぶる者は、未来に盲目』という言葉がある。ぜひ、若者にも見てほしい」と話す。
早春賦愛唱会電話82・7290
(八代啓子)

松くい虫被害 住民目線で 安曇野で研究会が発足

松くい虫の被害が大きい安曇野市明科の住民が呼びかけ人となり12月から、住民レベルの研究会を始めた。初回は穂高で開き、森林組合や木材関係者らから現状を聞いた。次回は1月25日午後3時から明科複合施設で開く。その後も月1回程度集まって問題点を整理し、活動を広げていきたいという。
呼びかけたのは明科七貴荻原地区の落合忠一郎さん(70)と、同南陸郷中村地区の遠藤宏一さん(66)。2人はそれぞれの地区で、松くい虫の被害木を含めたアカマツを伐採し、健全な里山へ再生させる「里山整備実施委員会」や「里山更新伐事業実施委員会」の長を務めている。
「松くい虫被害の詳細を知らない人もまだまだいる。立地条件によっては伐採以外の方法も必要。関連するさまざまなことを学び、方向性を探ろう」と、知人に声をかけた。
初回は他地区の里山更新伐事業実施委員、環境面で山が荒れるのを嘆く住民、山仕事関係者、切った材木を活用する薪(まき)ボイラーに詳しい人ら松本、大町市を含め30人弱が参加。安曇野、大町市の議員も計6人が個人的立場で出席した。
松本広域森林組合安曇野支所長の片桐浩さんは更新伐事業の現状や、枯れる前の被害木は目視で特定するのが難しいことを話し、「個人的考えだが、病原体(マツノザイセンチュウ)を運ぶマツノマダラカミキリだけでなく、根からも病気が広がっている気がする」と威力を語った。
被害木を再生エネルギーとして利用できる薪ボイラーに詳しい諌山憲俊さん(穂高)は「薪を作ることは雇用の創出にもなる。安易に空中散布をすればよい、という問題ではない。諦めず、知恵を絞ろう」と呼び掛けた。
木材を扱う会社・林友(松本市)の中野安久取締役は、松枯れ材の処理方法や流通形態を説明。2011年から里山再生対策を研究している市民団体「あづみの再活(さいき)の松プロジェクト」からは佐藤明利事務局長が参加。大勢に知ってもらうため、被害木を利用してアカゲラの巣箱つくりを続けていることなどを話した。

遠藤さんは「松枯れの実態を知ることも大切だが、地域の暮らしにあった循環型社会、木質バイオマスなど自然エネルギーの活用法、空中散布剤についてなど幅広い事柄を学び、市民レベルでできることを模索・実行していく会になれば」と今後への期待を話す。
(長田久美子)

大町の菜の花ステーションがソバ染め商品の販売

大町市仁科町の菜の花ステーションは17日から、信濃大町草木染研究会(猪又毅会長)が研究し、菜の花農業生産組合(竹折敬喜組合長)が協力したソバ染め商品の販売を始めた。猪又さん(80、同市俵町)は「草木染」を市の特産品としアヤメ、サクラ、ソバの3本柱で展開させたい考え。市内の他の2店舗でも徐々に販売していく。
農具川環境美化委員会の事務局長でもある猪又さんは「花の有効活用を」と、4年前から市内を流れる農具川のアヤメの花を利用して草木染の研究を始め、9月からソバを加えた。
7歳までに両親が亡くなり、祖母に育てられた猪又さんは祖母の「もったいない」と「男は人のまねをするもんじゃない」の言葉を胸に、新しいことを研究し挑戦している。
美麻の中山高原でソバを栽培する生産組合の竹折さん(73、美麻)は「今年は去年の半分ほどしかソバは取れなかったが、地元で使うには十分ある。(食べる)そばにしなくても利用価値があれば」と、ソバ染めのために快く提供した。
研究会はソバの収穫後、平にある菜の花ステーションの信濃大町染め工房で、台風で倒れた実入り前のソバの赤色の茎、葉、白い花などを別々に煮出した。アルミニウム、鉄、銅、スズ、チタンを媒染として絹、綿、ウールなどの製品を染め、チタンでは渋いオレンジ色、アルミニウムでは薄い黄色など、5つの色ができた。
商品名は「美麻高原そば染め」。シルクストール3500円、同プチストール3000円、Tシャツ5000円など。今後、大町温泉郷内のギャラリーカフェてん、塩の道ちょうじやでも販売する。
研究会は2011年度から3年連続で市のきらり輝く協働のまちづくり事業の支援金を受け、既にアヤメの10色がある。11月以降サクラの5色を作り出した猪又さんは、ソバの5色を加え草木染の3本柱にしたいという。同ステーション電話0261・85・8040
(田原富美子)

楽しく鍵盤ハーモニカ 南松本2丁目町会に60-70代の女性グループ

松本市の南松本2丁目町会に鍵盤ハーモニカを合奏するグループ「サウスハーモニー」が誕生した。参加しているのは「これまで楽器を演奏したことがない」という60-70代の女性6人。7月から生き生きと活動し、演奏ボランティアにも積極的に挑戦している。
19日は松本市石芝のグループホーム「りんごの樹」を訪問し、「荒城の月」「故郷(ふるさと)」など5曲を合奏。入居者らは曲に合わせて手拍子をしたり、歌を口ずさんだりして楽しんだ。
同町会の有井洋子公民館長(64)が7月、「家にある楽器を持ち寄り、楽器のない人は声や手拍子で夏の曲を楽しみましょう」と呼び掛けたところ、伊藤澄子さん(75)が孫に借りた鍵盤ハーモニカを持参。これを機に鍵盤ハーモニカ演奏の挑戦が始まった。
「楽器というと、難しそうで気後れする」「音符が読めない」という声もあったが、楽譜や楽器に印を付けるなど、それぞれ工夫して練習。レパートリーが3曲になった9月の敬老会で初ステージを踏んだ。今回の訪問前には「発表するから頑張らなきゃ」と、毎週木曜の練習日以外にも集まったり、家で個人練習をしたりして、新たに2曲を習得した。
「これまで家でテレビを見るだけだったけど、張り合いができた」「練習後のお茶会も楽しみの一つ」と笑顔を見せるメンバー。「鍵盤ハーモニカを練習していると、孫が話しかけてきて会話が増えた」という声もあり、有井さんは「70を越えて、新しいことに取り組むのはすごいと思う。鍵盤ハーモニカは気軽に楽しめるので、仲間が増えていけば」と話している。
(上條香代)

「あづみの1212の会」発足 冬の観光マップ作製

安曇野地域で毎年秋に開いている「安曇野スタイル」の参加者メンバー有志10人が、「あづみの1212の会」を発足させ、「あづみの冬もやってMAP(マップ)」を作製した。安曇野スタイルの期間中だけでなく、四季やさまざま場所、局面での活動を考えようという取り組みの一つ。安曇野の冬ならではのおもてなしや楽しみ方を紹介している。
A3判で、両面カラー。工房やカフェ、ギャラリー、レストランなど53店舗の住所、営業時間、定休日、特徴などを掲載。地図には店の位置のほか、ビューポイント、積雪時や凍結の注意箇所、公共施設、目につきやすい施設などを盛り込んだ。
冬場は営業していない店が多いとのイメージもあったことから、「冬の安曇野ならではの地図を」と企画。冬の観光地を紹介するガイドマップなどを参考に、メンバーが歩いて情報を収集。地図をデザインするなど、それぞれができることを持ち寄り、完成させた。
ホームページ(「冬もやってMAP」で検索・問い合わせもできる)も作り、地図のほか、飲食店のメニュー、店のイベント情報、宿泊施設の特典、工房のワークショップなどを盛り込んだ。安曇野市のライブカメラともリンクさせ、リアルタイムの安曇野を見られるようにしている。
今後は、この地図を足がかりにさまざまなイベントや祭りを模索していく。大町市の麻倉など、地域を越えた連携も視野に入れ、冬をにぎやかにする方法を探っていく。

1212の会は、冬期の「12、1、2月も頑張っている」という心意気を表した。
6月に開いた安曇野スタイルの会議で、成瀬唯代表が「冬の安曇野スタイルを立ち上げよう」と提案。「冬は人が来ない」「寂しい」といった課題もあったことから、安曇野市、池田町、松川村の作家、宿泊施設、レストランなど異業種の10人が集まり、「冬の安曇野スタイルを考える会」を結成、7月に「あづみの1212の会」を立ち上げた。
「安曇野スタイルの枠を超え、来てほしい、見てほしいなど、地域の魅力ある情報を詰め込んだ」と宇田川隆1212の会代表(55、安曇野市穂高)と小野寺恵子さん(55、松川村)。今後は、「陶芸で鍋を作り、その鍋で鍋料理を楽しむ」など、作家や飲食店のシェフを連携させたワークショップを開いたり、そこに宿泊を絡めたり…。
「冬だからこそのんびり、じっくり安曇野を味わえる時間が持てる」と宇田川さん。「工芸、アート、食と、それぞれがこだわりを持った作り手。安曇野と冬の新しい楽しみ方を提案できればうれしい」としている。
(八代啓子)