月別アーカイブ: 2013年11月

7位で終戦、着実に実績上乗せ

131128yamp通算19勝9分け14敗、勝ち点66の山雅は、得失点差により7位で今季を終えた。J2初年だった昨季の12位からステップアップし、反町監督自身が掲げた1桁順位の目標もクリア。「22番目からの出発」(反町監督)だったチームは、今季も着実に実績を積み上げた。
「いろいろな可能性を考えたが、(プレーオフ進出は)難しい状況だった。最終的には力が足りなかったという言い方になるのだろう」。反町監督はさばさばと最終戦を振り返りながらも「時に無茶な要求もした。よく応えてくれた選手たちに感謝している」と、今季の激闘をねぎらった。
指揮官が今季のターニングポイントとして挙げたのは、29節(8月18日)の千葉戦だ。他チームが消耗する盛夏に、開幕前から鍛え抜いた走力がものをいった。2-0から追い付かれたが3-2で勝利。ここからJ2昇格後初の4連勝を成し遂げることになる。
同時期に岩上、阿部らが戦線に加わり、後半戦の陣容がほぼ固まった。6月に加入した犬飼も合わせ「途中加入の選手がいなければ、そのまま十何位かで終わっていたかもしれない」と、指揮官は補強の奏効を認める。
だが、それは開幕当初の戦力不足も意味する。特に計10人を獲得した大卒・高卒選手は伸び悩み、「われわれ指導陣のミス。選手獲得は本当に難しい」。新たに強化担当部門を立ち上げ、反省を来季に生かす。
今季ホーム試合の平均入場者数は1万1041人。G大阪、神戸に次いでリーグ3位だが、都市規模からすれば破格だ。
9月22日のG大阪戦はアルウィン過去最多の1万7148人を記録。最終節は山雅ホーム試合としてはそれに次ぐ1万6885人が訪れ、「みんなG大阪の選手を見に来たわけではない。非常にありがたいこと」と反町監督。「順位がどうこうより、多くのファンの前で勝って終わることが大事だと思っていた」と振り返ったのは岩上だ。そんな地域の熱のエネルギー源こそ、チームの活躍に他ならない。
「チームもクラブも、ある日突然強くはならない」。折に触れて反町監督は繰り返す。地道な努力の先のさらなる高みは「プレーオフ進出しかない」。言い切る言葉に、来季の決意をにじませた。
(長岩将弘、倉科美春)

キャプテンマークに託された思い-船山応えて決勝点

「俺が着けようか。キャプテンになったら点を取れる気がする」。今季ゲーム主将を務めた飯田が警告累積のため最終戦の欠場が決まり、誰がキャプテンマークを着けるかという話題になった時、船山は冗談めかしてこう飯田に話したという。しかし、その後反町監督から正式に主将に任命された。
「貴之(船山)はちゃんとやっている。『得点できていない焦りもあると思うが、信頼しているよ』という意味を込め託した」と反町監督は話す。
前半29分、真価を問われる場面がやってきた。「今までのPKで一番緊張した」という大一番は、落ち着いてネットの右に流しゴール。決勝点となった。
今季の総得点は11点で、昨季の12点に1点届かなかった。「全てにおいて昨季を上回る」という目標を掲げた船山は「満足していない。ボールを取られてはいけない場面で取られることが多く、毎試合、必ずあるチャンスを生かせなかった」と悔しがる。
「ただ、なかなか結果が出ない時も、反町監督は自分を使い続けてくれた。恩返しというわけじゃないが、ホーム最終戦で点を取れて良かった」。チームを背負ったエースストライカーは、わずかながらでもその役目を果たせたことに、ほっとした表情を浮かべた。

PKを決め仲間の祝福を受ける船山に、喜山が駆け寄った。彼もまた、船山にかかる重圧と、点を決めたいという強い思いを知る1人。
船山を抱きしめた後、左腕のキャプテンマークをたたき、「良かったな」とねぎらった。

最終節・大一番で復帰なるか 精神的支柱のDF飯尾和也

131121yamp4月28日の福岡戦で負った左膝のけがで、5カ月戦列を離れたDF飯尾和。公式戦に出場できなくても、チームの精神的支柱であり続けた。最終戦は、DF飯田が累積警告で出場停止のため、先発する可能性が高い。

41節の長崎戦から一夜明けた、東京農業大との練習試合に出場した飯尾。チームメートを鼓舞する声がグラウンドに響いた。「練習も公式戦も同じ1試合」。目の前の試合に全力に取り組む。
シーズン序盤に左膝外側半月板を損傷、長期離脱を余儀なくされた。J2年目のチームづくりに向け、まとめ役として力が必要となる時。「つらく残念だった」と、振り返る。
回復を願うサポーターの声は大きく、リハビリ中に届いた千羽鶴は約7000羽。「選手人生で何度か大けがをしたが、あんなに鶴をもらったのは初めて」。応援を支えにリハビリを乗り越え、9月29日の栃木戦からベンチ入りを果たした。
徹底しているのは、「日々の練習をやりきる」という姿勢だ。反町監督がチームに浸透させてきたことだが、その中でも率先して取り組み、若手選手にその背中を見せてきた。「模範になれなければ自分に選手として価値はない」と言い切る。
その姿を反町監督も高く評価。ベンチメンバーから外れた10月27日の福岡戦終了後の会見では「トレーニングでもウオーミングアップから声を出して取り組んでいる。非常にメンタルの強い選手」と、飯尾を評価した。
出場がかなえば、復帰戦は絶対に勝たなければいけない大一番。「不安はあるが、あのグラウンドは最高。試合前にどんな不安を抱えていても、サポーターの声が忘れさせてくれる」とアルウィンの空気が力をくれることを信じる。
日々積み上げてきた自信を支えに、ピッチに立つ瞬間に思いをはせる。
(倉科美春)

岸野靖之ユース監督コラム「情熱は足りているか」6

Jユースカップ予選の3試合を終え、選手たちの練習への意欲が明らかに変わった。
0-8で敗れた京都戦(10月20日)は実力差に加え、スパイクのせいで雨でぬれた天然芝に対応できず滑っていた。
そこで選手が持つスタッド(いぼ)が固定されているスパイクではなく、より深く芝に刺さる取り替え式のスパイクに変えさせた。
ボールの動かし方や奪うポイントなど、もう一度戦術を徹底し、1週間後の横浜F・マリノス戦に臨んだところ、セットプレーで失点したが0-1と迫った。
強豪ユースと本気で戦い、これまでごまかしてきたことが一切通用しないと肌で感じたのではないだろうか。
二手三手先を一瞬で読まないとすぐにパスコースを消される。どんなパスを選択すれば成功するのか。選んだパスを正確にできる技術はあるか。
私に言われてもぼんやりとしかイメージできなかったものが、少しずつつかめてきたのではないか。
特に変わったのが仲間への要求だ。ミスをした仲間に対してきちんと指摘をする。これは、自分も同じミスをするかもしれないし、軽いプレーができなくなる、責任を伴う行為だ。これまで自信がないためか言える選手はいなかったが、徐々にそういう声も出るようになった。ミスをうやむやにしない代わりに皆でカバーして取り返す。チームワークの本筋はそういう中で生まれる。われわれが目指すのは競技スポーツだ。
変化する兆しが見えたここからまた新たなスタートが始まる。

U-18監督に就任が決まり1年がたつ。「うまくなりたい」という子どもたちの澄んだ思いにどう応えられるのか、本気で考え指導してきた。
来年入団する今の中学3年生は、私とコーチたちで県内のあらゆる試合を見て探しスカウトした子どもたちだ。U-15から上がる選手も含め現在13人が入団予定だ。しっかり育てたい。
耕した土に、種をまく時期がもうすぐ来る。プロを輩出する組織づくりと、子どもたちの育成にこれからも情熱を持って取り組んでいく。
(岸野U-18監督のコラムはおわります)

J1昇格プレーオフ進出へ後退 山形に痛恨●

131114yampJ2は10日、各地で40節の11試合を行った。前節まで7位の山雅は同11位モンテディオ山形とアルウィンで対戦し、2-3で敗れた。勝ち点で並ばれた札幌に得失点差で7位を譲り、昇格プレーオフ進出ラインの6位徳島との勝ち点差は3。残り2試合は、絶対に負けられない戦いとなった。
試合は、雨交じりの強風が吹き付けるなか開始。前半、風上に立った山雅は、開始直後から岩上がミドルシュートを放つなど、積極的に攻撃を展開した。守りも全員が集中し、サイドを軸とした山形の攻めを跳ね返す。
前半18分には村山のFKが強風にあおられ、相手GKの頭を越えてゴール。意外な形で先制点を奪った。
しかし、追加点を奪えず折り返した後半は一転、序盤から山形が攻勢に出る。
押し込まれる時間が続いた28分、右からのクロスに頭で合わせられ、同点に。34分にはゴール正面で与えた直接FKを沈められ、逆転を許した。
試合は目まぐるしく展開する。逆転された直後に登場した長沢が35分、岩上のシュートの跳ね返りを蹴り込んで追い付くと、1分後に相手DFが2度目の警告を受け退場。逆転を期し、スタジアムの空気が熱を帯びた。
だが、あと一歩で決定機をつかみきれない山雅は逆にロスタイム、相手CKに対して多々良がハンドを取られ、痛恨のPKを献上。終盤にFW2人を投入し攻撃のギアを上げたが、及ばなかった。
船山は「十分にチャンスがあった前半に、もう1点でも取れていれば違ったのでは。1点の重みを感じた」と悔やんだ。
「要所要所でポイントを突いてくる力が、相手にはある。こういった天候やピッチの状況では往々にして、技量の差がそのまま勝敗を分けてしまう」と反町監督は分析。「技量の低さは前提でチームづくりをしてきた。今から新しいことはできないので、いかに平常心で戦えるか」と、長崎に乗り込む次節をにらむ。
(長岩将弘、倉科美春)

真の「男」へもがく 先制ゴールのGK村山

前半18分、風に乗ったFKが相手ゴールに入った村山の先制点から一転、後半は守備の乱れを突かれ失点を重ねた。
村山は好セーブで危うい場面を何度も防いだが、28分に右サイドからクロスを、34分にFKを、ロスタイムにPKを決められ3失点。「一瞬の判断の遅れや迷いが失点を招いた」と悔やしさをにじませた。
負傷した白井に代わり途中出場した34節から7試合、まだ無失点で終わった試合はない。特に7失点した37節の神戸戦を、「忘れてはいけない試合」として胸に刻む。Jの怖さ、自分の弱さやふがいなさを感じるとともに、「GKのあり方を考えさせられた」という。
「1失点した時、下を向かずチームを鼓舞することができたら何かが変わっていたのではないか。GKの士気はチーム全体に影響する。『俺が守るから攻めに行ってこい』くらいの気持ちで、どんと構えていなければだめだ」と、あらためて気付いた。以来、積極的に声出しをしている。
サポーターの歌うチャントで繰り返されるのは「男村山」のフレーズだ。「男らしいかどうかは自分では分からないが、そういってもらえるのはうれしい。『こいつになら任せられる』と信頼される選手になりたい」
突然出番が回ってきたJの舞台。想像以上に悔しい思いを何度もした。その結果を受け止め、もがきながらも勝利のため、理想の自分になろうとしている。

がん検診受診率向上へ 松本信金などが10日アルウィンでお守り配布

131107yamp松本信用金庫(本社・松本市丸の内1)、松本市、松本山雅FCは合同で、10日にアルウィンで行うモンテディオ山形戦の際、がん検診の受診率向上などを目指すPRイベントを初めて行う。この一環として来場者に配るお守りの入魂祈祷(きとう)を1日、同市蟻ケ崎の放光寺で行った。
お守りは紙製で、表が勝利御守、裏は健康御守。1万枚を作り、プログラムなどと一緒に入場時に手渡す。当日はホームタウン4市村(松本、塩尻、安曇野市と山形村)が合同で作成したPR映像をスクリーンで流す予定もある。
1日は、関係者5人が同寺を訪問。朗々と祈りを込める越場達祐住職の声に、神妙な表情で聞き入った。
同信金の山田智之・業務部主任(37)は「より御利益があると思う。持ち歩いてもらい、山雅の勝利と共にサポーターの健康にも役立てればいい」。クラブ側は「気が引き締まる思い。多くの人の祈りに勝利で応えたい」とした。

故郷のチーム応援する喜び 山雅愛あふれる「あるある本」発売

「松本市内で山雅のポスターやのぼりを見ると何となくうれしい」「反町監督の試合後コメントを早く読みたくて仕方がない」-。オールドファンから新規まで、山雅好きなら思わずうなずいてしまう「あるある」を集めた本「松本山雅FCあるある」が15日、TOブックス(東京都渋谷区)から発売される。
「愛」故に思わずしてしまうファンの行動を書いた「山雅愛あるある」、現役や歴代選手、監督への思いやエピソードを紹介した「紳士録あるある」、山雅にまつわる文化を紹介した「カルチャーあるある」、北信越リーグから現在までの伝説の試合などを振り返る「レジェンドあるある」の4つに分類。224本のあるあるをイラスト付きで紹介している。
著者は、松本市出身で都内の編集プロダクションに在籍する記者で編集者の松本太陽さん(42、東京都世田谷区)。イラストは福岡県出身の漫画家の卵、山田真衣佳さん(22、同板橋区)。
浦和レッズのあるある本を出版した同社が、サポーターが熱いことで有名な山雅に注目し、松本さんに依頼。観戦中に感じたことや、地元紙の報道、インターネットの掲示板を参考に執筆した。「読み手が主役の本なので、どれだけサポーター目線になれるかに配慮した」という。
05年から応援し、今でも東京から試合観戦に来る松本さんにとって山雅は、「わが家というか故郷そのもの」。
松本さんは「全国の市町村のうち、故郷にJチームがあるのは『何千何万分の40』。いかに尊いかを思い知らされる。これからも山雅のドラマを楽しんでほしい」と話す。
B6判変形、160ページ。1155円。同社電話03・6427・9625
(倉科美春)