月別アーカイブ: 2013年10月

J2第38節 悪夢振り切る逆転勝ち 福岡に2―1

131031yampJ2は27日、各地で38節の11試合を行った。前節まで8位の山雅は、同15位のアビスパ福岡とアルウィンで対戦。先制されたが追い付き、後半ロスタイムに逆転して2-1で勝った。前節ヴィッセル神戸戦は、J昇格後の最多失点で大敗。悪夢を振り切る劇的な勝利は、プレーオフ進出戦線に踏みとどまったこと以上の価値がありそうだ。
「あと4試合で終わるつもりはないので、最後まで応援してください!」。逆転弾を放った喜山がヒーローインタビューのマイクに叫ぶと、割れんばかりの拍手と歓声が起こった。選手らのあいさつが終わっても多くの観客は席を立たず、アルウィンに凱歌(がいか)を響かせた。
「神戸は天皇杯3回戦でセレッソ大阪に0-4で敗れ、その悔しさを(翌週のわれわれとの試合に)ぶつけてきた。われわれも流した涙を無駄にせず、奮起しなければならない」。反町監督は試合前、苦杯を喫した相手を引き合いに出し、選手にハッパをかけた。
押し込まれる場面もあった前半を0-0で終えると後半3分、右サイドを破られて先制を許す。
岩上の右ロングスローからのボールを、飯田が頭で押し込んだのは23分。にこりともせず、ゴール内のボールを拾ってセンターサークルに戻した飯田は「引き分けは負けと一緒だと思っていた」。
4分と示されたロスタイムもほとんどが過ぎ、最後のプレーと思われた岩上の左ロングスローは、ゴール前で混戦に。飯田がヘディングでつないだボールめがけ、喜山が右脚を振り抜いた。
指揮官は「大敗して見放すのではなく、より応援しようとしてくれたサポーターの気持ちが乗り移った2ゴール。精神面でも強い選手の集団を築き上げてきた」と、気持ちでつかんだ勝利を強調。
「試合に出られないメンバーも含め、1つのチームという強い絆でやっていきたい。いいこと言ったなぁ」。おどけてみせた表情にも、自信と手応えがのぞいた。
(長岩将弘、倉科美春)

ストライカーの責任 FW船山

後半ロスタイム。自ら放ってポストに弾かれ、ゴールラインの外に出そうになったボールに船山は素早く回り込んだ。ゴール前に送ったボールが飯田から喜山へ渡り決勝点に。船山の執念もまた、勝利を引き寄せた要因の一つだった。
昨季12得点を挙げたエースストライカーだが、今季は得点を影で支える動きも多い。「マークを振り切り1人で決められればいいが、まだそこまでの実力はない。周りを生かし得点につなげるのも大事な役割」と話す。
けがで欠場した神戸戦では、中盤から前線へボールを運ぶ船山の働きの重要性が浮き彫りになったが、「自分が出ても結果に差はなかった。個の力の差で負けた」と冷静だ。
また、本人はこうしたアシスト役をいとわない。「もともとストライカータイプではない。周りを生かし、自分でも決められるオールマイティープレーヤーを目指している」からだ。「ただ、自分にはストライカーである責任がある」とも話す。
山雅に来て3年。高い身体能力を生かした得点でチームを何度も勝利に導いてきた船山には、観客やチームからの期待が常に寄せられる。それに応えるため、J入り後に徹底的に磨いた走りは今や大きな武器だ。「良いプレーをしたとしてもすぐ次が来る。満足したことはない」。実力と努力の積み重ねでここまで来た。
今季が始まる前に立てた目標は「全てにおいて昨季を上回ること」。得点は現在10点。チームがプレーオフに進むためにも「必ずあと3点とる」と、強い気持ちを示す。
「勝たなきゃつまらない」。心にあるのはシンプルな思いだ。

紅葉の季節に新緑が共演(穂高連峰涸沢カール)

 131029sikip新緑と紅葉が共演。3カ月間の雪解け時期の違いが、春と秋を同居させ夏のない奇妙な光景を際立たせる(8日、涸沢ヒュッテ下部で)

「あのナナカマドはどうなりましたか?」。山岳紅葉シーズンの終わりを迎え、読者から心配する問い合わせが何件もあった。
あのナナカマドとは、8月27日付の四季彩で掲載した「生への執念、凄絶(せいぜつ)な芽吹き」のウラジロナナカマドのこと。
今シーズンの穂高連峰涸沢カールは、例年になく残雪が多かった。雪に埋もれて10カ月。8月、雪解けを待ちきれず雪中で黄金色に芽吹くウラジロナナカマドをルポし掲載。紙面は31日付の信濃毎日新聞朝刊1面の「斜面」で紹介された。
紅葉最盛期の10月8日、あのウラジロナナカマドの前に立つ。衝撃的な光景に言葉を失った。早く芽吹いた群落は、彩りも鮮やかに錦秋の涸沢を謳歌(おうか)している。芽吹きが3カ月も遅れた眼前の株は、葉も小さくまだ新緑の真っ最中。積算温度も日照時間も大幅に足りない。
時折、稜線(りょうせん)から吹き降ろす雪のにおいを運ぶ風が「命もあとわずか」と告げている。それでも新緑の株は、有終の美を飾ろうと生への執念をもやす。雪解けの違いが同居させた春と秋。緑と赤の補色の世界を際立たせ鮮やかに映る光景。胸が痛い。
17日、訪れた新雪で新緑の株は、夏も秋もないまま来春へ命を託した。
(丸山祥司)

U-18 Jユース杯予選で京都に大敗

131024yampJリーグのユース(育成組織の高校生年代)の日本一を決める「Jユースカップ第21回Jリーグユース選手権大会」の予選が、10月12-27日に各地で開かれている。予選2試合目の山雅U-18は20日、京都サンガU-18と松本市のアルウィンで対戦。0-8で敗れて2敗目を喫し、決勝トーナメント進出は難しくなった。
Jクラブ40チームと、JFLの町田ゼルビアの育成組織が出場。10組に分かれ、総当たり1回戦の予選をし、各組2位までが決勝トーナメントに進む。山雅は京都、湘南ベルマーレユース、横浜F・マリノスユースと同組。12日の初戦は、湘南に1-6で敗れた。
京都は昨年も同大会で対戦し、0-5で敗れた相手。岸野監督が今季に就任して以来、現時点でどれだけ力が付いたのかを試される試合でもあった。
「守備に徹してカウンターで得点機をつくるのではなく、積極的にいく」。選手の技術を磨くため、岸野監督は最初からあえて攻撃的に仕掛けた。
しかし、いい形でボールを奪ってつなげず、反対に京都の猛攻を浴びた。シュート数は京都が36本に対し、山雅は2本。守備の乱れを突かれ前半2点、後半6点と失点を重ねた。
試合終了後、ロッカールームで岸野監督は選手たちに「ごまかしようのないものがグラウンドで出た。大人と子どもほどの差があった。大事なアルウィンで誰も何もできなかった」と厳しい言葉をかけた。
岸野監督は、ボールを扱う技術や持たない時の動き、練習時間外でもボールを蹴るというサッカーに取り組む意識など、基礎から改革し、徐々に力を付けてきた。
しかし、選手寮や専用グラウンド、高校との提携など、支援態勢や練習環境が整っている全国の強豪ユースと対等に戦うには、選手の頑張りだけでは埋められない差がある。
ただ、山雅の主力は2年生と1年生。真剣に戦い、負けた悔しさや危機感を糧に成長する時間はまだある。主将のDF古市は「短い1年間にどんな練習するかで変わる。『今のレベルでは通用しない』と実感した悔しさをばねに一人一人が全てを変えていかなければいけない」と、前を見据えた。
最終戦は26日、昨年3位の横浜FMと敵地で対戦する。
(倉科美春)

片山さんとガンズくん 丸の内病院祭を盛り上げる

松本市渚1の丸の内病院は10月19日、病院祭「まんまる祭」を開いた。地域住民や患者の家族など多くの人が来場し、多彩なイベントや健康チェックなどを楽しんだ。山雅のホームタウン担当の片山真人さんとガンズくんのトークイベントもあり、子どもたちを沸かせた。
「片山さんのまな娘の唇を奪った選手は誰?」「ガンズくんがライバル視しているキャラクターは誰?」など、ユニークなクイズが出題され会場は大盛り上がり。
プレゼントが当たるじゃんけんコーナーもあり、小学校のころから山雅のファンという松本市立女鳥羽中1年の林奈樹さん(12)が優勝。ホーム戦のS席のチケットを手に入れた。前日は両親の結婚記念日だったと言い、片山さんのサインとともに「良いプレゼントになった」とうれしそうな笑顔を浮かべた。
地域への感謝と、病院を身近に感じてもらうきっかけにと今年で5回目。10月にオープンしたサービス付き高齢者向け住宅「リバーサイドまるのうち」と合同で開いた。

天皇杯3回戦J1鳥栖に敗退 自信と悔しさを次に

131017yampサッカーの第93回天皇杯全日本選手権は13日、各地で3回戦9試合を行った。山雅はJ1のサガン鳥栖とアルウィンで対戦し、延長戦の末に1-3で敗れた。昇格後初となるJ1チームとの公式戦。終盤にPKで勝ち越しを許す悔しい結果ながら、山雅らしさを発揮し善戦。自信と悔しさを、上位対戦も残るリーグ終盤戦への糧にしたい。
鳥栖の強力なフィジカルに阻まれた前半の山雅は前線にボールを送れず、押し込まれる時間帯が続く。30分には、高橋(松商学園高出)に右クロスを頭で合わせられ、先制を許した。
しかし後半、鳥栖の運動量が落ち始めると、山雅は徐々に攻撃の糸口をつかみ始める。22分、右サイドの玉林からボールを受けた岩上のクロスを、塩沢が頭で合わせて追い付いた。
流れを引き寄せた山雅だったが、「あの時間帯でたたみかけられなかったことは課題」と悔やんだのは塩沢。その後も何度かチャンスをつくり、38分にはホドリゴカベッサを投入したものの追加点はならず、試合は15分ずつの延長戦へ。
互角の展開で折り返した後半9分、相手CKの際に飯田が豊田を押したとしてファウルを取られ、PKに。
ボールが絡まないプレーでもあり、観衆も判定の意図を酌みかねるように、一瞬静まり返った。「PKであったとして、なぜ即座に宣言せず、イエローカードも出さないのか」と、試合後の反町監督も疑問を呈した。
山雅はPKを決められた3分後にも失点。「選手たちの努力が報われなかった。こういうときもあるが、少しつらい」と、指揮官はかれた声で振り返った。
リーグ戦は次節神戸、38節福岡。フィジカルに優れ、プレッシャーも強いチームとの連戦を控える。似たタイプのJ1チームを相手に90分間を同点で終えたことは事実だ。
「いい点は、これでリーグに集中できること。しっかり仕切り直していく」と反町監督は恨み節をのみ込み、前を見据えた。
(長岩将弘、倉科美春)

「結果を出す」信念 鳥栖戦アシストのMF岩上

後半22分の同点弾を、右サイドからゴール前へのクロスでアシストした岩上。チームに得点機をもたらす正確なキック力は、今や山雅にとって大きな武器だ。「自信を持って蹴っている」と、本人も胸を張る。
狙った場所に正確にボールを飛ばす技術は、「幼稚園のころから、兄とボールの蹴り合いをする中で身に付けたもの」。ボールのどこに、どんな角度で足を当てればいいか体に染み付いているという。
J1の湘南から移籍しわずか2カ月だが、「僕がどんなボールを蹴ろうとしているのか、みんなが理解して合わせてくれるのがありがたい。得点は自分一人の力では生まれない」と、短期間で連携を進めてくれたチームメートにも感謝する。
今季は湘南で9試合出場。途中出場や交代が多く、「試合感を鈍らせないためにも、フル出場できるチームに行きたい」と移籍を決意。「山雅のJ1昇格を果たすことが自分の仕事」という。
「プレーの質や体の当たりが鳥栖に比べて劣ってた。例えば浦和レッズとも互角に戦えるようなチームにならないと、来年J1に昇格した時に難しい」と、厳しい目で山雅の課題を分析する。自身についても「アシストだけでなく得点をしたい。シュートの精度が低い」という。
優秀なパサーであるだけではJ1では通用しない。それを知っているからこそ「『移籍して正解だった』と言えるよう、結果を出したい」と強い信念で挑む。

ブラジル人選手支える通訳 西村律郎さん

 

131010yampホドリゴカベッサ、フェリペアウベス両選手、エルシオ・フィジカルコーチのブラジル人3人と日本人との意思疎通を担うのが、12年2月から山雅でポルトガル語通訳を務める西村律郎(のりお)さんだ。その仕事は、単に言葉を訳すだけにとどまらない。母国を遠く離れて努力を続ける若者たちを、力強く支える姿が浮かぶ。
試合中は歓声に負けない大声でベンチの指示を伝え、試合後は報道陣とのやりとりを訳す取材対応。練習、遠征などで、マネジャーの手助けもする。
だがそれらは、仕事のほんの一部。「最も大事なのは、日本の生活環境になじみ、いいプレーをしてもらうためのサポートすべて」と言い切る。
来日間もない時期のケアは、特に重要だ。「ブラジル人は明るく陽気に見えますが、実は寂しがり屋が多いんです」と西村さん。相談に乗ったり、休日に買い物や観光に連れ出したり。時には自宅に招くこともある。

1975(昭和50)年、滋賀県生まれ。小学校低学年からサッカーを始め、アルゼンチンのマラドーナ選手(当時)ら南米サッカーに魅了された。高校時代はブラジル人留学生と親しくなり、言葉や文化を教わった。
高校3年時にJリーグが開幕。「選手としては無理だが、語学を磨いてサッカーに関わる仕事ができれば」と、大学でポルトガル語を専攻。留学や国際協力機構(JICA)の事業で計3年、ブラジルで過ごした。
帰国後は語学力を生かした仕事を求めたが、挫折の連続。「自分に何ができるのか、何をすべきなのかが分からなくなった」
もがき続ける中、J2(当時)湘南ベルマーレの関係者と知り合い、面接を受けたのは05年の暮れ。約6年間、通訳を務めた。

最も難しいのは「選手との距離感や、自分の立ち位置。いつも意識しています」という。
寄り添いつつも、友達ではない。優しいだけでも、厳しいばかりでもいけない。ブラジル人からはもちろん、日本人スタッフの信頼も必要だ。通訳を始めたばかりのころは双方の言い分を全て受け止めようとして、板挟みに苦しむこともあったという。
コミュニケーション不足が失点に直結する守備陣を中心に、日本人選手たちの配慮も心強い。
後ろ、止まれ、足元-などといった単語リストを手に、ポルトガル語を教えてほしい、と言ってきたのは多々良だ。つづりと発音をプリントして渡した。

9月29日、アルウィンでの35節・栃木戦。後半28分に先制点を挙げたカベッサは、真っ先に西村さんに駆け寄った。「いつも支えてくれ、力をくれる存在」というカベッサの言葉は、まさに西村さんが最も大事にしていることと重なる。
「アルウィンは試合前のアップ時から、僕らでさえ震えがくる雰囲気。そこでブラジル人選手が勝ち点3につながる活躍をしてくれたら最高ですね」
(長岩将弘)

応援の熱塗る緑のベンチ

木材保護塗料などを製造する和信化学工業(静岡市)駒ケ根工場と、ダスキン(大阪府吹田市)フランチャイズ(FC)のダスキンゆう(松本市野溝東)の社員らがこのほど、松本市の信州スカイパーク内にあるベンチを山雅カラーの緑色に塗り直した。共に山雅スポンサーで「傷んだベンチをきれいにしながら、応援の輪も広げられればいい」と願っている。
ベンチは、ホームゲーム時にシャトルバス発着所となる第12駐車場そばの9台。事前に研磨した座面を、山雅エンブレムをイメージした濃淡のツートンカラーに塗った。
和信が仕事でつながりのあるダスキンゆうの関貴之営業部長(38)を通して打診し、実現した。
駒ケ根工場の小澤誠滋営業課長(54、松本市村井町北)は「シャトルバスで訪れる人にとってアルウィンの玄関口。アウェー観客にも地域の熱を感じてもらえるのでは」と話した。