月別アーカイブ: 2013年9月

成長の勝ち点1 強豪G大阪に2-2

130926yampJ2は22、23日、各地で34節を行った。前節まで7位の山雅は22日、首位のガンバ大阪とアルウィンで対戦し、2-2で引き分けた。アルウィンの最多入場者数を塗り替える1万7148人が詰め掛けた、注目の一戦。終盤を10人で戦うなど不利な状況で強豪からもぎ取った勝ち点1は、チームの成長の証しといえそうだ。一方、選手からはどん欲な勝ちへの思いも聞かれた。
試合は前半5分に動いた。岩上の右CKに、塩沢が頭で合わせて先制。最初のセットプレーのチャンスをものにした。
しかし、その後は大阪にほぼボールを支配され、苦しい時間帯が続く。
15分にロチャのシュートで追い付かれると、25分には白井が負傷退場するアクシデント。39分にもロチャに決められ、逆転を許した。
それでも集中を切らさなかった山雅は後半3分、岩上が放った左ロングスローからのこぼれ球を、犬飼が左足で蹴り込んだ。
試合を振り出しに戻し、勢いづいた山雅は攻勢を強めるが33分、阿部が遠藤へのタックルでレッドカードを受け、退場。
苦しい時間帯での数的不利の中、山雅は慌てず選手の並びを整え、激しい攻撃をしのぎきった。
しかし、試合を終えた選手たちの口から喜びは聞かれなかった。
塩沢が「先制できたし、勝ててもおかしくない試合だった」と振り返れば、白井に代わって途中出場した村山も「負けなかったからいい、ではなく、勝つためにより努力することが必要」と表情を引き締める。
反町監督は「この勝ち点1が、最後に大きく響いてくるかもしれない。微々たるものだが、成長を感じる」とたたえながら、「(32節)鳥取戦、(天皇杯2回戦)群馬戦と、最後に力を発揮している。最後の15分、11人だったらどうなっていたか見てみたかった」と惜しんだ。
(長岩将弘、倉科美春)

諦めず一歩一歩 MF喜山

「日本代表になる」。小学生のころから抱き続け、今も変わらないMF喜山の夢だ。
東京ヴェルディのユースから東京ヴェルディを経て07年に当時地域リーグの岡山へ。チームのJ入りに貢献したが、11年にはJFLのカマタマーレ讃岐へ。夢から遠ざかるような道のりだったが、「諦めたことは一度もなかった」という。
そして今、山雅のボランチとして欠かせない存在になっている。アグレッシブなプレーで攻守に尽力。最終ラインで声を張りチームメートを鼓舞したDF飯尾和がけがで戦列を離れてからは、「真ん中は、守備陣にも攻撃陣にも声が届く位置」と考え、積極的に声を出しチームを支える。
9節のG大阪戦に出場していない喜山にとって、日本代表経験者が6人いるG大阪とは初めての対戦。中でもボランチ遠藤は、国際Aマッチ出場数136試合と、日本代表最多出場記録保持者。自分の力が現時点でどこまで通用するのか、いや応なしに試される試合だった。
しかし、「自分のやりたいプレーができなかった」と、試合終了後は厳しい表情を浮かべた。「自分のところから相手にボールが渡ってしまうことが多かった。ボールも奪えず、効果的なパスもできなかった。行っていい時と悪い時の判断もまだまだ」と、悔しさをあらわにした。
ただ、「試合ごとに課題を見つけ解決する作業を繰り返してきた」のが喜山だ。どんな境遇でも諦めなかった男が、一歩一歩登りここまできた。山雅のJ1昇格の先に、日本代表がある。
一流選手たちとの戦いで見えた課題を克服すれば、また夢に近づく。

秋立ちそめる白露の季節(小谷村北小谷笹野)

130919sikip昇った日を浴びて、きらきら輝く大小さまざまの朝露の踊り子たちが、白露の季節の舞を踊る(ニコンD3、ニコンAFニッコール105ミリマイクロレンズ、9日朝)

二十四節気の白露を迎えた小谷村北小谷笹野の早朝。気温は13・5度。昇った朝日を浴びて、アスパラガスの細い葉いっぱいに無数の朝露がきらきら輝く。虹色、水色、白…。大自然の宝石箱を開けたようにまぶしい。
白露は立春から数えると15番目。処暑からは15日目ごろだ。夜間、大気が冷え込むようになり、草木の葉に朝露が宿るころとされる。
この夏は、体温を超える記録的な猛暑に見舞われた。まだ残暑は厳しいが、焼けてかわいてしまった心に朝露はいち早くそっと忍び寄り、秋の便りとともに潤いを届けている。
カメラのファインダーをのぞくと、きらめき踊る朝露がやさしく語りかけ、癒やしてくれるような気がする。心に映る露の踊り子たちのメルヘンの世界を大切にしながらシャッターを切った。
こんな光景を前にしていると、この時季に口ずさむ歌がある。「星影さやかに空澄み渡り、葉づえの露に秋立ちそめぬ…」。記者が20代に覚えた、法政大学山岳部歌の「エーデルワイスの歌」だ。
季節は、中秋の名月(19日)を暦に織り込みながら秋分も間近。やがて寒露。夏から秋への“季節のリレーゾーン”は、日増しに秋色を濃くしていく。(丸山祥司)

インタビュー・地域と共に-山雅力 松本市役所松本山雅サポーターズクラブ代表 阿部航大さん

1300919yamp松本市職員有志でつくる「松本市役所松本山雅サポーターズクラブ」。地区や町会、商店街など、さまざまな単位のファン・サポーター組織がある中、単独の職場だけでつくる例は珍しい。「このような団体が他の事業所でもでき、支援の裾野が広がれば」と願う阿部航大代表(27)に、そこから生まれる「山雅力」の可能性について聞いた。
-結成のいきさつと、活動の様子は。
J2昇格を機に、課内や隣の課など、私の周辺で「まとまって何かできないか」という話になり、十数人で発足。まず個人ではできない横断幕を作りたいと、サポーター組織「ウルトラスマツモト」に協力してもらい、昨夏1枚、今年8月に2枚を作りました。
スタジアム内では、組織だって何かするということはありません。マナーとして、会場のごみを拾って帰るくらい。庁内のネットワークで試合結果を報告したり、フットサルや飲み会で交流を深めたりしています。
-比較的狭いコミュニティー内での組織だが。
最初こそ若い人が多かったのですが、今は新規採用者から部課長級まで、性別も年齢もさまざまな60人ほど。同じ職場とはいえ、山雅がなければ接点がなかったであろう人と知り合えているのは楽しい。
窓口などで市民の方と会話のきっかけになることもあり、市がまとまるコンテンツになり得ることを実感しています。
-多くの事業所に広がることで、どういった影響があると考えるか。
山雅やサッカーに全く興味がなかったのに、誘われてアルウィンに行き、誘った人よりはまってしまった人もいます。
大人にとって、家族以外で最も接する機会が多いのは職場の人。人間関係の希薄化もいわれる中、盛り上がれる話題があることはいいことだと思います。
いろいろな考え方の人がいるので力の入れ加減は大事ですが、事業所自体が活性化し、うまく回る可能性もある。
ただわれわれもそうですが、立ち上げがうまくいっても、続けることが大事です。無理せず、楽しみながら、山雅も地域も応援していきたいですね。

【あべ・こうた】 白馬村で生まれ、松本市で育つ。信大理学部生物科学科大学院を修了し、11年4月に松本市役所入庁、環境保全課へ。昨年4月のクラブ結成時から代表を務める。

岸野靖之ユース監督コラム「情熱は足りているか」5

厳しい話だが、どこの育成組織でもプロになれるのはほんの一握り。なれない人間のほうがずっと多い。
例えプロになったとしても、選手生命は10年程度。その後の人生のほうがずっと長い。引退後はほとんどの選手が社会に出て、一般企業などで働くことになる。
だから、指導者として子どもたちに何よりも伝えたいのは、礼儀や謙虚さ、感謝する気持ちを持ち、人のために動ける人間になる、何かを目指して本気になる経験をする、ということだ。私が出会った選手は、これらを身に付けている人間が多かった。
例えば、中澤佑二(現横浜F・マリノス)は練習生時代、他の仲間がベンツやポルシェに乗る中、大きなおにぎりを持ち、電車と徒歩で地元から2時間かけてヴェルディの練習に来ていた。苦労をいとわない強さがあった。だから、日本代表や五輪メンバーになっても、鼻にかけるような態度は取らなかった。
サッカーとは不思議なもので、普段の生活態度とプレーは切り離せない。つまり雑な生活を送っていると、集中力を欠くプレーが多くなる。
練習準備ではスタッフと一緒に用具運びを手伝う、ごみが落ちてたら拾う、あいさつをする。7月にはアルウィンの観客席約5000席を皆で磨いた。世の中を大きなチームと考え、チームメートが気持ちよく過ごすために動く人間になってほしい。
そうした考えを身に付けてほしい。優等生じゃなくてもいい。はめを外して痛い目に合うこともあるだろう。また、恋愛をするのはとても大事。「彼女つくれよ、デートしろよ」と子どもたちに言っている。(U-18監督)

逆境はねのけ3回戦へ 天皇杯、群馬に4―3

130912yamp第93回天皇杯全日本選手権は4―11日、各地で2回戦を行った。初戦の山雅は7日、同じJ2のザスパクサツ群馬をアルウィンに迎え、延長の末4-3で下した。4度のリーグ戦でいまだ勝ち星のない相手に、計120分のほぼ半分を10人で戦い、打ち破った山雅。積み上げてきた力を発揮し不利な状況をはねのけたことは、リーグ終盤戦への弾みになりそうだ。
「長い監督経験の中でも、1人少なくて延長で逆転したことはなかったように思う。今日は本当によくやった」。反町監督は試合後、そんな第一声で選手をたたえた。
試合は目まぐるしい展開を見せた。山雅は立ち上がりの隙を突かれ、開始3分で失点したが前半17分、楠瀬が倒されて得たPKをホドリゴカベッサが決めて追い付く。後半6分にも、ホドリゴカベッサが岩上のクロスを頭で合わせ、逆転ゴールを決めた。
しかし後半22分、小松が2度目の警告を受け退場。群馬が選手交代のカードを切って攻勢に出ると、山雅はシャドーストライカーの位置だった岩上を下げ気味にし、守備に注力する。だが39分、ついに同点弾を浴び、前後半15分ずつの延長戦へ。
延長前半2分に群馬に逆転を許したが、9分には延長戦から途中出場した蔵田が喜山のパスを受け、同点ゴール。互いに死力を尽くしてボールを追う時間帯が続いた後半13分、塩沢がこぼれ球を蹴り込み、再度逆転。これが決勝点となった。
10月13、14日のどちらかに行う3回戦の相手は、J1サガン鳥栖。指揮官は「今の自分たちの位置を知ることができるいい機会。できるだけ上を目指す」と、リーグ戦と両にらみの構えだ。

死闘を制した鍵は、チーム全体で培った体力、チーム内の競争から生まれる精神力、それらによって選手層に厚みが出てきたことだった。
直前のリーグ戦から山雅は5人、群馬は10人の先発を入れ替えて臨んだ。「出場機会の少ない選手の体力を比べてみると、明らかにわれわれのほうが上だった」と評した反町監督。その言葉通り、群馬は試合が進むにつれて疲労の色を濃くし、延長戦では足がつる選手もいた。
出場時間のほとんどを10人で戦い、決勝ゴールを決めた塩沢は「カベッサの2得点が同じFWとして刺激になった。延長で逆転できたことで(フィジカルトレーニングの)効果を実感した」。ゲーム主将として120分出場した喜山も「運動量では負けないと思った。あと30分は戦えた」と胸を張った。
選手層の厚みを示すのは、出場機会が少ない選手の活躍だ。
24節京都戦(7月14日)以来の出場だったホドリゴカベッサは、PKを含む2得点でアルウィン初ゴール。今季リーグ戦で出場1試合にとどまっている蔵田は、延長前半3分にピッチに躍り出るとわずか6分後、群馬に傾きかけた流れを取り戻す同点弾を決めた。
「守備はまだ課題が多く、攻撃も細かい成果にもっとこだわりたい。得点は自信にはなったが、これからが大事」。大卒・高卒ルーキーの中での初ゴールにも表情を緩めなかった蔵田だが、指揮官は「いいかげんに練習していてはチャンスはつかめない」と、努力の結実であることを強調した。
(長岩将弘、倉科美春)