月別アーカイブ: 2013年8月

若手の大きな糧に―松田直樹さんの追悼試合

130808yamp山雅在籍中の2011年8月、急性心筋梗塞で倒れ同4日に亡くなった松田直樹さんの三回忌に合わせ2日、アルウィンでメモリアルイベントとして追悼試合が行われた。トップチームの若手とユース(U―18)選手でつくる「山雅U―23」が、松田さんと親交のあった元選手らによる「ナオキフレンズ」と対戦。0―1で敗れたものの、6343人の観客の声援を受け、かつての名選手らに食らいついた経験は、若手選手たちにとって大きな糧となったようだ。
トップチームからの6人は、岩渕と蔵田以外、リーグ戦の出場経験はない。創造学園高(松本市)卒のDF宮下も、その1人だ。
3バックの左でフル出場。中山雅史、清水範久らFW陣と渡り合い、後半は機を見て攻め上る場面もあった。
宮下は「たくさんのお客さんの前でプレーできて楽しかったし、憧れの選手たちと対戦できて光栄」という一方、「技術も運動量も、まだまだだと思い知らされた」と、悔しさをにじませた。
「努力している者にはチャンスを与えたい」と反町監督が送り出した選手たちだ。ナオキフレンズの指揮を執った水沼貴史は「みんな相当なモチベーションで来ると思っていたし、実際に、出場を勝ち取った必死さを感じた」と印象を語り、ゲーム主将を務めた中山は「情熱を持って、その時やれることを精いっぱいやり続けて」と、エールを送る。
「高校時代はアルウィンに立つことが夢であり、目標だった。今はアルウィンに立った時、何をするかだと思う」。プロとして初めて立ったアルウィンのピッチで、宮下は一層の努力を誓った。
U―18からは総勢14人が出場した。
後半28分、相手FW安永聡太郎のPKを止めたのは、GKの原将太(16、南安曇農業高校2年)。
「安永さんがボールを置く時に右を見たので、思い切って右に飛んだ」。スペインリーグでもプレーした元Jリーガーとの心理戦を制しピンチを防ぐと、会場は大歓声に包まれた。
しかし、直後にセットプレーから失点。「ボールをはじくのではなく、受け止めようとしてしまった。練習で注意される悪い癖が出た」と悔やんだ。
勝負の厳しさと、大声援の中でプレーする楽しさを味わった特別な試合を終え、「プロになりアルウィンに立ちたい」と決意を新たにした。
(長岩将弘、倉科美春)

メモリアルイベントに合わせ山雅社員がAED講習会

松田直樹さんのメモリアルイベント開催に合わせ、松本山雅とNPO法人松本山雅スポーツクラブは2日、双方の社員を対象としたAED(自動体外式除細動器)講習会を、アルウィン内の会議室で行った。社員計13人が参加。「人が倒れた現場に居合わせた時、救急隊に引き継ぐまでにどうすればいいか」を、講義と実習で学んだ。
山雅チームドクターも務める信大医学部(松本市)の百瀬能成医師が、運動中の突然死について講義。続いて相澤病院(同)救急医療普及チーム内の蘇生チームスタッフが、人形を使って教え、最後に参加者全員が一連の流れを実際に行った。
人形などを使った実習は初めてという山雅広報の澤田和輝さん(27)は「思ったより易しかった。いざという時はしっかり役立てるようにしたい」と話した。

インタビュー・地域と共に-山雅力 山雅後援会塩尻支部長 深澤俊英さん

130801yamap今季山雅のホームタウンになった塩尻市。2月に後援会の塩尻支部が発足したり、商業ビルで試合中継が始まったりと、山雅を応援する動きが活発になっている。山雅を塩尻の活性化にどう活用するのか。塩尻支部長の深澤俊英さん(70)に話を聞いた。
-松本平で初の支部。発足の経緯は
妻と一緒に、食を通じたイベントのプロデュースをずっと行ってきました。青年会議所と関わる機会も多く、山雅の大月弘士社長らとは古くからの知り合いだったこともあり、後援会から「塩尻支部を発足し、松本平の他地域で立ち上がるきっかけをつくってほしい」と頼まれました。
地域の清掃活動に参加したり、10月6日のアウェー岐阜戦の応援ツアーを企画したりしています。
-6月から大門一番町の商業ビル「ウイングロード」で、試合を中継する取り組み「松本山雅塩尻エキサイティングビジョン」が始まった
支部と市振興公社が企画。公社が主催、株式会社「しおじり街元気カンパニー」が運営し、支部が運営の協力をしています。
ウイングロードには地下、1階、3階にモニターがあり、そこで各試合を中継しています。
また、4階の駐車場に大型スクリーンを新たに設置し、8月4日の群馬戦からアウェー戦を毎回中継します。ここは1000人が収容でき、コールやチャントも大丈夫。跳びはねたりタオルマフラーを回したりと、自由に盛り上がれます。
6月22日、3階にプロジェクターを設置し、モンテディオ山形戦を試験中継したところ、450人が訪れました。あの応援の一体感はまるでアルウィンを再現したようでした。
「アウェー観戦は塩尻に行き、みんなで盛り上がろう」という流れが生まれてほしい。観戦前後にウイングロードや商店街などで買い物をしてくれれば活性化につながります。
地域のお年寄りたちが山雅の話題で盛り上がり、それが元気の源になる。家族や仲間が山雅を通してつながる。そんな未来が訪れるのが私の夢です。
(倉科美春)

情熱は足りているか?4 岸野靖之U-18監督コラム

2日の「松田直樹メモリアルイベント」の中で行う試合で、山雅U-23チームの指揮を執ることになった。トップチームの23歳以下の選手と、U-18の選手が出場する。
松田さんとは、横浜にいたころ家が近所だったこともあり、時々顔を合わせていた。
彼は今でも山雅を支える柱の一つだ。彼のためにも必死にプレーし、必ず勝ちたい。
出場するほどんどの選手にとっては、アルウィンの大観衆の前でプレーするのは初めての経験。緊張するだろうが、その緊張こそがプロの醍醐味(だいごみ)だ。
監督も選手も、勝てば称賛され、負ければたたかれる。そのプレッシャーの中で分析に基づいた戦略がはまり、勝利した時の充実感は何物にも替え難い。
選手も「やり切った」「うまくいった」という充実感がある時は試合終了後に、にっこりと笑う。
子どもたちには「観客が感動するのは、派手なプレーではなく、当たり前のことを抜け目なくやり、目いっぱい体を張る姿だ。緩いプレーをすれば必ずつまらない試合になる」と、日頃から教えている。
対戦チームにも、元代表らが集まり、関東の大学生と試合をするOBチームで一緒にプレーした福西崇史など知り合いがたくさんいる。攻撃のアイデアなど、普段高校生同士でやる中では思いつかないことがたくさん学べるだろう。
観衆の前で、いろいろな挑戦をしてほしい。積極的なトライは次につながる。失敗してもへこたれずにやってほしい。そして、緊張感を楽しむことも大切だ。相手よりも多く走り、早く判断し、あらゆる場面で数的優位な状況をつくる。見ている人が感動する、勝負にこだわった試合にしたい。(U-18監督)