月別アーカイブ: 2013年8月

教える楽しさ目覚め 元山雅選手大橋さんが松本でサッカー教室

130829yamp松本市の和田児童センターがこのほど、同市和田グラウンドで開いたサッカー教室に、昨季まで山雅に所属した大橋正博さん(32)が講師として訪れた。引退した現在は、横浜市内のサッカースクールでコーチを務めながら、出張教室などを手掛ける会社「アディショナル」を設立。現役時代とはまた違うサッカーの魅力に目覚めつつあるようだ。
「ほらほら、だんごサッカーになってるぞ」「シュート打つときはどうするんだっけ」。子どもたちの歓声に交じり、大橋さんの声が響く。グラウンドは朝まで降っていた雨を吸って湿り、転んで泥だらけになる子もいた。
クリニックやミニゲーム、PK大会といった内容で、小学生60人余りが参加。子どもたちと一緒にボールを追う場面もあった大橋さんは終了後、「やっぱりグラウンドはいいですね」と笑顔を見せた。
横浜市生まれ。J1横浜F・マリノスなどに所属したのち11年、当時JFLだった山雅へ。J2昇格初年の昨季はシーズン後半に出番が増え、高いパス技術と仲間の動きを見極める視野で決定機を演出。「右肩上がり」の成績に貢献した。
だが、11月に契約満了となり退団。12月には合同トライアウトを受けたが、引退を決めた。
決意は「気持ちに従った」ためだ。それまではシーズンを終えると、張り詰めた気持ちをいったんほどき、再び次季に向けて盛り上げていった。が、昨季は気持ちが上がる感覚がなく、「ここまでにしようと思った」。
スクールコーチになるにあたり、1カ月間「殺人的なスケジュール」(大橋さん)で研修。その中で自分の技術やサッカー論を整理でき、「選手時代は気付かなかったことに気付くことができた」という。
指導も手慣れたものだ。会場の様子を確認し、参加見込み人数を聞いて、クリニックのプランを組み立てた。PK大会で模範を披露したときはシュートを外したが「まず悪い例をやりました。次がお手本だから」と、笑いを誘った。「教えることが楽しくなってきた。やっと楽しむ余裕が出てきました」という。
黒く短い髪で、大声で指示を飛ばしては、子どもたちと共に喜び、悔しがる-。選手時代と印象は変わったが、サッカーへのひたむきさは変わっていない。
「教えたことができたときの喜びは大きい。子どもたちの『やった』という表情を見るのも好きです」。はつらつと語る大橋さんの顔には、充実感が漂っていた。
(長岩将弘)

「松田直樹を忘れない。」スポーツライター二宮寿朗さんの本発売

当時JFLだった山雅在籍中の11年8月、練習中に急性心筋梗塞で倒れ急逝した松田直樹さんの最後の1年余りをドキュメンタリー風につづった『松田直樹を忘れない。~闘争人●(ローマ数字の2)永遠の章~』(三栄書房)が、発売された。
著者は、前作に当たる『闘争人松田直樹物語』(同)も執筆したスポーツライターの二宮寿朗さん。綿密な取材に基づく細かなディテールを積み重ね、「等身大の松田直樹」を生き生きと描出。北村や大橋、木島兄弟ら当時の山雅選手を含め、松田さんをめぐる多くの人々の思いもすくい上げた。
全5章で、松本と本格的に関わってくるのは「松本山雅との邂逅(かいこう)」と題した第2章以降。章の合間には松田さんへのインタビューと、横浜F・マリノスの松田さん解雇を考察した当時のコラムも差し挟んだ。
コラムには、解雇を直接伝えた下條佳明・チーム統括本部長(松本県ケ丘高校卒)のインタビューも収めた。
豪快な熱血漢のイメージが強いが、迷い、悩みながら進む道を模索する姿や、友人らの目を通して描かれる山雅入団後の微妙な変化が印象的だ。文中で松田さんが繰り返す「松本はいいぞ」「山雅をJ2ではなく、J1に上げるのが目標」という言葉は、今も胸に響く。
B6判、224ページ。1600円。

生への執念、凄絶な芽吹き(穂高連峰涸沢カール)

130800sikip残雪に埋もれたまま夏の日を浴び、遅れを取り戻すかのように懸命に芽吹くウラジロナナカマド。だが、あと2カ月余りと、はかない命だ(ニコンD3、ニッコールED28-70㍉、PL、19日午前10時)
今夏の穂高連峰涸沢カールは、例年になく残雪が多い。
急登にあえぐ登山道の涸沢ヒュッテまであと500メートルの地点。雪渓上に黄金色の群落をつくる異様な光景が目を引く。ウラジロナナカマドの芽吹きである。「8月も下旬近く。今ごろ?」。不思議に思い近づいてみる。芽吹いたばかりの芽は、夏の日を浴びて黄金色を明るく際立たせている。
雪上に目をやる。雪に埋もれ、重圧に耐え続けて10カ月。雪解けを待ちきれず、すでに雪の中で黄金色に芽吹いている。雪中のわずかな明かりに素早く反応し、光合成ができない状態の中での命懸けの芽吹きだ。
黄金色の芽吹きは、鮮やかなコントラストの美しさを見せながらも、なぜか悲鳴が聞こえてくる。この光景は、命をつなぐ生への執念の凄絶(せいぜつ)な芽吹きであることが、カメラのレンズを通して痛いほど伝わってきた。白い花を咲かせることもなく、錦秋の彩りを添えることもない…。
今芽吹いても寿命はあと2カ月のはかない命。容赦なく冬将軍が命のピリオドを打つ。季節に乗り遅れ、季節にそむいて命をつなぐことはできない。
厳しい自然に立ち向かい、あきらめず芽吹くこのウラジロナナカマド。かける言葉も見つからず、ただ祈る思いでこの場を離れた。
(丸山祥司)

自信の体力 出番で発揮-J2第29節 強敵・千葉に競り勝つ

130822yampJ2は18日、各地で29節の11試合を行った。それまで12位の山雅は、3位のジェフユナイテッド千葉とアルウィンで対戦し、3-2で破った。「ほぼプラン通り」(反町監督)という綿密な相手の分析や、走り込みなどによる体力面での自信に加え、出場機会の少なかった選手がチャンスで力を発揮。チーム内の競争も好結果を生んだ。
ホームでは22節水戸戦以来およそ1カ月半ぶりとなる白星に、試合終了時のアルウィンは大歓声に包まれた。
前半5分、飯尾竜が得たFKを朴光一が蹴ると、混戦のこぼれ球を長沢が頭で押し込み先制した。その9分後には相手のパスを長沢がカット。船山からボールを受けた喜山がミドルシュートを突き刺し、2点目を挙げた。
しかし38分、CKから頭で合わせられ失点。後半19分にもやはりCKから失点した。
だが山雅も24分、朴光一が放った右CKを犬飼が頭でたたき込み、再びリード。終盤は千葉の攻勢にさらされたが、しのぎきった。
「朴光一や飯尾竜ら、これまでチャンスの少なかった人が、今日はいい働きをした。チームにとっても大きい」と振り返ったのは喜山だ。
前回の千葉との対戦(15節)に右SBでフル出場しJ初舞台を踏んだ飯尾竜は、左SBで出場。反町監督が「J1でも通用するし、成長すれば代表入りしてもおかしくない」と警戒した右SBの米倉と対峙(たいじ)し、ほぼ仕事をさせなかった。
「前回より幾分落ち着いてやれたが、もっとレベルアップしなくては」としつつも、「相手の裏への飛び出しなど、右でも左でも、自分がやるべきことは変わらない。それをやりきれた結果」と、手応えを得た様子だ。
一方、CKからほぼ同じかたちでの2失点は不安要素。飯田は「オープンプレーでは防げている自信と、セットプレーが課題という思いの両方がある」と漏らす。
中2日で迎える次節、次々節はアウェー2連戦。厳しい夏場をどう乗り切るか、今後を占う2戦となりそうだ。
(長岩将弘、倉科美春)

「自分でいく」ゴールの目覚め ホーム初得点のFW長沢

3得点の口火を切ったのは、FW長沢のホーム初ゴール。
前半5分、FKからのこぼれ球を頭で決めると、14分にMF喜山が決めた2点目も、中央付近までドリブルで運び、得点のきっかけをつくった。
「やっと、という感じ。大声援の中で決めることができて気持ちよかった」と、ほっとした表情を見せた。
加入から25試合は無得点。「FWの仕事ができない自分が悔しかった。どんなミスをしたのか、どう動けば良かったのか、毎試合考え、落ち込んでいた」という。
転機は、7月27日の北九州戦の今季初得点。「もともとボールを持ったら、周りを生かしアシストするタイプ。ただ、積極性がないとも言われてた。初得点を決めてから、ミスしてもいいから自分でいこうという気持ちになった」
気持ちの変化は、プレーに如実に表れた。ゴール前で飛び出したり、相手と激しい競り合いをしたりと、積極的なプレーが目立つように。最近では、ゴール前でボールを持つと、サポーターから得点を期待し大声援が起こるようになった。
「まだ2点。チームメートやサポーターに認められるのはこれから。残りの全試合、毎試合1点は入れるつもりでいく」
ストライカーとしての自信と闘志を胸に、期待に応えようとしている。

J2第28節 好調の徳島にドロー

130815yampJ2は8月11、12日、各地で28節を行った。前節まで12位の山雅は11日、6位の徳島ヴォルティスとアルウィンで対戦し、0-0で引き分けた。チーム連勝記録を更新する6連勝中と、波に乗る相手の勢いをせき止めながら、山雅は持ち味の堅守も発揮。一方で、何度も決定機を得ながら決め切れない課題も、あらためて露呈した。
試合終了の笛が鳴ると、へたり込んだのは白いユニホームの選手たち。試合を象徴するような光景だった。
試合開始後40秒余りで、味方の縦のボールに抜け出した長沢が相手ゴールに迫り、さっそく見せ場をつくる。得点はならなかったものの、山雅選手たちは前半から躍動。ボールを支配し、スピーディーなパス回しでチャンスをうかがった。
後半も攻守に足を止めることなく、山雅は23節熊本戦以来となる、5試合ぶりの無失点で試合を終えた。
反町監督が「このところ自滅といえる失点パターンが多かったが、今回は安定した守備ができていた」と振り返れば、犬飼も「失敗したから頑張ったというわけではないが、前節の反省が大きいと思う」と、惨敗した群馬戦を糧にできた様子だった。
しかし攻撃陣は「勝てなかった」悔しさを隠さない。
後半2分にも、喜山のクロスを受け1対1の決定的な場面を得ながら決められなかった長沢は「2度のチャンスを決めればまったく違ったはず。なんとかしたかったが…」と苦り切った。
「チャンスはつくれていたが、厚みのある攻撃がまだできていない」と反省したのは塩沢。船山は「次につなげなくてはだめ」と言い切り、「ゴール前の精度はすぐに上がるものではないが、練習時から常に意識し続けなくては」と前を見た。
指揮官は、シュート本数に対する得点率の低さを指摘。「選手もミスをしたくてしているわけではないが、もう少しうまくやれるところはあるはず」と奮起を促した。
次節は18日、アルウィンに3位のジェフ千葉を迎える。試合前に飯田が話した「0で抑えて泥くさい試合」を体現した山雅。得た手応えを生かし、ホーム5試合ぶりの勝ち星を挙げたい。
(長岩将弘、倉科美春)

鉄戸のJ2通算100試合を祝う

試合前、7月27日の北九州戦でJ2通算100試合出場を達成した鉄戸を祝うセレモニーが開かれた。「てっちゃん100試合出場おめでとう」と書いた手作りの横断幕を掲げるサポーターの姿もあり、「たくさんの人に応援してもらい、たどり着けた」と笑顔を浮かべた。
06-08年に在籍したサガン鳥栖(当時J2)で計45試合、昨季山雅で37試合。しかし、今季はレギュラーに定着できず、出場数は今試合を含め20試合にとどまる。
特に、4失点した6月22日の山形戦後は、ベンチメンバーからも外れ、練習も控え組に加わった。「自分にとってすごく重い出来事だった。試合に関われるメンバーとの差を感じ、落ち込んだ」
そんな時、「ある人から『まずはサッカーを楽しめ』と言われ、楽になった」という。
今は、原点に戻ることを心掛けてプレーしている。今試合は、北九州戦に続きフル出場を果たした。
葛藤を乗り越える中で迎えた節目。次に何を目指すのかを尋ねると、「J1でプレーしたい。もちろん山雅で」と、変わらない目標を口にした。