J1へあと一歩 勝ち点は自動昇格の一昨季上回り

1年でJ2に降格した悔しさを晴らすべく、J1再昇格を掲げて戦った今季の山雅。新たな攻撃の形をものにして最終盤まで昇格争いを繰り広げながら、最後に生命線の堅守が崩れてJ1にあと一歩届かなかった。ただ、積み上げた勝ち点は2位で自動昇格した一昨季を上回り、来季への希望を十分に感じさせる戦いぶりだった。
反町監督が当初から「どんなクラブも降格した翌シーズンは、いろいろな意味で難しい」と漏らしていたように、結果的にハードルは高かった。
山雅は、資金力や豊富な戦力でJ1に返り咲けるビッグクラブではなく、一方でサポーターの期待は高く、重圧もあった。
降格で主力の一部は抜けたが、シュミットや宮阪ら穴を埋める選手を加えて戦力低下を阻止。オビナの離脱で3月に高崎を緊急獲得し、夏の移籍期間にはパウリーニョと三島が加入。シーズン途中に弱点やけが人をカバーする補強にも成功した。
J1で通用しなかった昨季の経験から、今季は縦への速さやセットプレーでの得点力、堅守、走力といった従来の強みを持ちつつ、パスをつないで主体的に相手を崩す新たな攻撃の形に挑戦。
序盤は新スタイルを確立できず、6節まで1勝3分け2敗で中~下位をさまよったが、「思ったより早く形になった」と指揮官が振り返る通り、7節から3連勝で急浮上。14~23節は9勝1敗と中盤戦で波に乗り、一昨季と同じ22節で自動昇格圏内の2位に。25~40節はクラブ新記録の16試合無敗とした。
オビナや安藤、6月から約3カ月間チームを離れた田中ら、主力にけが人が相次いだが、代わって出番を得た飯尾や那須川らが予想以上に活躍。シーズン途中に加わった選手も力を発揮し、「誰が出ても遜色ない」(高崎)層の厚さで乗り切った。
最後の過密日程となった38~40節は無失点で3連勝。40節を終えた時点で首位札幌と勝ち点で並び、得失点差1で2位と優勝に手が届く位置に。
全てが狂ったのは前半の2失点で敗れた次節の町田戦。今季大きく手を入れずに質を高め、実際に機能もしてきた守備がここから揺らぐ。最終節の横浜FC戦、岡山と争ったプレーオフ準決勝も、先制を許して複数失点する展開を繰り返した。
特に年間3位で回ったプレーオフは、6位の相手と引き分けても決勝進出という状況で、後半ロスタイムに勝ち越される「これまで何度もあった」(岩間)詰めの甘さを露呈。今季リーグ最少失点ながら、土壇場で踏ん張りが利かなかった。
ただ、1日に行った今季最後のミーティング後、反町監督は「勝ち点84は胸を張っていいと選手に伝えた。目標は達成できなかったが、チームとして新たなことに取り組み、充実していた」と、手応えも口にした。
指揮官は5日、「いばらの道は覚悟の上で、もう一度チャレンジしたい」と、来季の続投を表明。収穫を結果に結びつけるべく、「今季の上をいくチーム」をつくる戦いを始めた。
(長岩将弘)