逆境はねのけ3回戦へ 天皇杯、群馬に4―3

130912yamp第93回天皇杯全日本選手権は4―11日、各地で2回戦を行った。初戦の山雅は7日、同じJ2のザスパクサツ群馬をアルウィンに迎え、延長の末4-3で下した。4度のリーグ戦でいまだ勝ち星のない相手に、計120分のほぼ半分を10人で戦い、打ち破った山雅。積み上げてきた力を発揮し不利な状況をはねのけたことは、リーグ終盤戦への弾みになりそうだ。
「長い監督経験の中でも、1人少なくて延長で逆転したことはなかったように思う。今日は本当によくやった」。反町監督は試合後、そんな第一声で選手をたたえた。
試合は目まぐるしい展開を見せた。山雅は立ち上がりの隙を突かれ、開始3分で失点したが前半17分、楠瀬が倒されて得たPKをホドリゴカベッサが決めて追い付く。後半6分にも、ホドリゴカベッサが岩上のクロスを頭で合わせ、逆転ゴールを決めた。
しかし後半22分、小松が2度目の警告を受け退場。群馬が選手交代のカードを切って攻勢に出ると、山雅はシャドーストライカーの位置だった岩上を下げ気味にし、守備に注力する。だが39分、ついに同点弾を浴び、前後半15分ずつの延長戦へ。
延長前半2分に群馬に逆転を許したが、9分には延長戦から途中出場した蔵田が喜山のパスを受け、同点ゴール。互いに死力を尽くしてボールを追う時間帯が続いた後半13分、塩沢がこぼれ球を蹴り込み、再度逆転。これが決勝点となった。
10月13、14日のどちらかに行う3回戦の相手は、J1サガン鳥栖。指揮官は「今の自分たちの位置を知ることができるいい機会。できるだけ上を目指す」と、リーグ戦と両にらみの構えだ。

死闘を制した鍵は、チーム全体で培った体力、チーム内の競争から生まれる精神力、それらによって選手層に厚みが出てきたことだった。
直前のリーグ戦から山雅は5人、群馬は10人の先発を入れ替えて臨んだ。「出場機会の少ない選手の体力を比べてみると、明らかにわれわれのほうが上だった」と評した反町監督。その言葉通り、群馬は試合が進むにつれて疲労の色を濃くし、延長戦では足がつる選手もいた。
出場時間のほとんどを10人で戦い、決勝ゴールを決めた塩沢は「カベッサの2得点が同じFWとして刺激になった。延長で逆転できたことで(フィジカルトレーニングの)効果を実感した」。ゲーム主将として120分出場した喜山も「運動量では負けないと思った。あと30分は戦えた」と胸を張った。
選手層の厚みを示すのは、出場機会が少ない選手の活躍だ。
24節京都戦(7月14日)以来の出場だったホドリゴカベッサは、PKを含む2得点でアルウィン初ゴール。今季リーグ戦で出場1試合にとどまっている蔵田は、延長前半3分にピッチに躍り出るとわずか6分後、群馬に傾きかけた流れを取り戻す同点弾を決めた。
「守備はまだ課題が多く、攻撃も細かい成果にもっとこだわりたい。得点は自信にはなったが、これからが大事」。大卒・高卒ルーキーの中での初ゴールにも表情を緩めなかった蔵田だが、指揮官は「いいかげんに練習していてはチャンスはつかめない」と、努力の結実であることを強調した。
(長岩将弘、倉科美春)