輝く氷彫に秘められた「命」の光彩(松本市・松本城公園)

170202sikipあうんの呼吸の作業で氷彫に命を吹き込む奥原さん(右)と良波さん=1月22日午前2時15分、ニコンD3S、ニッコールED28~70ミリ

印象深い癒やしと感動の祭典となった第31回国宝松本城氷彫フェスティバル(1月19~22日、松本市)。メインイベントの全国氷彫コンクールは今回が最後。21日夕から22日早朝にかけて徹夜で行われた松本城公園の制作現場は、有終の美を飾るにふさわしい、一級の表現者たちの真剣勝負が繰り広げられた。
21日午後11時半。米国を含む18チームが手掛ける氷彫の外観が浮かび上がる。架空動物や非現実的な世界を表現した作品が多い中で「生命」と題した氷彫に記者のカメラがくぎ付けになった。
チェーンソーがほえ、研磨する電動ドリルがうなる…。氷煙が激しく舞い上がり、氷に刻まれ吹き込まれていく命。躍動感が際立ち命の鼓動が聞こえる。
22日午前2時。必死で逃げるヌーに背後からチーターが襲う、凄絶(せいぜつ)でリアルな瞬間を表現した氷彫は、衝撃的というより、驚嘆的感動となって迫ってきた。サバンナの野生動物の生態の現実、生きる命といま消えようとする命のともしび。生命とは何か…。哲学的心理描写の制作に挑んだ氷彫作家は、長野氷彫倶楽部の奥原大介さん(40、松本市今井)と良波学さん(40、安曇野市三郷)だ。
午前5時半。ヌーの右下に駆け寄り襲うチーターの制作を終え、臨場感豊かな「生命」が完成した。命の尊さと生への執念を、見る者の情感に突きつける。繊細な氷彫の表現力と高い技術力に感謝したい。
(丸山祥司)