癒やしの世界、野鳥さえずる初夏の草原(松本市・美ケ原高原)

170715sikip咲き誇るレンゲツツジの群落を背景に飛び立つ瞬間のノビタキ。野鳥のさえずりがにぎやかな初夏の草原は癒やしの世界=ニコンD3S、ニッコールED600㍉、6日午前8時43分、武石峰遊歩道から

松本市と上田市、長和町にまたがる美ケ原高原の朝。レンゲツツジが鮮やかに赤く彩る初夏のステージで、ノビタキが、草原のソリストの美しいさえずりを披露する場面に出合った。
6日、午前6時半。武石峰の遊歩道を登りながら立ち止まる。近くでノビタキとホオアカが自慢の美声でデュエット。少し離れたコナシの木で、俳句の夏の季語である老鶯(ろうおう)が流麗に歌う。時折、存在感を知らせるモズの鳴き声も。遠いカラマツのこずえで時を刻むようにカッコウが鳴き、谷の底からひんやりした風に乗ってホトトギスの忍び音が上って来た。気が付くと撮影で登って来た遊歩道に腰を下ろして1時間。野鳥たちの“草原合唱団”のコーラスにうっとり聴き入り、時間を忘れ大自然のヒーリングの世界に浸ってしまった。
長年、構図の主役にしてきたレンゲツツジの株を望遠レンズで探すが見つからない。ようやくファインダーに捉えたのは、枯死した株の変貌した姿。咲き誇る群落を背景にした自然界の「生と死」の構図だ。その光景に、はかない人生がオーバーラップし、急にむなしさに襲われた。
偶然、枯れた株の先端にノビタキが飛来。いたわりの明るい美声でさえずり、励ましてくれた。美ケ原“草原合唱団”の癒やしの自然力に感謝である。
(丸山祥司)