激闘を彩る曲たち~スタジアムBGMやチャント~

170427yamp大観衆の声援に加え、アルウィンでの選手たちの激闘を彩るのが、さまざまな音楽だ。試合の前後に流れるBGMや、サポーターが歌うチャント(応援歌)はどのように選ばれているのか。関係者に聞いた。
アルウィンで流れるBGMを選ぶのは、クラブ運営会社の上條友也副社長(60)、演出担当で広告会社アドソニック松本支社の三村敦さん(37)、ディレクターで映像制作などのワーナックス(松本市大手4)代表・大野善裕さん(41)。毎試合かかる“定番”を時系列で紹介してもらおう。
先行・一般入場開始時はJ’S THEME。Jリーグ開始時(1993年)からある曲だが、近年はスタジアムで耳にする機会は少ないという。山雅では「やっとたどり着いた舞台への思いを込めて」(大野さん)、J2入りした2012年から使っている。
同じくJリーグを象徴する曲THE GLORY/Jリーグ・アンセムは、審判団やボールパーソン、担架隊などの紹介時に。「試合を支える人たちに敬意を」(三村さん)との思いという。
対戦相手の選手紹介はアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」からDECISIVE BATTLE。作中で人類の敵とされる「使徒」の襲来時に使われ、同作の舞台の「第2新東京市」が松本市という設定にもちなんだ。“人類の敵”になぞらえられた相手サポーターの反響が大きいそうだ。
山雅の選手紹介の前に観客の手拍子に合わせて流れるのは、ジョー・サトリアーニのCrowd Chant。テレビ東京系「カンブリア宮殿」オープニングテーマ曲としても使われている。
今季、選手紹介の映像に使われているのはBLUESTAHLIのSecret AgentBusiness。映像の雰囲気も曲から決めたといい、「ハードボイルド、スリリングといったキーワードが思い浮かび、『ルパン三世』のようなテイストをイメージした」(大野さん)。
選手紹介の映像はサポーターが注目するため、使えそうな曲を1年かけてストックし、じっくり選ぶという。
ハーフタイム終了時はThe Pretty  RecklessのHeaven Knows。冒頭に「ジリリリリ…」と非常ベルのような効果音が入り「後半開始の合図としても定着したのでは」(大野さん)。
勝利時はMVP表彰の後にザ・ハイロウズの日曜日よりの使者。地域リーグ時代からサポーターがチームチャントとして歌い継ぐ曲でもあり、最も長く使われている。最後は観客を見送るように、チャントの原曲をいくつか流す。
三村さんは「メインはお客さんによる応援で、全ての音楽演出はその気持ちや雰囲気を盛り上げるのが目的」とし、チャントやコールの邪魔にならないよう、オン・オフや音量は臨機応変に変える。
上條副社長は「音楽による演出は、アルウィンの“らしさ”の一つで、観戦のリズムも生む。さらに魅力的な演出を目指して努力する」と話す。
チャントを選ぶのはサポーター組織「ウルトラスマツモト」。選手1人ずつのチャントは以前は中心メンバーが考えていたが、5、6年前からウェブサイトで公募するように。一選手に50点ほどが寄せられることもあるという。
各部署のリーダーら選考委員がある程度絞り込み、最終的には中心メンバーの会議で実際に歌って決める。責任部署「リズム隊」のリーダー古池智さん(45)は「いいものがいくつあっても採用するのは一つ。プレッシャーを感じる」と言う。
基準は歌いやすさや覚えやすさ、応援が盛り上がるかに加え、独自性も重視。「応援を始めた時から曲も『山雅らしさ』にこだわってきた」と疋田幸也代表(41)。
応募は原曲がある「替え歌」の割合が高いが、近年は完成度が高いオリジナル曲も増え、採用もされている。今季の所属選手ではパウリーニョや橋内、呂成海、鈴木らがオリジナル曲だ。
古池さんは「多彩な曲を一緒に歌ってもらっている。責任感を持って選びたい」。疋田代表は「チームチャントも新しいものを加え、チャレンジしていきたい」と話す。
(長岩将弘)