満開のニリンソウとオシドリ共演(北ア上高地・徳沢)

160521sikip満開のニリンソウの花園に現れた婚姻色に着飾ったオシドリの雄=5月13日、上高地徳沢園、ニコンD3、ニッコールED300ミリ

残雪がまぶしい穂高連峰を背景に新緑がさわやかな上高地(松本市)。この季節を代表する草花はニリンソウ。明神から徳沢にかけ、地上の銀河のように映る明るい群落が目立つ。
快晴の13日、徳沢園で満開のニリンソウの群落を撮影していると突然、婚姻色に着飾ったオシドリの雄1羽が現れた。繁殖期特有のオレンジ色のイチョウ羽が鮮やかだ。少し離れた場所には、保護色か、地味で目立たない色合いの雌の姿が。
雄がカメラに向かって近付いてくる。雌を守るための行動か?こんな番(つがい)の愛らしい光景を見ていると「仲睦まじく末永く『おしどり夫婦』のように…」、そんな結婚式でのスピーチを思い出す。確かに繁殖期、しつこく雌につきまとう雄の行動は、仲睦まじく見える。だが、実際のオシドリの番の生態は―。
1985年、日本新聞協会賞を受賞した信濃毎日新聞の「新しなの動植物記」(写真連載企画)の取材で記者が知ったオシドリの意外な生態が脳裏にやきつき離れない。「オシドリの番は雌が卵を産む頃まで。子育ては雌がする。雄はほかの雌と番になる」。教えてくれたのは、山階鳥類研究所名誉所長で鳥類学者の山岸哲さん(須坂市出身)。「おしどり夫婦」は、実態とはかい離した、理想の世界の言葉である。
(丸山祥司)