氷河時代から命つなぐ花と鳥が共演(北アルプス・燕岳)

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氷河期の生きた化石とも言われるコマクサとライチョウが花園でデュエット。長い時の流れを越えて燕岳に命の歌が聞こえる宝物の朝が訪れた(7月24日午前5時5分、燕山荘付近で、ニコンD3、ニッコールED80~200ミリ)

命が躍動する盛夏の北アルプス燕岳(2763メートル)。7月下旬、燕山荘近くで幸運にも氷河時代から連綿と命をつなぐコマクサとライチョウが共演する憧れの光景に出合った。
「高山植物の女王」と呼ばれるケシ科のコマクサ。駒(馬)の顔の形に似たピンクの優しい可憐(かれん)な花風情は、女王によく似合っている。
ところがイメージの女王とは裏腹に、他の植物が生育できない環境下の強風や乾燥の絶悪な砂礫(れき)地にまず最初に根付くパイオニア植物である。女王には女王の孤高の生き方があるのだろう…と考えていると、早朝のコマクサの花園にライチョウ家族が現れた。親鳥(メス)に6羽のヒナが寄り添いほほえましい光景だ。無事ヒナが育ってほしいと願う。
ライチョウは、国の特別天然記念物。およそ2万年前の氷河期に大陸から日本へ渡ってきたとされる。環境省のレッドリストでは絶滅危惧種。現在の生息数は、2000羽弱といわれている。
燕岳は、20年ほど前キツネが稜線(りょうせん)に現れライチョウが姿を消した。「最近、姿が見られるようになり、この大自然の宝物を後世に大切に伝えていきたい」とディナートークで登山者に自然保護への協力を呼びかける赤沼健至社長の言葉が優しく温かかった。
(丸山祥司)