氷河の大地を彩る“涸沢・光のページェント”(涸沢カール)

171019sikip全国に誇る山岳紅葉を見ようと訪れた登山者のテントであふれんばかりのテント場。幻想的に浮かび上がる夜景は、夢の国の光の祭典を連想させる=ニコンD3S、ニコンED AF VR-ニッコール80~400ミリ、9月30日午後6時20分、北穂沢から

山岳紅葉で知られる氷河の大地、北アルプス穂高連峰の涸沢カール。錦秋の彩りがピークに達した9月30日の土曜日に張られたテントは過去最高の1400張りを超え、テント場をあふれ出した。色とりどりのテントが織りなすカラフルな夜景は、今まで見たことのない衝撃的で感動的な光景だった。
午後6時。目に焼きつく昼間の鮮やかな光彩は失せ、カールに夕闇が足早に迫る。次々とテントに明かりがともり始めた。北穂沢に構えたカメラのファインダーをのぞいていると時の流れがはっきり見え、昼から夜への「光のリレーゾーン」を見ているようだ。
午後6時15分。赤、黄、青、緑…。明かりがともるテント場の夜景は幻想的な雰囲気。光の祭典を連想させ“涸沢・光のページェント”さながらに映る。
近年、テントの素材がカラフルになったことと、照明の光源がLEDになったこともあり、テント場の夜景はより鮮やかで明るくなった。
夕闇に浮かぶ1人用の黄色いテントを眺めていると、思いが昭和30年代にタイムスリップした。記者が中学生の時、常念岳で見た小さな黄色いテントの記憶…。後にそれが安曇野に住んだ山岳写真家で高山蝶(ちょう)や雪形の研究で知られる田淵行男さん(1905~89年)のテントと知った。「田淵マーク」が入ったそのテントは現在、安曇野市の田淵行男記念館に展示されている。
(丸山祥司)