水墨画の雰囲気が漂う里山冬景色(松本市入山辺)

150219sikip巡る季節が描く里山の冬景色。厳寒の朝、緊張感の中に安堵感も漂う水墨画の世界が広がる(ニコンD800E、ニッコールED300㍉、美ケ原高原王ケ頭から)

2月上旬の朝、氷点下17度の美ケ原高原から見下ろす松本市入山辺の里山は、稜線(りょうせん)を墨で縁取った水墨画さながらに映った。
深い雪に埋もれ、じっと春を待つ彩り少ない雑木林。時の流れが凍り付いてしまったかのような無音の世界が広がる。だが、モノトーンの優しい山容はどことなく安堵(あんど)感も漂う。
「この構図だ」と決めた時から、心の奥から何かが聞こえてきた。厳寒に、凛(りん)として、“心のハープ”をかき鳴らす響きは何だろう。やがて、「山眠る」冬の精だと気付く。その調べを聴きながら切り撮った里山の冬景色。眺めていると、移り変わる四季の彩りが見えてきた。
「山笑う」春の芽吹きの明るい光景。心地よいさわやかな新緑。梅雨が明けると、しゃく熱の日を浴びて緑はさらに深く濃くなり「緑滴(したた)る」夏となる。やがて繁茂にも凋落(ちょうらく)の面影が浮かび「山粧(よそお)う」秋が忍び寄る。落葉樹の森は、鮮やかな彩りに着飾る。そして、また寒い冬がめぐってくる。
カメラのファインダーの中でたどる“四季彩”の輪廻(りんね)。公転する地球の地軸が23・4度傾いているためにおこる四季。季節に彩りを付ける大自然の営みに感謝して山を下りた。
(丸山祥司)