来季こそ サポーターやボランティアの思い

J1再昇格はならなかったが、今季もホーム競技場のアルウィンには1試合平均1万3631人のファン・サポーターが詰めかけて声援を送り、1試合当たり約120人のボランティアがスタジアムの運営を担った。それぞれの代表や関係者に思いを聞いた。

【サポーター「ウルトラスマツモト」コールリーダー 新関孝典さん】
悔しいシーズンでした。選手や監督、コーチ、スタッフ、みんなものすごい努力をして、あれだけの勝ち点を取ったのに、報われないなんて。
でも、けが人が続出する中、チーム全員で乗り越えたこと、そして若手からヒーローが生まれたことがうれしかったですね。
今季は、これまでで一番安定感があったのでは。序盤こそ新たなスタイル構築の過程で苦しみましたが、そこを耐えたらきちんと結果が出て、反町監督はすごいなと。
監督はいろんな覚悟を決めて、来季も引き受けたと思います。僕らもその覚悟に応えたいし、反町監督を男にしたい。勝ち点につながるように、声援を送ります。
山雅の魅力の一つは「温かさ」です。対戦相手のサポーターとも一緒に楽しむ。讃岐戦限定のチャント「釜玉より蕎麦(そば)」はその代表例。JFLの時は「松本ぼんぼん」を歌いました。勝ち負けだけではない楽しみ、ゲーム以外の楽しみをどんどんスタジアムにつくり出したい。
実は、幻になったJ1昇格プレーオフ決勝で、ある演出を用意していました。それは来季まで温めておきます。“その時”が来たら、観客の皆さん、ぜひ協力してください。

【試合運営ボランティア「チームバモス」代表豊岡圭さん】
1年で降格した次のシーズン。われわれにとっても大変でしたが、実りあるシーズンでした。
観客もボランティアも昨季より減るのは避けられないと思っていましたが、観客は一昨季を上回り、ボランティアも昨季とほぼ同数。さまざまなイベントや企画を仕掛けたクラブの努力のたまものだし、われわれの自信にもなりました。
ボランティアは14年以降、1シーズンの延べ参加人数は2480人ほどで、ほぼ変わりません。ただ、ボランティアの人数が少ない試合に、想定以上の観客が詰め掛けると大変です。今季もそういうケースがありました。
昨季はJ1を経験。ボランティアは、この人数を維持するのか、さらに参加者自体を増やしていくのか-。クラブとも連携して精査し、どうすれば力を発揮できるか、先を見据えて考えるべき時に来ているのかなと感じます。
ただ、カテゴリーがどこであれ、目指すのは入場から退場までを「当たり前」に過ごしてもらうこと。スムーズな着席や再入場、仕事の効率的な役割分担など、今年の経験を糧に、基本的な部分をよりステップアップさせたいと思っています。

【Jへの種まいた2人・高橋耕司さんと小林克也さん】
「トップチームがどのカテゴリーにいても、山雅が地域でやるべきことは変わらない」
山雅のJリーグ入りを最初に目指し、行動を起こした高橋耕司さん(53、松本市蟻ケ崎)と小林克也さん(53、同市里山辺)は「J1に再昇格できなかったのはショック」としながらも、「原点である“地域への感謝”をこれからも形にしていく」と口をそろえる。
2人は高校時代からの親友。アマチュア期の山雅でプレーし、チームが北信越リーグで低迷した2000年ごろ、指導者として二人三脚で立て直しを図る中で、プロ化を模索した。
「まずは地域貢献を」と03年、子どもにサッカーを教える「育成部」を立ち上げ、園児~中学生45人で出発。最初のサポーターとして現在のゴール裏をつくった疋田幸也さん(41)にチームの応援を頼み、高校の後輩で後にクラブ運営団体の初代責任者を務めた八木誠さん(51)ら若手経営者にスポンサー獲得など資金集めを依頼。Jリーグ入りの種をまいた。
その後は元プロ選手や専門家にチームの指揮とクラブ運営を任せ、黒子として支えながら育成を担い、現在は山雅の小学生チームとサッカースクールを運営するNPO法人「松本山雅スポーツクラブ」の理事長と副理事長としてコンビを組む。「ビッグクラブではない山雅がJで生き残るには、自前の選手を育てるしかない」(小林さん)
また、「1人でも多くの人に山雅に触れてもらうことで、地域に根差せる」(高橋さん)と、今後は総合型スポーツクラブを目指し、サッカー以外の競技や、市民の健康づくりにつながる運動の普及に乗り出す。
11月に始めた「親子運動教室」は、幼児の運動神経の発達を促し、サッカーに限らず一流の競技者が育つ環境づくりが目的。トップチームが地域を挙げて応援されるようになった今、「山雅はこのまちで何ができるか」を問い、形にしていく。
(取材班)