教える楽しさ目覚め 元山雅選手大橋さんが松本でサッカー教室

130829yamp松本市の和田児童センターがこのほど、同市和田グラウンドで開いたサッカー教室に、昨季まで山雅に所属した大橋正博さん(32)が講師として訪れた。引退した現在は、横浜市内のサッカースクールでコーチを務めながら、出張教室などを手掛ける会社「アディショナル」を設立。現役時代とはまた違うサッカーの魅力に目覚めつつあるようだ。
「ほらほら、だんごサッカーになってるぞ」「シュート打つときはどうするんだっけ」。子どもたちの歓声に交じり、大橋さんの声が響く。グラウンドは朝まで降っていた雨を吸って湿り、転んで泥だらけになる子もいた。
クリニックやミニゲーム、PK大会といった内容で、小学生60人余りが参加。子どもたちと一緒にボールを追う場面もあった大橋さんは終了後、「やっぱりグラウンドはいいですね」と笑顔を見せた。
横浜市生まれ。J1横浜F・マリノスなどに所属したのち11年、当時JFLだった山雅へ。J2昇格初年の昨季はシーズン後半に出番が増え、高いパス技術と仲間の動きを見極める視野で決定機を演出。「右肩上がり」の成績に貢献した。
だが、11月に契約満了となり退団。12月には合同トライアウトを受けたが、引退を決めた。
決意は「気持ちに従った」ためだ。それまではシーズンを終えると、張り詰めた気持ちをいったんほどき、再び次季に向けて盛り上げていった。が、昨季は気持ちが上がる感覚がなく、「ここまでにしようと思った」。
スクールコーチになるにあたり、1カ月間「殺人的なスケジュール」(大橋さん)で研修。その中で自分の技術やサッカー論を整理でき、「選手時代は気付かなかったことに気付くことができた」という。
指導も手慣れたものだ。会場の様子を確認し、参加見込み人数を聞いて、クリニックのプランを組み立てた。PK大会で模範を披露したときはシュートを外したが「まず悪い例をやりました。次がお手本だから」と、笑いを誘った。「教えることが楽しくなってきた。やっと楽しむ余裕が出てきました」という。
黒く短い髪で、大声で指示を飛ばしては、子どもたちと共に喜び、悔しがる-。選手時代と印象は変わったが、サッカーへのひたむきさは変わっていない。
「教えたことができたときの喜びは大きい。子どもたちの『やった』という表情を見るのも好きです」。はつらつと語る大橋さんの顔には、充実感が漂っていた。
(長岩将弘)