支える(2) グッズ開発担当・塩川由貴さん

140807yamp事業本部企画部商品担当の塩川由貴さん(24)は、オフィシャルグッズの開発を担っている。
山雅はJ昇格後、ホーム試合ごとに数種の新商品を発表。これまでに発売したグッズは色やサイズ違いなども含め、ざっと500種にものぼる。
さまざまな情報媒体に触れ、トレンドに耳を澄ます。ファンやサポーターの意見・要望、同じJクラブのグッズ開発担当者との情報交換も、貴重なアイデアのもと。ファンシーショップやテーマパークなどに足を運んでの調査も欠かせない。
それでも「反応は実際に販売してみるまで分からない。毎試合ドキドキです」という。

静岡県富士宮市出身の塩川さんは、高校時代からスポーツビジネスに携わりたいと考え、2009年、専門学校のJAPANサッカーカレッジ(JSC、新潟県)サッカービジネス科に進んだ。
山雅との出合いはそのころだ。当時はJSCと同じ北信越リーグ所属。アウェー試合会場のJSCグラウンドに多くの山雅サポーターが訪れ、声をからして応援する様子を見て、「その熱さに興味を抱いた」と振り返る。
当時JSCを率いていた辛島啓珠監督(現・佐川印刷京都SC監督)が山雅の監督を経験した縁などもあり、山雅の就職試験を受験。クラブの求めに応じ、JFL昇格初年である10年の秋から、松本に移って働き始めた。

気を付けていてもなかなかつかめないのは、「自分の感覚とのギャップ」だという。
一例は、昨年春に発売したアームカバーだ。
松本平の紫外線の強さは全国トップクラス-との情報を得た塩川さん。車社会である長野県で、運転時にアームカバーを着ける女性が多いことにも気づいた。「自分は使わないので、個人的にはあまりぴんとこなかった」というが、売り出してみれば予想以上に好評で、今季も販売。他クラブの担当者にも紹介している。
「もっとも、逆のパターンも多いんですけどね…。難しいです」と、塩川さんは苦笑する。

今季の開幕前、チームの練習会場でうれしい経験をした。
会場出口で、母親と就学前らしき女の子が、ある選手にサインをもらっていた。
なごやかなやりとりが交わされ、笑顔をこぼす女の子の腕には、ぼろぼろのリストバンド。それはJ昇格当初に発売した、選手ごとのものだった。
「あんな小さな子が、思いを込めてずっと大事にしてくれている様子が伝わってきた。感謝と同時に、『ものづくり』の喜びも感じました」という。
「まだハードルは高いけれど、ファンやサポーターとの共同開発などができればいい」と、塩川さんは願う。
「グッズは、選手やクラブへの思いを託し、つなげられるもの。本当に求められ、愛用してもらえるものを生み出していきたいですね」
(長岩将弘)