川面を彩る鮮烈秋色ファンタジー(松本市上高地・梓川支流)

141023sikip川面に映るハウチワカエデの紅葉。朝日を浴びて燃え上がり際立つ。神秘的な風情の中に、人の情念を心理描写するかのように鮮やかに水面に舞い、シーズンの有終の美を飾る=ニコンD3、ニッコールED300㍉、ストロボ補助光、10月8日、上高地・梓川支流

松本市・上高地の岳沢側を流れる梓川支流で川面を彩り染める鮮烈な紅葉に出合った。
早朝の低い位置から林内に差し込む日を浴びて真っ赤に輝く1本のハウチワカエデ。まだ日が当たらない薄暗い川面に鮮やかに映り込む。
カメラのファインダーをのぞいた瞬間、衝撃的な紅色に圧倒されそうになった。「秋色の主役は私よ」とまるで誇示しているかのように映る。静けさの中に響く渓流のメロディーに合わせ、揺れる波のステージで紅色のプリマドンナが情熱の「炎の舞」を踊る。心理描写が鮮やかに際立つ。真っ赤な踊りを眺めていると、色相の「赤色」の位置をはっきりと意識してしまう。
色にはそれぞれ意味があり、力がある。日々、さまざまな色に包まれ生かされているが、色彩心理学(色相心理学)では、色が人に与える影響を「心理的、生理的、感情的」などのジャンルに分け細かく分析していて興味深い。炎や血などを連想させる「赤」は、警戒心や注意力を喚起し感情的興奮をもたらす。色の中で最も波長が長く、交感神経に刺激を与え、体温や血圧、脈を上げるとされている。
人の生命の根源ともいえるパワーの色、赤。朝焼けや夕焼け、紅葉の赤に心ひかれるのは、自然から生まれた人の本能のような気がする。(丸山祥司)