山雅「レジェンド」座談会(下) 新時代へ使命感

-14年シーズンを振り返って、鍵になった試合は。
片山 何試合かあるけど、まずは東京Vとの開幕戦(3月2日)です。アウェーなのに8000人を超えるサポーターが来てくれて熱い気持ちを感じられた中で、(船山)貴之がハットトリックを決めた。エースの活躍で白星発進というのは、今考えればその後を象徴していたのでは。J2初年(12年)の開幕戦もアウェーの東京V戦でしたが、当時と比べるとすごく成長も感じられた。
小林 僕も現地で見た開幕戦ですね。
片山 開幕戦は2人(片山、小林)でグッズ販売もしました。
小林 スタッフとして初めて見た公式戦でしたが、自分たちのスタイルをはっきり示し、いいスタートを切れた。あとは9月、勝てなかった時期に順位を落とさなかったのも大きいと思います。(3位だった)磐田と勝ち点差が小さく、順位が入れ替わってもおかしくなかったけれど、そうはならなかった。運も味方につけられたということでしょうか。
矢畑 他チームの取りこぼしもあって、順位が変わらなかったね。俺もあの時期は大きかったと思う。
柿本 僕はちょうどそのころ(9月6日=30節)、アウェーで引き分けた湘南戦です。内容的には押されていたんですが、山雅らしい粘りで首位を独走する相手に善戦し、勝ち点1を加えた。それまでの成長とまだ足りない点とが、あの段階で見えたことにも意味があったと思う。
神田 僕も開幕戦ですね。僕も一緒にグッズ売ってたんですよ。
小林 ああ…いたと思う。
一同 思う(笑)。
片山 じゃあ、(小澤)修さんにまとめを。全試合、一番近くで見てるでしょ。
小澤 そう思われてるけど、いろいろ仕事もあって、まともに見ていられるのはせいぜい前半だけなんだよ(笑)。でも前半だけで言えば、ホームの湘南戦(3月30日=5節)。開幕4連勝で勢いに乗っていた湘南を圧倒し、完全に山雅のゲームだった。僕はずっと現場で、例えばキャンプでの選手ミーティングにも出させてもらい、すごく勉強にもなっていたんですが、個人戦術もチーム戦術も、その成果が全部出ていた。後半に突き放されて負けこそしましたが、こういうサッカーができれば今年は相当いい順位にいくだろうなと予感した試合でした。まさか3位に勝ち点15も差を付けて、自動昇格できるとは思いませんでしたけどね。
-皆さんが選ぶMVPは。
片山 僕は貴之かな。もちろんみんな頑張ったんですけど、19得点という数字は同じFWとしてやっぱりすごい。守備もするし、攻撃の起点にもなるし、アシストもする。得点以外でも貢献し、チームの顔だと思う。一緒にプレーもしたし、実は家も近くて、個人的にもうれしかった。
小澤 何であんなに点取れるようになったんだろうね。どこが変わったっていう印象はないんだけど…。
片山 自分をうまく使ってくれる選手が増えてきた、っていうのはあるかも。俺が横にいてもあかんかったんやっていう(笑)。
小林 2人挙げさせてください。まずは岩上選手。スタッフとして加わる前の13年、アルウィンに見に来た天皇杯で初めてプレーを見たんですが、ロングスローもいいキックも持っていて、チームの核になれる存在だと感じた。来年もいてくれればいいなと思っていたところに完全移籍してくれて、期待通りの活躍をしてくれました。もう1人は鐡戸選手で、試合に出られない時も黒子役として汗をかき、チームに尽くした。ああいう存在は彼だけではないだろうけど、チーム最古参が進んでそういう役割を果たした意味は大きいと思います。
矢畑 (小林)陽介と一緒で岩上かな。セットプレーもそうだし、攻撃のオプションの中で彼がいないと成り立たないものはけっこう多い。流れの中でも存在感を出せる選手だとも感じます。
小澤 僕は喜山ですね。選手会長としてチームをよくまとめていたし、実際、あいつがいないと流れがよくなくて、勝てない試合もけっこうありました。あれだけ泥くさくボールを追ってますが、もともとFWなので、前に行きたい気持ちをぐっと抑えたりもしてると思います。たいしたものです。
柿本 ムラ(村山)です。あれを止めてなかったらどうなっていたか分からないなっていう、神がかったセーブもけっこうある。正GKとして加入したわけではないことを考えると、すごく成長したと思います。
神田 田中隼磨選手…は置いといて。
一同 置いとくの?(笑)
神田 いや、やっぱり当たり前すぎるかなと思って…。個人的には犬飼選手かな。成長もしましたが、見ていてまだまだこれから楽しみというか、将来性を感じさせる。
小澤 彼はきっといい選手になるよね。
-それぞれの立場で「J1松本山雅」にどう貢献を。
片山 「山雅を全国区にしたい」というマツ(松田直樹)さんの言葉に、当時から共感していました。J1昇格で高まっている注目度を利用し、自分のできることの中で、まずは県内からもっと盛り上がっていければいい。その延長線上に、全国区というのも見えてくると思います。
小澤 僕は選手の後、育成部門にも関わらせてもらい、広報になりました。3つを経験して思うのは、自分の仕事の先に何があるかを常に意識しなくてはならないということ。例えば広報なら、スタンドが満員になる光景をいつも目標としてやってきました。それぞれがそれぞれの仕事を頑張り、サッカークラブがある意味を、この町に残し続けていけたらいいと思います。
小林 ホームタウンはもちろんですが、それ以外の地域の、特に子どもたちに、もっと山雅を知ってほしいですね。知ってもらうことで、よりアルウィンに足を運んでほしい。そうして子どもたちに夢や希望を与え、県内にはこんな素晴らしいクラブがあるということを誇りに思ってもらえるような活動をしていきたいです。
矢畑 今年も育成に携わると思います。毎年のことですが、自分の指導スキルを向上させながら、選手たちの長所をより伸ばせるように頑張ります。
柿本 こうして山雅が盛り上がる前の、どちらかというと苦しかった時期のことは、今やここにいる僕たちくらいしか知らない。僕やガチャ(片山)が代表して「こういう時期もあったよ」と伝えていくのも、アンバサダーの使命かなと思います。育成に携わる立場としては、山雅の名に恥じない選手を育て、チームをつくることに努めたいですね。
片山 さあ、大トリ。これからいいこと言いますよ。
神田 このメンバーをはじめ、クラブのことを思い、それぞれの個性を生かして貢献してくれる人がそろっている。それはクラブの可能性そのもの。自分ができるのは、そういった人たちの声を聞いたり、組織との間に入ったりすることだと思っています。さっきも言ったとおり、ここにいるメンバーには特に活躍してほしいと思っているし、僕は自分のできることを頑張り続けたいですね。
片山 ネクタイがガンバ(大阪)カラーですけど、大丈夫ですか。
柿本 ネクタイだけじゃなくて、コーディネートが全体的に…。
-どうもありがとうございました。(敬称略)