壮麗な梅雨晴れの蝶ヶ岳(北アルプス)

1306sikipモルゲンロートに染まる槍・穂高連峰。若者が積み上げた天を突き刺す「青春のケルン」が赤々と輝き神秘的な山の朝の雰囲気を際立たせる(6月24日午前4時半、蝶ケ岳、ニコンD3、ニッコールED28-70㍉)

残雪のコントラストも鮮やかに、梅雨空の中で夏化粧が真っ盛りの北アルプス連峰。梅雨晴れの6月24日、蝶ケ岳(2677メートル)で壮麗な朝と出合った。
午前3時45分、イワヒバリがさえずり夜明けを告げる。眼下の安曇野は、蒼(あお)白い雲海の下で眠っている。はるか東の空低く南北に走る深紅の一条の光。新しい朝を迎える神秘的な光彩のドラマが始まった。紅、朱、橙(だいだい)、黄金色…。無韻の世界に刻々と変幻する光の彩りが時を刻む。
午前4時半、御来光が始まる。眼前のケルンと槍・穂高連峰がモルゲンロートで赤銅色に染まり輝く。神々しい荘厳の光に包まれながら、蝶ケ岳に初めて登った青春の日を思い出した。
あえぎながら稜線(りょうせん)に出た瞬間、蝶ケ岳ヒュッテの赤い屋根とともに、突然現れ迫ってきた槍・穂高連峰の雄姿。余裕がなかった若い胸を圧倒した衝撃的な感動をまだ忘れない。
同じ光景を時がたった今眺めると、梓川の谷を隔てた位置と距離がとても心地よく伝わってくる。「人間関係も大切なのは位置と距離」と山の大自然が教えているように映る。雲表はるか顔を出す世界遺産に登録された富士山の隔たりが、遠くまで歩いてきた自分の人生を振り返らせた。
(丸山祥司)