厳寒の上高地 春待つニホンザル(松本市)

160103sikip

太古の表情を見せる白銀の穂高連峰を背景に樹上で休むニホンザル。厳寒の上高地で越冬し雪の中で命をつなぐ=ニコンD3、ニッコールED80-200ミリ、2015年12月20日、上高地大正池付近

 
今年の干支(えと)は申(さる)。日本にいるニホンザルは、人間を除く霊長類の中では最も北に生息する。雪の中で生きるサルは珍しく研究者たちが注目。世界の人々から「スノーモンキー」と呼ばれている。
「全国で最も厳しい環境に生息するのは、上高地で越冬するニホンザル」と信大山岳科学研究所教授の泉山茂之さん(動物生態学)に以前聞いた記憶がある。
雪に閉ざされた冬の上高地は、氷点下20度を超えることも。昨年12月20日、極寒に耐えて越冬するニホンザルに急に会いたくなって、冬季閉鎖された暗い釜トンネルを歩き早朝、氷点下11度と冷え込む上高地に入った。
サルの群れを探して小梨平まで歩く。大正池付近と小梨平では、雪上に樹皮を食べたハルニレの小枝が散在。河童橋周辺では、エゾヤナギの樹皮がはがれた木も。昼下がりの帰路、大正池付近でようやく群れに出会えた。冬の上高地のニホンザルの主食は、ハルニレ、エゾヤナギなどの広葉樹の樹皮やシナノザサの葉。水生昆虫の幼虫も食べる。
スノーモンキーと呼ばれる仲間には、決まった時間の給餌や“温泉付き”もある。だが厳寒の上高地で越冬するニホンザルには無縁(猿)だ。ひたすら樹皮とササの葉を食べ、必死に命をつなぎ、好物の草木が芽吹く本格的な春をじっと待っている。
(丸山祥司)