信大医学部特任助教の亀井さん 医療的ケアが必要な子の支援ネットワークが評価

人工呼吸器など医療の助けが必要な子どもが家で暮らすのを支える医療や福祉などのネットワークづくりに、亀井智泉さん(51)=安曇野市堀金烏川=が取り組んでいる。県立こども病院と患者や家族をつなぐ「長野こども療育推進サークルゆうテラス」代表としての経験を生かし、昨秋から信州大医学部新生児学・療育学講座の特任助教として県内を駆け回る。
「目的は、助けた命が地域で育つのを支えること」と亀井さんはきっぱり言う。
医療の進歩で、人工呼吸器や胃ろうなどを使いながら自宅で暮らす子どもは増えている。ただし、小児の専門的なケアは知識や経験が必要で、地元に頼れる病院や訪問看護ステーションがない、という地域も少なくない。医療的ケアが必要な子を診ることができる小児科医を増やすことで、スムーズに病院や福祉施設などを利用できる仕組みをつくるのが今の仕事だ。一時預かりや訪問看護、保育園や学校の受け入れ態勢を充実させるほか、医師の勉強会や相談態勢作りにも取り組む。2月4日には松本市で医療関係者らを対象に初の学習会を開く。

23年前、長女の陽菜(ひな)ちゃんは出産時の事故で脳の機能の大半を失い、県立こども病院に入院して自宅に帰れないまま4歳で亡くなった。「あの時は独りぼっちで、一緒に家に帰る道筋を考えることもできなかった」と振り返る。
亀井さんは親としての経験を生かし、同病院を拠点に、子どもが自宅に帰ってから福祉制度や学校、保育園を利用できるようコーディネーターの役割を果たしてきた。今回、小児科医も関わる支援態勢ができることで、より安心できる仕組みになる。
「うれしいのは、障害がある子が生まれても、出生前診断でわが子に障害があると分かっても、育てるのは親だけじゃない、1人で頑張らなくていい。支える人がいるからね、と言えることです」と亀井さんは話す。

児童福祉法の改正で来年度からは、医療的ケアが必要な子どもの支援態勢をつくるコーディネーターを各都道府県に置くことが求められ、将来的には相談役のスーパーバイザーも置く。「ゆうテラス」などの先進的な取り組みが評価されて、亀井さんは1月21日に東京で開くコーディネーター養成講座の講師も務めることになった。これまでの活動を、今年は全国に広げる。

【医療的ケアが必要な子どもの支援】
産科や小児科などの医療の進歩で、生まれつきの病気があってもNICU(新生児集中治療室)を経て、人工呼吸器や胃ろうなどを使いながら自宅で暮らす子どもが増えている。医療的ケアを利用して通常に生活できる子から、重度の知的・身体障害のある子まで、厚生労働省の推計によると全国で1万7000人、2005年の9000人余から大幅に増えている。県内の児童数は調査中、重度心身障害児は約400人(14年)いる。16年の児童福祉法改正で、医療や福祉などと連携し医療的ケアを受けている子どもに必要な支援をすることを、自治体の努力義務とした。厚労省は支援者やコーディネーター養成研修事業などを行う。
(井上裕子)