一期一会の幽玄神秘な光彩壮麗の夜明け(北ア穂高連峰・涸沢)

160920sikip大空のカンバスに描かれた名画のような壮麗な朝焼け。色彩と明暗がドラマチックに刻々と変幻した=7月22日午前4時38分、ニコンD3S、ニッコールED17-35㍉、涸沢ヒュッテ展望テラスから

北アルプス穂高連峰の涸沢で、この夏出合った衝撃的光彩の交響詩を連想させるドラマチックな朝焼けが今も脳裏から離れない。
7月22日、午前4時15分。シルエットに浮かぶ屏風岩の稜線(りょうせん)の上に広がる雲を見た瞬間、息をのみ鳥肌がたった。上層を覆う薄いベールのような雲は、巻層雲(けんそううん)か。下層には、羊の群れを連想させる高積雲(こうせきうん、ひつじ雲)が浮いている。始まった朝焼けの光彩のドラマに心が震えた。長年、山の朝焼けを撮り続けてきたが、初めて出合う光景だ。
午前4時38分。日が早く当たった上層部の雲は黄金色に、下層のひつじ雲が真っ赤に染まる。刻々と変幻する朝焼けは、荘厳、壮麗な光彩を極め、最高潮に達した。その瞬間、天上から交響詩が聞こえてきたような気がした。朝焼けのパワーの波動か…それとも錯覚なのか?不思議だ。
この壮大な朝焼けのステージを見詰めていると、2005年の愛知万博の開会式で、長野バレエ団出身の元プリマバレリーナ宮内真理子さんが華麗に舞った「火の鳥」が重なる。
やがて3000メートルの稜線がモルゲンロートに赤々と染まり、天上で奏でる交響詩のオーボエの音色が、神々しい穂高の朝を告げた。
(丸山祥司)