ロマン誘う槍ケ岳を包む夕日(松本市)

150609sikipシルエットの槍ケ岳を包む壮麗な夕日。動の太陽と静の槍ケ岳が演じる光彩が原始の感動へ誘う=ニコンD3、ニッコールED1200ミリ、ND400、6月5日午後6時36分、弘法山古墳に近い開成中学校から

「夏至」が近付くと、この時季にしか見られない、槍ケ岳を包む壮麗な夕日が気になる。
太陽の南中高度が最も高い夏至の朝日や夕日の方位は、太古から重要視され、現代に至っても、その神秘さを漂わせ不思議である。
沈む太陽の中に槍ケ岳が影絵か切り絵のようにシルエットに浮かび上がる、原始の感動を呼び起こす夏至前後の夕日は、松本市中山地区周辺から観望できる。この母なる太陽と父なる槍ケ岳が重なる、壮大でまぶしい陰陽の世界は、新しい命を創造する根源の構図だ。
記者がこの光景にこだわり撮って20年。撮影するたびに、「犀龍・泉小太郎」伝説にある、かつて湖だった松本平の太古の原風景を脳裏に描いてみる。
構えるカメラの前には、太陽、槍ケ岳、弘法山古墳、和泉地区、背後には鉢伏山がある。この神聖なる光のライン上に浮かび上がってくるのが「犀龍・泉小太郎」伝説。母の犀龍が泉小太郎を産んだのは鉢伏山麓。目の前の和泉地区は、小太郎が育った場所の一つとされている。この光のラインに弘法山古墳があるのは偶然とは思えない。想像をかきたててやまない。
槍ケ岳を包む夕日のドラマに、美しい松本市再発見へのロマンが広がる。
(丸山祥司)