シーズン折り返し間近 18節までを振り返り、今後を展望

160616yamp1年でのJ1復帰を目指し、2年ぶりにJ2で戦う松本山雅FC。シーズン折り返しに近い18節を終えた現時点で9勝5分け4敗、勝ち点32の5位と、1~6位が勝ち点4差内にひしめく上位で戦い続けている。年間2位でJ1に自動昇格した14年シーズンと比較しながら、ここまでの戦いを振り返り、今後を展望する(熊本地震の影響で8節以降の順位は暫定)。
昨季J1で苦しんだ経験から、今季は縦への速さやセットプレーといったこれまでの武器を維持しつつ、パスをつないで崩す新たな攻め手にも挑戦。
シーズン序盤こそもたついたが、7節(4月9日)から3連勝で浮上し、12節(5月7日)~18節(6月12日)は5勝1分け1敗でJ1昇格プレーオフ出場圏の6位以内を維持している。
しかし、今季もフル出場を続けてきた田中が、右目の網膜剥離(はくり)のため今月4日の16節北九州戦後にチームを離れた。8日に横浜市内の病院で手術を受け、長期の離脱は決定的だ。
豊富な経験を持ち、精神的支柱でもある田中の不在をどう乗り切るか。今後の戦いの鍵になりそうだ。

「スタートダッシュ」を掲げて成功した14年に対し、今季序盤は新スタイルの確立に苦しみ、もたついた。
熊本との開幕戦はPKで失った1点を守り切られ黒星。ホーム開幕の4節千葉戦は、終始主導権を握りながらゴールが奪えず、逆に少ないチャンスを確実に決められ0-1で敗れた。
ホーム連戦で盛り返したかった5節山口戦は1-2から逆転したが、残り1分を切って同点とされ3-3の引き分け。選手に対し観客席から厳しい声が飛んだ。
しかし、7節徳島戦から3連勝し、12節東京V戦からは引き分け一つを含めて6戦無敗と、チーム状態は上向きに。
16節北九州戦、17節札幌戦はともに2-0から反撃を受けて失点する展開だったが、リードを守り切ったり、追加点で突き放したりして、きっちりと勝ち点3を獲得。シーズン序盤に希薄だった勝負強さを身に付けた。
特に札幌戦は当時9戦無敗で首位を走っていた相手の勢いをそぎ、勝ち点1差の2位まで浮上。選手は自信と手応えを得た。

14年は18節を終えた時点で10勝4分け4敗、勝ち点34で3位。総得点27、総失点16だった。今季の特徴は失点の少なさだ。ここまで総失点は札幌、町田と並ぶリーグ最少の13。無失点は9試合、2失点以上は3試合と守備は安定している。
反町監督は「J1と比べ相手のミスやシュート精度の低さに救われている部分もある」と指摘するが、昨季のJ1での経験をうまく生かして戦っているとも言える。
一方で攻撃はもう一歩。総得点24は9位山口、8位千葉より少ないリーグ7番目。上を目指すには物足りない数字だ。
昨季チーム得点王のオビナが開幕直後の3月3日、練習中に左足じん帯を痛めて離脱したのをはじめ、序盤はけが人続きで前線が人数不足に。J1鹿島から急きょ獲得した高崎が苦境を救い、ここまでチーム最多の5得点。次いで工藤、山本が4得点と、攻撃陣にゴールが増えつつあるのは好材料だ。

一方で、先が見えない田中の状態は気がかりだ。南省吾テクニカルダイレクターによると、手術は成功したが安静状態。さらに手術が複数回に及ぶ可能性もあるとし、「今は復帰の時期を議論できない」と表情を曇らせる。
けがの那須川が17節札幌戦で戻り、18節岡山戦で安川が今季初出場、安藤の復帰も間近とみられ、陣容が整いつつあっただけに衝撃は大きい。
反町監督は「けがや故障はいつ、誰にでも起こり得る。常にそれを想定してチームマネージメントをしている」と言うが、大黒柱を襲った事態に「青天のへきれき」とショックを隠さなかった。
指揮官は「(田中の)貢献度が高いのは確かだが、いないから勝てないと言われたくない」。上位は混戦の度合いを深めており、チームの総合力がいっそう試される。

直近3年間に自動昇格した2位の最終勝ち点を見ると、13年が83(神戸)、14年も83(山雅)、15年が82(磐田)。単純に比較できないが、80以上が一つの目安になりそうだ。山雅は14年と同じ勝ち点を目標にすると、残り24試合で51の積み上げが必要。1試合平均2では届かない。
今季初めて自動昇格圏内につけた札幌戦後、指揮官は「まだ昇格どうこうと言える段階ではないし、われわれはまだまだ力不足」ときっぱり。「自分たちに目を向け、日々の練習の中で問題を一つずつ解決し、力量を上げていくだけ」と話した。
14年はシーズン後半最初の22節で2位に上がり、最後までその位置を譲らなかった。足元を見据え、勝ち点を積み重ねていけるか。今季も間もなく、山雅が得意とする夏場の戦いを迎える。
(長岩将弘)