グッズ開発秘話 事業本部企画部の塩川さんに聞く

160630yamp山雅を応援する気持ちを高めるグッズ。Jリーグ入り以降、クラブはホームゲームごとに新商品を発売し、その点数は色やサイズの違いなども含めると、ざっと1000点に上るそうだ。しかし、中には売れ行きが芳しくなく、在庫を抱えてしまっている物も…。事業本部企画部で公式グッズ開発を担当する塩川由貴さん(25)に、そんな知られざる商品とともに開発の苦労話を聞いた。
最も大事にしているのはお客さんの声。スタジアムの売店で見聞きする反応や、メールなどで寄せられる意見・要望を基に、季節感やホームゲームで行うイベントとの連動も考え、商品を企画するという。
ただ、「結局、売り出してみないと分からない。過不足のリスクは常にある」と塩川さん。
売れなくてもいけないが、欲しい人に行き渡らない事態も避けたい。製造コストとの兼ね合いもあり、「ニーズを読み切るのは本当に難しい。なかなかうまくいかないが、精度を上げる努力は続けている」。
今季は「選手グッズくじ」(1回300円)を発売。選手・監督の顔写真を1人ずつあしらったキーホルダーや缶バッジが当たる。
手頃な価格や「好きな選手を引き当てたい」という意欲をあおる要素もあってか好評。「これまであまりなかった、個々の選手をテーマにした商品も企画していければ」という。
スタジアムではもちろん、街を歩いている時などにグッズを身に付けた人を目にすると「日常生活に溶け込み、身近に感じてもらえているのがうれしい」と塩川さん。やりがいを胸に、より愛される商品開発に励んでいる。

【カーサンシェード】
車内の温度が上がるのを防ぐ「カーサンシェード」(日よけ)は14年夏に発売。中央に山雅のエンブレムとロゴをあしらった、インパクトがあるデザインだ。
車の内側から吸盤でフロントガラスに貼り付け、使わない時は折り畳んでおく。使用時のサイズは横125センチ、縦57センチ。
松本のような地方都市で車は欠かせない移動手段。これまで売り出したグッズの中でも、ステッカー類をはじめカー用品は人気が高い。サンシェードについても発売以前から要望があったという。
反町監督や選手たちからも「売れそうだね」と声を掛けられたといい、「満を持して発売!という感じだったのですが…」と塩川さん。
コストの制約もあり1サイズだけ製造・販売したため、「もしかしたら使いづらいサイズだったのかも」と推測するが、車用品専門メーカーの製品で品質は高い。
「日差しが強いこれからの時季は役立つはず。ぜひ使ってください」。1800円。

【レトロシャツ】
山雅草創期のユニホームを模した「レトロシャツ」は、クラブ創設50周年でもあった昨年の8月、記念グッズの一つとして発売した。
海外メーカーと協力し、完全オーダーメードで半年ほどかけて開発した。「このデザインに思い入れのある人もいるはず。記念グッズでもあり、力を入れました」と塩川さん。
創設時のOBからユニホームの実物を借り、メーカーに送り分析。生地の質感や独特の厚みなどを可能な限り再現した。色にもこだわり、襟や袖口の黄味がかった白色も生地の色ではなく、わざわざ染めたもの。胸の「山雅」や背番号「12」といったワッペンは既存の書体でなく、レトロシャツ専用のオリジナルだ。
創設当時、左胸のワッペンが手違いで「山稚」になってしまったとのエピソードもある。数ある歴代ユニホームの中から「物語性を含めて楽しんでもらえれば」と、このデザインを選んだ。
ただ、思ったほど売れず、塩川さんは「必ずしも万人に受けるものではなかったようで…」。
それでも「好評もいただき、思いは届いたのかなと感じる一方、数量を売らなくてはいけない難しさも感じた商品」と話す。
「再生産しないので、在庫があるうちにぜひ手に入れて」とPRする。S、M、L、LLの4サイズ。色はチャコールグレーもあり。各5000円。
(長岩将弘)