「信州SOBA農房かまくらや」20日大名町に開店

農業法人かまくらや(松本市島立)は20日、直営店「信州SOBA農房かまくらや」を、松本市大手3の大名町通りに開く。同法人が、中山間地の耕作放棄地などを借り栽培し、自社製粉したそば粉を使った製品、地域の菓子店、農家と連携した商品を販売する。信州そばの提供だけでなく、農業の雇用環境の改善、中山間地のコミュニティーを守るといった地域社会が抱える課題の解決にもつなげたい考えだ。
かまくらやの田中浩二社長(54)は、自動車販売のスズキアリーナ松本を経営。2008年のリーマンショック後、売り上げが40%落ち込み大赤字になったのをきっかけに、新しいビジネスを模索し始めた。
友人で鎌倉麺業(女鳥羽3)の鎌倉完至社長(57)も、中国産のそば粉を使いながら、「信州そば」として販売することに疑問を感じていた時期。そば粉の国内自給率が20%程度と低いこともあり、「8割は伸びしろがある」と、共同出資し農業生産法人を設立。耕作放棄地を借り、ソバの栽培を始めた。
「放棄する農地は、日が当たらない、斜面で栽培しづらいといった土地。条件の悪い土地は捨てた方がいいのではという意見が出たが、そういう場所こそ、引き受けてくれる人が必要と考えた」と田中社長。
現在は松本市四賀錦部、梓川、岡田、安曇野市三郷に計約100ヘクタールでソバと大豆を栽培している。住民も巻き込むことが大切と、錦部地区では全長20キロにわたる鹿よけのフェンスを一緒に作った。

生産から販売までを行う6次産業化にも着手。鎌倉麺業で商品を開発。地元中小企業、製菓店などにそば粉や大豆を提供するようになり、販路を広げる中、直営店開設の思いを徐々に具体化させた。
若者が農業に入りやすいようにと、同法人は一般企業と同様に、週休2日制、65歳定年といった労働条件を示している。

店内では、そば粉、塩、小麦のみを使った無添加のそば(生そば、乾麺)、同法人が開発製造する「蕎麦(そば)かりんとう」、そば茶、そば粉などを扱う。「地域連携を」と、地元菓子店などに開発を依頼した「そばバームクーヘン」「そば茶プリン」など、そばスイーツも充実。農家と連携し、減農薬野菜と、ソバの若葉、そばスプラウトを使ったグリーンスムージーも。
田中社長は「新しい農業の先駆けだと思っている。加工、販売レベルを上げることで、農業界全体のレベルアップにつなげたい。農業のこれまでにないスタイルとして、人材が入る流れをつくりたい」と力を込める。
午前9時半~午後5時半。年末年始休業。電話50・7751
(八代けい子)