「フットワーク強み」就任2カ月の神田社長に聞く

150326yamp松本山雅の社長に、元選手で取締役管理本部長を務めた神田文之さん(37)が就任し、2カ月近くがたつ。県内のクラブチームとして初めてJ1で戦う今年は、くしくもクラブ創設50周年の節目。22日にはアウェー清水戦で記念すべきリーグ戦初勝利を挙げた。新たな歴史を踏み出したクラブのかじ取りを担う若きトップに、今の思いや意気込みを聞いた。

「会社のために何かできたかというとまだまだなんですが、あっという間でした。こんなに忙しかったのは初めてです」。神田社長は就任以後を振り返り、苦笑した。
もともとシーズンオフ期間は、以前の主な仕事でもあった営業がピークを迎える時期。関係先へのあいさつ回りや社長業の引き継ぎも重なり、多忙を極めたという。
それでも「忙しいのはありがたいこと」と前向きだ。「立場上、厳しくしなければいけない部分はもちろんありますが、社長になったからといっても(力を尽くす姿勢は)変わらない。自分のスタイルを社内外に知ってもらう期間でもあったかなと考えています」

常勤で社長業に集中できる点は、家業を持ち非常勤役員だった大月弘士・前社長(現代表取締役会長)との最大の違い。加えて12歳若返り、自身も「フットワークの軽さは強み」と話す。
プレシーズンマッチも含め、アウェーの公式戦は全て足を運ぶ予定だ。これまではアウェー会場に行っても「先入観や固定観念にとらわれないように」との考えから、会場運営などを注意深く見ることはなかったという。
今季はそこにも目を配り「すぐに取り入れることはできなさそうでも、参考になる点を持ち帰り、自分なりに整理しておくようにしている」。
キャンプや普段の練習など、チームの現場にも可能な限り足を運ぶ。「(チームスローガンの)『ワンソウル』の言葉通り、クラブの一体感を大事にしたい」との思いからだ。
指導陣と同じ練習着に身を包み、ボール拾いを手伝ったり、ジョギングをしたりしながら、選手や現場スタッフらと言葉を交わす。
「自分が体を動かしたいっていうのもあるんですけど」と笑いつつ、「舞台裏を整え、気持ちよく試合に臨んでもらうのが、われわれの務め。これからは育成組織にも顔を出したい」と言う。

一方で育成組織や練習場、新スタジアム構想も含めた観戦環境など、課題は山積みだ。
「優先順位はつけられない。幾つものことを並行して、少しずつでも停滞させず進めていかなくては。トップチームが頑張ってくれている中、われわれもどのくらいスピード感を上げていかれるか」と力を込める。
確かな手応えがある。2月に就任あいさつのため、かつて選手として所属した甲府を訪ねたときのことだ。海野一幸会長から「サポーターがサポーターを呼ぶ仕組みができている」と言われた。
「山雅は人から人へつながりを広げ、ここまで来たクラブだと思う。自分も感じていたことを指摘され、確信になった」と明かす。
「そもそもプロ化を目指したきっかけも『サッカーで地域を盛り上げよう』という市民の声だった。先人たちがここまで育ててきた方向は間違っていない。それを引き継ぎ、いろいろな人の意見を尊重しながら、枝葉を広げていくことが仕事」と神田社長。
「山雅を身近に感じる人をさらに増やしたいし、その点に関してはまだまだ成長の余地があると思う。多くの人を巻き込みながら、『山雅劇場』ではないですけれど、夢を見せられるクラブにしていきたいですね」
(長岩将弘)